ジェイテクトSTINGS VS パナソニックパンサーズ

カジースキ、浅野、西田のサイド陣が高い決定力を発揮。失った第1、3セットも接戦に持ち込んだ

 前日のストレート負けから一夜明け、ジェイテクトSTINGSが見違えるような輝きを取り戻した。相手はレギュラーラウンド1位のパナソニックパンサーズ。全日本メンバーを数多くそろえる強豪だ。
 アーマツ監督は選手たちに、「試合を楽しんでください」と話したという。その言葉通り、チームは躍動した。立ち上がりから会心の試合運びを見せた。

 第1セットは、カジースキのスパイクで先制した。浅野、西田らサイド陣にトスを散らして得点を重ねていく。何より、浅野が本調子を取り戻したことが明るい材料だった。カジースキも高いスキルを生かして、巧みに相手コートにボールを落としていく。1点のリードを保ったまま1回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 その後もジェイテクトSTINGSが高い決定力を発揮。金丸の速攻でサイドアウトを切ると、浅野のブロックなどで3連続得点。11−8とリードを広げた。
 ここからは一進一退。ジェイテクトSTINGSは浅野、西田のスパイクで確実に得点を重ねていく。一度は1点差に迫られるが、西田のスパイク、カジースキのサービスエースでブレイク。再びリードを広げた。
 試合巧者のパナソニックがここからギアを上げてくる。17−16と1点差に迫られたところでアーマツ監督は1回目のタイムアウトを要求。しかし、悪い流れを断ち切れない。サーブレシーブも崩れ、ここからさらに2失点。17−18と逆転を許した。
 ジェイテクトSTINGSの真骨頂はここからだ。浅野のスパイクでサイドアウトを切ると、西田、カジースキが続いて3連続得点。リベロの本間を軸にディフェンスも機能し、2点のリードを奪った。
 あとは落ち着いてセットを終わらせるだけだった。しかし、20−18から5連続失点。逆に土俵際まで追い込まれた。福山のBクイックで嫌な流れを断ち切ると、浅野のダイレクトスパイクで1点差に迫った。西田の攻めるサーブが功を奏した。22−23。あと1点。しかし、最後はラリーを取り切れず23−25。接戦の末に第1セットを失った。

 第2セットはジェイテクトSTINGSが快進撃を見せた。カジースキがスピードを生かしてスパイクを決めた。浅野も“技”で得点を奪った。つないだボールを西田が渾身の力で打ち込み3−3。浅野がサーブでプレッシャーをかけると、相手からミスを誘って6−5と逆転に成功する。浅野のパイプ攻撃も決まり、8−7で1回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 セッター久保山の配球も冴えていた。相手にブレイクされる苦しい中盤は、金丸の速攻でサイドアウトを切った。一時は2点のビハインドを与えたが、福山のサービスエースなどで14−14の同点に追いついた。
 さらにカジースキのサービスエース、浅野のブロックなどで3連続得点。これで18−17と一気に逆転した。
 この日のジェイテクトSTINGSは落ち着いていた。相手に先行されても、確実に1点ずつ重ねていく。金丸のブロックで23−23。さらに相手のスパイクミスでセットポイント。最後まで集中力を切らさなかったジェイテクトSTINGSが、25−23でこのセットを取り返した。

 第3セットも手に汗握る展開だった。1回目のテクニカルタイムアウトを5点のビハインドで落としたが、そこから徐々に盛り返していく。西田のスパイク、金丸のブロックでブレイク。ここから1点ずつ取り合うが、10−13から5連続得点。西田がサーブで攻め、強烈なバックアタックをたたき込んだ。福山が速攻を決めて、16−14で2回目のテクニカルタイムアウトを迎える。
 ここからは激しい点の奪い合いになった。パナソニックは福澤をコートの外に出したものの、清水、クビアクにトスを集めて得点を量産。対するジェイテクトSTINGSも、カジースキ、浅野、西田のサイド陣が加点していく。
 22−24と先にセットポイントを奪われた。相手のサーブミスでサイドアウトを切る。ここでリリーフサーバーとして入ったのが松原だ。相手のスパイクをブロックでつないだ。西田がハイセットを決めた。絶体絶命の状況から24−24の同点に追いついた。
 追いかけるジェイテクトSTINGSは、カジースキ、浅野が決めて粘りを見せる。西田もブロックを決めた。最後は28−30で敗れたが、互いの力と力がぶつかり合う見応えのあるセットとなった。

