ジェイテクトSTINGS VS サントリーサンバーズ

長いラリーからスタートした第1セット。しつこい守備から攻撃に転じ、各セットとも終盤に突き放す

 今季のV・プレミアリーグも、今日を含めて残り2試合になった。すでにファイナル3進出の道は断たれている。しかし、プロフェッショナルである以上、目の前に試合がある限り全力で戦わなければいけない。
 ファンのために、仲間のために、白星をつかむために――。たくさんの歓声に包まれる中、試合は激しいラリーから始まった。

 ボールが落ちない。セッターの久保山は西田にトスを集めた。しかし、何度打っても、サントリーサンバーズの高いブロックに阻まれる。カジースキのスパイクも拾われた。最後は西田のスパイクがブロックされて、相手に先制点を与えた。さらにカジースキのスパイクが失敗。いきなり2点を追う展開になる。
 しかし、この日のジェイテクトSTINGSには勢いがあった。金丸のブロックでブレイクを取り返すと、6−7の場面ではカジースキのスパイクで長いラリーを制した。さらに福山がサービスエースを決め、逆転で1回目のテクニカルタイムアウトを迎える。
 浅野も好調をキープ。金丸のブロックで得点を重ねると、その後は一進一退の展開に持ち込む。勝負どころは16−17と1点ビハインドの場面からだ。カジースキのスパイクでサイドアウトを切った。そのままサーブに回ったカジースキが攻める。浅野がダイレクトスパイクを決めて18−17と逆転。カジースキがサーブで攻めて相手からミスを誘った。西田のスパイクで先に20点に乗せた。あとは確実にサイドアウトを切っていくだけだった。
 ベンチも動いた。松原、郡、袴谷を次々に投入して、逃げ切りにかかる。途中、22−22に追いつかれたが、福山の速攻で再び流れをつかんだ。最後まで集中力を切らさなかったジェイテクトSTINGSが25−23で第1セットを先取した。

 第2セットも僅差のまま進行した。たしかに相手のミスに救われた部分はある。しかし、引き寄せた流れを離さなかったジェイテクトSTINGSの試合運びも優れていた。
 西田もエンジン全開。4−4から3本連続でスパイクを決めた。これで相手は1回目のタイムアウトを消化。ラリーにも競り勝って、9−5とリードを広げる。中盤にはカジースキがサーブで攻めて3連続得点。14−9と完全に試合のイニシアチブを握った。
 しかし、サーブレシーブの乱れをきっかけに失速。サービスエースを決められて、16−15と1点差に迫られる。ここからは我慢の時間が続いた。サイドアウトの応酬が続く。ジェイテクトSTINGSは再び郡を投入。さらにワンポイントブロッカーで袴谷が入ると、相手にプレッシャーをかけてブレイクポイントを奪う。これで24−21とセットポイント。一時は1点差まで追い上げられたが、タイムアウトで悪い流れを断ち切った。最後はカジースキの強打が炸裂。ジェイテクトSTINGSが25−23で2セットを連取した。

 勝利に王手をかけた。しかし、勝った第1、2セットも2点差。けっして楽な戦いではない。第3セットも追いかける展開から始まった。1回目のテクニカルタイムアウトは5−8。西田のスパイクが対応されていた。救ったのが浅野だ。トップフォームを取り戻し、苦しい場面で確実に決めていく。
 中盤は点の取り合いとなった。福山がスパイク、ブロックを立て続けに決めて11−13と2点差に迫る。3点のビハインドで2回目のテクニカルタイムアウトを迎えたものの、試合の流れはジェイテクトSTINGSが握っていた。ブロックとディグの関係も機能し、リベロの本間も要所で好プレーを見せた。
 西田のスパイクにカジースキがサービスエースで続いて1点差。前衛に上がってきた浅野がブロックを決めて、ついに17−17の同点に追いついた。3連続失点を喫したものの、すぐに3連続得点を奪い返して再び同点。カジースキがブロックで高さを発揮した。
 決着をつけたのは、リリーフサーバーとして入った松原だ。22−22の場面で投入されると、強烈なジャンプサーブで相手を崩す。返ってきたボールを西田が決めて逆転。さらにカジースキのスパイクでマッチポイントを奪った。試合を締めくくったのは久保山だった。松原がサーブで相手を崩すと、久保山のブロックが成功。4連続得点で25−22とし、ジェイテクトSTINGSがストレート勝ちを決めた。

