ジェイテクトSTINGS VS 東レアローズ

カジースキ、浅野、西田を軸に、圧倒的な攻撃力で第3、4セットを取り返す。1ポイントを獲得するも、ファイナル3進出は消滅

 ジェイテクトSTINGSは絶体絶命の状況に追い込まれていた。ファイナル6は2試合を終えて0ポイント。ファイナル3に進出するためには、もう一つの試合も落とすことができない。しかも、すべての試合で3ポイントを取ることが絶対的な条件だ。
 けっして簡単ではない。しかし、これまで数々のミラクルを起こしてきたジェイテクトSTINGSだ。チームにかかる期待はけっして小さくなかった。

 試合の入り方は悪くなかった。第1セットの前半はリードを奪った。浅野、西田にトスを集めて得点を量産。カジースキもブロックを決めた。8−7から3連続得点。西田のスパイクでサイドアウトを切ると、金丸の速攻、カジースキのスパイクで一気に走った。さらに福山のブロックなどで13−8、最大で5点のリードを奪っている。
 しかし、ここから試合のペースは徐々に東レアローズへ。ジェイテクトSTINGSは、きわどいコースを狙ってくる東レのサーブに翻弄された。カジースキのスパイクで2回目のテクニカルタイムアウトを奪ったものの、点差は2に縮まっていた。
 ジェイテクトSTINGSはカジースキのスパイクなどで反撃。しかし、東レのギャビンにサーブレシーブを崩されて20−21と逆転を許す。1点ずつ取り合う展開から、カジースキのスパイクが止められて相手のセットポイント。最後はノータッチエースを決められて、22−25でこのセットを落とした。

 続く第2セットも、ジェイテクトSTINGSが優勢に試合を進めていた。西田のスパイクをきっかけに立ち上がりから5連続得点。サイドを中心に攻めて、8−3とリードを奪う。
 その後もジェイテクトSTINGSが攻めた。この日のジェイテクトSTINGSは、バックアタックが冴えていた。西田、浅野が高い打点から立て続けに決める。要所で金丸、福山の速攻でサイドアウト。セッター久保山の巧みなトスワークで、アタッカー陣が高い決定率を残した。
 終盤は西田、浅野が立て続けに決めて22−17。あとは落ち着いてサイドアウトを切っていくだけだった。しかし、再び東レのギャビンにサーブレシーブを崩される。4連続失点で22−21。それでも土壇場で代わって入った松原が大きな仕事を成し遂げる。セットポイントとなる値千金のサービスエースを決めたのだ。
 誰もがこのセットの勝利を確信した。しかし、東レは諦めない。高さのある選手を3人同時に投入。さらに西田のスパイクがアウトとなり、チャレンジも失敗。24−24と同点に追いつかれる。カジースキのスパイクが止められた。最後はノータッチエースを決められて24−26とされた。

 ジェイテクトSTINGSの反撃が始まったのは、第3セットに入ってからだ。西田のバックアタックで長いラリーを制した。久保山のサーブで相手にプレッシャーをかけ、4連続得点を奪う。浅野のブロックも成功。8−3と大きくリードを奪った。
 その後もジェイテクトSTINGSが高い攻撃力を発揮する。西田がスパイク、サーブで躍動した。カジースキも高い打点から強打をたたき込む。西田がスパイクを決めて、16−8で2回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 相手に付け入る隙を与えなかった。決定力が高い西田にトスが集まった。西田のサービスエースで20点目を奪うと、浅野のスパイクで3連続得点。21−12とリードを広げた。
 完璧な試合内容だった。福山のスパイクでセットポイントを奪うと、カジースキが決めてフィニッシュ。ジェイテクトSTINGSが圧倒的な試合運びを見せ、相手を15点に抑えてセットを取り返した。

 これが真のジェイテクトSTINGSの強さだ。第4セットは金丸のブロックで先制。カジースキの2連続サービスエースが決まって6−2とリードを奪う。ここで東レは1回目のタイムアウトを要求。攻撃の手を緩めないジェイテクトSTINGSがそのあとのラリーも制し、8−2と完全にイニシアチブを握った。
 中盤以降もジェイテクトSTINGSが支配。久保山がトスを散らして相手のブロックに揺さぶりをかける。ジェイテクトSTINGSは一人ひとりがしっかりと役割を果たした。ブロックでワンタッチを取り、リベロの本間がボールをつなぐ。チャンスを確実にものにして得点を重ねていった。
 カジースキがサーブで攻めて3連続得点。18−9とダブルスコアにした。郡を投入してチームに勢いをつける。西田、カジースキが立て続けに決めて22−14。23−15で松原を投入する。西田のスパイクでブレイクポイント。24点目を奪うと、最後は松原がサービスエースを決めて25−15とし、勝負の行方をフルセットに持ち込んだ。

