ジェイテクトSTINGS VS 豊田合成トレフェルサ

西田に続いて内定選手の郡が活躍。チームの得点源として、反撃の起爆剤になれるか

 V・ファイナルステージ ファイナル6がスタートした。ここからはどのチームも、ギアを1段も2段も上げてくる。初戦の相手は豊田合成トレフェルサ。レギュラーラウンドで一度も勝てなかった強敵である。しかし、6位スタートのジェイテクトSTINGSにとって、失うものは何もない。ただ、前を向いて邁進するのみだ。

 慎重な立ち上がりだった。セッターの久保山はサイドにトスを散らして攻撃を組み立てる。しかし、浅野、西田のスパイクが立て続けに封じられた。サーブレシーブが崩れ、カジースキのスパイクは相手のブロックに止められる。さらに西田のスパイクはアウト。3連続失点で3−7となり、アーマツ監督は早くも1回目のタイムアウトを要求した。
 浅野、金丸の得点で応戦するが、依然として試合のペースは豊田合成が握っていた。浅野が相手の高いブロックに苦しみ4連続失点。7−13とビハインドが大きく開いた。
 中盤は一進一退。ジェイテクトSTINGSは西田にトスを集めてサイドアウトを切っていく。カジースキ、金丸もそれに続いた。しかし、ビハインドを縮めることができない。細かいミスも続き、16−25の大差で第1セットを失った。

 第2セットの入り方は悪くなかった。カジースキのスパイクや西田のブロックで6−4とリードを奪う。しかし、1回目のテクニカルタイムアウトを挟んで4連続失点。粘り強くラリーに持ち込んでも、豊田合成のイゴールに高い打点からスパイクを打ち込まれた。
 2点を取り返したものの、さらにそこから4連続失点。サービスエースを決められるなど苦しくなった。ここでアーマツ監督は、調子が上がらない浅野に代えて、郡をコートに送り込む。これが大きなきっかけになって5連続得点。郡のスパイク、福山のブロックなどでチームが息を吹き返した。
 ムードを盛り上げたのが、18歳になったばかりの西田だ。苦しい状況でもトスを呼び込み、強打を炸裂させる。驚かされるのは、高校生離れしたパワーだけではない。「どれだけ相手のブロックを弾いたらどれだけボールが飛んでいくのかを探りながらやっていました。ちょっと力を抑えていたが、中盤から終盤にかけて決まるようになってきた。力を緩めるというよりも、狙いにいっていた感じです。いつものパワーじゃなくて、技術を使っていった」。試合の中で修正がかけられるのはトップアスリートの証。それをこの大舞台でやってのける強心臓が、西田の西田たるゆえんと言えるだろう。
 郡も全身で喜びを爆発させてチームを鼓舞した。しつこくサイドアウトを切り、金丸の速攻で19−18とした。しかし、試合巧者の豊田合成は勝負どころを逃さない。イゴールのサーブをカジースキが粘り強く返したものの、得点に結びつけられず4連続失点。19−22。郡のサービスエースで一矢報いるが万事休す。22−25でジェイテクトSTINGSは土俵際に追い込まれた。

 第3セットも、郡、西田が躍動した。しかし、2人が後衛に下がると、決め手を欠いた。5−5から3連続失点。ここで福山に代わって辰巳がコートに入る。郡のスパイク、西田のブロックでブレイク。さらにカジースキがサーブで相手にプレッシャーをかけ、10−10の同点に追いついた。
 反撃のチャンスはあった。しかし、勝負どころで決め切れない。辰巳の速攻があった。久保山のブロックポイントもあった。カジースキのブロックで1点差をキープしたが、14−15から3連続失点。代わって入った袴谷のサービスエースでブレイクするも、サーブレシーブのミスからすぐにブレイクを奪い返される。
 カジースキのスパイクで2点差に迫った。郡も高い打点から思い切りのいいスパイクを決めた。しかし、最後はイゴールに決められて試合終了。21−25でストレート負けを喫した。