 ファイナル6に入ってようやく1勝を挙げた。しかし、チームにとってはとてつもなく大きな1勝だ。「今日はチームにとっていい勝ちになったと思います」と西田が振り返る。
「自分にとっては苦しい場面が多く、我慢しなければいけなかったが、最後の最後で立て直せたところに自分の成長が見られたと思う。チームとしてのシステムがあり、全員がそれを守ったことで優位に進めることができた試合でした」
 会心とは言えないかもしれない。しかし、いい勝利だった。明日はジェイテクトSTINGSにとって、今季のV・プレミアリーグの最終戦である。会心の試合で有終の美を飾りたいところだ。

アーマツ・マサジェディ監督

ファイナル6は2試合しか残っておらず、必ず勝って終わりたいと思っていました。そのために準備してきました。今日はストレートで勝つことができてよかったです。相手のシステムに対応した選手も素晴らしかった。サントリーにはレギュラーラウンドで3連勝していましたが、どこが相手であろうと勝った試合は選手のファイティングスピリットが強く表れていたように思います。V・プレミアリーグは残り1試合。これまで、選手もスタッフも苦しんだ時期がありました。だけど、負けている時も、選手は全力を出し切ってくれた。5位で終えられる可能性もあるので、明日の試合も全力で頑張ります。

マテイ・カジースキ

難しい試合でした。特に第1、2セットは拮抗した試合で、なかなか得点を決められなかった。第3セットの最後はしっかりと取り切れたと思います。(ファイナル3には進出できなかったが)ファンのためにも頑張る気持ちを出すことが大事でした。また、頑張るだけでなく、いい試合を見せたかった。目標には届きませんでしたが、現実的に考えるとこの結果には納得しなければいけません。負けた試合もあったけど、常にベストを尽くしてきました。明日はV・プレミアリーグの最終戦です。いつも多くのファンが会場に足を運んでくれるので、感謝の気持ちを込めて全力で戦います。そして、いい試合をして、皆さんと勝利の喜びを分かち合いたいと思います。

福山汰一

金丸さんが立ち上がりに速攻を決め、それによって相手のミドルブロッカーが真ん中の攻撃についてきてくれました。サイドが決めやすい展開が作れたと思います。今季は昨季に比べて、ワンタッチがたくさん取れています。リードブロックを徹底してやってきたので、その点ではしつこく跳べていると思う。来季はスパイクを含めて両方とも詰めていきたいと思います。残り1試合になりましたが、5位で終わるのと6位で終わるのとでは、来季の戦い方が大きく異なります。黒鷲旗もあるので、そこに向けてよりチームを固めていきたい。たくさんの人が応援に来てくれているので、しっかりと終われるように頑張ります。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

ようやく機能したブロックとディグの関係。残り1試合。積み重ねてきたことを発揮したい

シーズンも終盤に近づき、ようやくブロックとディグの関係が機能してきたように思う。決め切るまではいかなくとも、ラリーに持ち込む場面が何度も見られた。サイドの決定率を見ると、カジースキが29.0パーセント、西田が38.1パーセント、浅野が44.0パーセントとけっして高くない。それでも、我慢に我慢を重ねて得点を積み上げてきたこの試合の勝利は大きい。カジースキも「今日はトスの配分がよく、ミドルブロッカーをうまく使っていた。また、ブロックとディグの関係も機能していた。それがいい試合ができた要因だと思う」と振り返っている。V・プレミアリーグは残り1試合。積み重ねてきたことを発揮し、5月の黒鷲旗、そして来季につながる試合で締めくくってほしい。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS サントリーサンバーズ
第1セット 25 - 23
第2セット 25 ー 23
第3セット 25 - 22
第4セット
第5セット
日付 2018年2月24日(土)
試合 V・プレミアリーグ ファイナル6 第4戦
場所 大阪市中央体育館
メンバー カジースキ、金丸、福山、西田、久保山、浅野 L興梠、本間
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