 しかし、ジェイテクトSTINGSの反撃はここまで。第4セットは一方的な展開に持ち込まれた。0−4と序盤で先行を許した。西田のブロック、カジースキのサービスエースなどで1点差に迫ったが、そこから再び4連続失点。
 さらに7−11から5連続失点を喫すると、反撃の力は残されていなかった。廣瀬、郡をコートに送り込むが流れを変えることができず、12−25の大差で敗れた。

 セットカウント1−3。接戦に持ち込んだ。しかし、勝点は奪えなかった。それでも、レギュラーラウンドでの対戦に比べれば、明らかな進化はあった。
「ホームゲームで対戦した時は、気持ちの面で落ちていました。スパイクを止められた時に、引き気味になってしまった。昨日の豊田合成さんとの試合にしても、今回は引かずに攻める気持ちで戦えた。そこが成長した点だと思います」
 試合後にこう振り返った西田。敗れはしたが、大きな経験を手に入れた。チームも成長した。ファイナル6は残り3試合。つかんだ手応えを出し切ることが、何よりも重要だ。

アーマツ・マサジェディ監督

相手のパナソニックが強いことは、みんなわかっていました。ただ、選手たちはそのことを意識せず、自分の役割を果たすように言ってきました。また、「試合を楽しんでください」と話しました。相手のいいサーブを取る、相手のスパイクを拾う。ブロックで触る。相手を苦しめる。そして、最高の楽しみは、試合に勝つことです。選手たちにそう言って、試合に入りました。第3セットまでは、集中していい試合ができたと思います。このセットの内容を頭に残し、次の試合につなげたい。100パーセント楽しんで、ベストパフォーマンスを出せるように頑張ります。

浅野博亮

昨日はあまりいい試合ができなかったので、みんなで修正して、今日は出だしからいい感じで入れました。ただ、相手のクビアク選手にいい場面で得点を取られてしまった。それによってうまく流れを持っていかれ、逆にこっちが連続失点をしてしまいました。自分たちも調子がよかっただけに、今日は相手のうまさに負けてしまったように思います。勝点は取れませんでしたが、ファイナル3に進む可能性が0になったわけではありません。また、自分たちは諦めないことをモットーに取り組んでいます。どんな状況に置かれても、自分たちのベストパフォーマンスを出していきます。

西田有志

ホームゲームでパナソニックさんと対戦した時は、自分たちの力をマックスで出せずに終わってしまいました。今日はチームの雰囲気もよかったけど、経験の差が出たように思います。ただ、チームとしてはいい雰囲気で戦えていたので、悔いはありません。昨日、今日と2戦とも負けてしまったけど、チームの状態は上がっています。来週はすごくいい状態で臨めるという手応えがある。苦しい状況でカジースキ選手にトスが集まると、チームとしてもキツくなります。そんな場面でチームを助けられるような、勝負どころで決め切れる選手になりたいと思います。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

西田が圧巻の活躍。チームに足りなかった決定力を手に入れた

第3セット、23−24の場面に西田の真骨頂が集約されていた。リリーフサーバーの松原が攻めた。体勢を崩しながら放った相手のスパイクを、ブロックでワンタッチを取った。後方に弾かれたボールは、松原が体を投げ出してつないだ。カジースキがアンダーで背後に向かってトスを上げる。それを西田が迷うことなく打ち抜いた。背後からきたボールに対して、ブロックの一番低いところを瞬時に判断し、思い切り左腕を振り抜いた。圧巻だった。「昨日の豊田合成さんは、ブロックにわざと間を作って、その中にレシーバーを入れていた。パナソニックさんも同じ対策でくると思っていたが、今回はストレートを空けてクロスを締めてきた。しかし、ストレートに打って得点を決めていくと、今度はストレートを止めにくる。そうした駆け引きをしていました。止められることもあったけど、ブロックを見て打つことができたと思います。第3セットの終盤は、ハイセットのボールを思い切り打つだけじゃなく、ブロックの間を抜くことをイメージしてきた。それをうまくできたことが収穫です」。今日の西田の決定率は54.8パーセント。バックアタックにいたっては、78.6パーセントの高い数字を残している。これまで足りなかった決定力を手に入れた。今のジェイテクトSTINGSにネガティブな要素は見当たらない。ファイナル6は残り3試合。すべての力を出し切りたい。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS パナソニックパンサーズ
第1セット 23 - 25
第2セット 25 ー 23
第3セット 28 ー 30
第4セット 12 ー 25
第5セット
日付 2018年2月11日(日)
試合 V・プレミアリーグ ファイナル6 第2戦
場所 大田区総合体育館
メンバー カジースキ、金丸、福山、西田、久保山、浅野 L興梠、本間
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