 勢いはジェイテクトSTINGSにあったはずだ。勝つチャンスはあった。しかし、第5セットはまさかの失速。1−1から6連続失点を喫する。西田のスパイクが止められた。連続でサービスエースを決められた。2度のタイムアウトでも流れを変えることができなかった。
 さらに3−8から4連続失点。負の連鎖が断ち切れない。福山のブロックでサイドアウトを切るが、反撃もここまで。粘りを見せるには開いた点差はあまりに大きく、6−15の大差で敗れた。

 勝たなければいけない試合を、全力で勝ちにいった。圧倒的な試合運びで第3、4セットを奪い返した。しかし、最後はフルセットで敗戦。浅野は「相手のいいサーブに対して、お見合いをしたり、ネットを越えて相手コートに入れてしまったりと、サーブレシーブを崩された」と悔しさをにじませた。50パーセントの決定率を残した西田も「チームの雰囲気がよくていいゲームをしたけど、結果がすべてなので悔しい」と振り返っている。
 この敗戦によってファイナル3進出の可能性は消滅した。しかし、まだ2試合を残している。来週の大阪で、今季のすべてを出し切りたい。

アーマツ・マサジェディ監督

今日は第2セットも大事だったが、第1セットにもチャンスはありました。どちらかを取っていたら、3ポイントを取る可能性もあったでしょう。第5セットは相手の経験が上回ったと思います。悔しい敗戦になりました。相手のサーブは「エースorミス」でした。それくらい攻めてきたサーブに対して、自分たちはサーブレシーブで苦しみました。ファイナル3の可能性はなくなったけど、残り2試合も勝ちにいきます。まずは初戦のサントリー戦に全力を出し切りたい。ベストパフォーマンスを発揮するために、しっかりと準備をして臨みます。

興梠亮

一番の敗因はサーブレシーブだと思います。今日は東レのサーブが強く、それに自分たちが対応できなかった。セット後半にやられることが多く、勢いに乗られてしまいました。大事なのは、練習の中での意思疎通です。今日は対応ができていなかったので、日々の練習でもっと頑張らなければいけません。第2セットは、前半にあれだけリードしたにも関わらず、徐々に追いつかれてしまいました。サーブでやられて受け身になってしまった部分もある。もっと攻めていくことが大事です。3連敗してしまったので、残り2試合をしっかり勝って、次に生かせるように戦っていきたい。練習でやってきたことを発揮すれば、必ず勝てます。

久保山尚

全体の決定率は悪くなかったけど、第1、2セットの終盤や第5セットなど、勝負どころの決定率が低くなってしまいました。先週のパナソニック戦もそうですが、第1、2セットでいい勝負をしながら勝ち切れないのは、自分の力不足でありチームの力不足。そこを改善していかないと、残り2試合も黒鷲旗も勝っていけません。サーブレシーブが返っているときはうまく回せていますが、サーブレシーブが崩れた時に単調なバレーになっています。崩れた場面でもセンター線を絡めていかないと厳しい。自分自身とチームの課題をしっかり克服して臨みたいと思います。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

明暗を分けたのはサーブレシーブ。残り2戦までに課題を克服したい

第1セット22−24、東レのセットポイント。相手が放ったサーブが興梠と浅野の間にぽとりと落ちた。途中まで5点のリードを奪いながら、惜しいセットを落とした。この場面に象徴されるように、今日のジェイテクトSTINGSはサーブレシーブが機能しなかった。相手に取られたサービスエースは実に13点。浅野が言う。「相手がきわどいコースを、ミスを怖れずに攻めてきた。前に落とされたのは、それほど精神的なダメージがなく、すぐに切り替えることができる。ただ、正面に来たボールに対する判断ミス、アウトになると思って避けるところに逃げの心が出ていた。それが敗因になったと思います」。リベロの興梠も3−1で勝った3レグの対戦に比べて「今日はコースにしっかり打ってきていた。奥に打ったり、サイドに打ったり、幅広く打っていた。それに自分たちが対応できなかった」と振り返っている。敗戦は悔しいが、取った第3、4セットは会心の試合運びを見せることができた。今季のV・プレミアリーグも残り2試合。集大成の試合を最高の形で締めくくりたい。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS 東レアローズ
第1セット 22 ー 25
第2セット 24 ー 26
第3セット 25 - 15
第4セット 25 ー 15
第5セット 6 ー 15
日付 2018年2月17日(土)
試合 V・プレミアリーグ ファイナル6 第3戦
場所 福岡市民体育館
メンバー カジースキ、金丸、福山、西田、久保山、浅野 L興梠、本間
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