 大事なファイナル6の初戦を落とした。「チームの雰囲気は悪くなかった。しかし、豊田合成さんはブロックと、ブロックの後ろ(ディグ)のシステムがきっちりしていてそこの差を感じた。明日もまた試合はあるので、チームで話し合ってそこを徹底的にやっていきたい」。試合後にこう振り返った西田。ファイナル3に進むためには、もう1試合も落とせない。しかし、これまで崖っぷちから這い上がってきたのがジェイテクトSTINGSだ。ここからが真骨頂である。

アーマツ・マサジェディ監督

ファイナル6の初戦を落としたのは残念です。決定率が低かった。西田は頑張っていたが、(カジースキ、浅野を含めた)3人の決定率が高くなければいけません。相手の攻撃を切り返した時も、必ずしもいいボールばかりが返ってくるわけではない。崩れた時も、いろいろな打ち方を考えなければいけません。途中から入った郡は頑張ったが、試合の流れを変えるにはいたりませんでした。相手も高いパフォーマンスを発揮していたが、個々が自分の役割に集中し切れていなかったことが敗因です。ただ、ファイナル6はまだ4試合残っているので、明日のパナソニック戦に向けて準備していきます。

久保山尚

完全に力負けです。(個人的なプレーは)ここ最近の試合の中では悪くなかったけど、もっとできることはある。そこをきっちりやっていかないと上位のチームには勝てないと思いました。レギュラーラウンドが終わってからの2週間は、今までにない攻撃パターンを組み合わせたり、確認しながらやってきました。それが出せた時はチームがうまくまとまっていたが、出せなかった時は連続失点をしたり簡単に切り返されていた。(黒星スタートとなったが)先のことばかりを考えても仕方がない。まずは明日のパナソニック戦をどうやって勝つかを考えていきます。

郡浩也

素直に楽しかったというのが今日の感想です。コートに立ったのはほんの少しでしたが、憧れの舞台で、応援してくれる人がいて、そこでプレーするのは楽しかった。(最初にフェイントを決めたが)出たからには点を取ってやる、絶対に決めてやるという気持ちでコートに入りました。ただ、最初は気持ちが空回りして、奇跡のフェイントをしてしまいました(笑)。通用すると思った部分はスパイクです。トスが合った時に自分の打点でしっかりとスパイクが打てたら決まると感じました。また、雰囲気をよくするというか声を出すのが僕のプレースタイル。それを大学でもやってきました。これからも、そのプレースタイルを貫きます。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

郡の活躍で決定率を上げられるか。サーブレシーブがカギを握る

サイドの決定率に課題を残した。カジースキが38.9パーセント、浅野にいたっては10本のスパイクを打って1本しか決めていない。イゴールとのマッチアップに気負いすぎたという点はあるだろう。その点では、郡の活躍はチームにとって明るい材料だ。第3セットはスタートから入って、トータルで8本のスパイクを決めている。13本の打数に対して、決定率は61.5パーセント。もちろん、相手にデータがなかったというアドバンテージはある。「初めて長い時間コートに入って、いいパフォーマンスを見せてくれた」とアーマツ監督。久保山も「意外とコース打ちができる」とその実力を認めている。課題はサーブレシーブか。郡のサーブレシーブが安定すれば、カジースキにかかる負担も減る。浅野の復調とともに、サーブレシーブの安定がファイナル6の命運を握っていると言っても過言ではない。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS 豊田合成トレフェルサ
第1セット 16 - 25
第2セット 22 ー 25
第3セット 21 ー 25
第4セット
第5セット
日付 2018年2月10日(土)
試合 V・プレミアリーグ ファイナル6 第1戦
場所 大田区総合体育館
メンバー カジースキ、金丸、福山、西田、久保山、浅野 L興梠、本間
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