ジェイテクトSTINGS VS サントリーサンバーズ

カジースキがトップフォームを取り戻し、西田も高い決定力を発揮。守備も安定し、会心の試合運びを見せる

 西田のバックアタックが相手のブロックを弾いた瞬間、ジェイテクトSTINGSのコートに歓喜の輪が広がった。5試合ぶりの勝利だ。3レグに入って、苦しい試合が続いていた。あと一歩で勝利に届かなかった試合もある。そのすべてを払しょくするような会心の勝利。何より、大型ルーキーの西田にささげる大きな白星になった。

 試合の入り方はよくなかった。気持ちは入っていたが、どこか空回りしていた。最初に3点を連続で失った。浅野のスパイクで2点を取り返したが、1回目のテクニカルタイムアウトを3点のビハインドで迎えた。
 中盤に入ってもなかなかエンジンがかからない。サイドを中心に攻撃を組み立てるが、サイドアウトを切るのが精一杯。3連続失点で8−13となったところで、アーマツ監督は1回目のタイムアウトを要求する。さらにラリーが取れず4連続失点。一方的な展開で、14−25で第1セットを失った。

 眠っていた獅子が目を覚ました。カジースキだ。第2セットに入って、チームが息を吹き返した。立ち上がりこそ一進一退だったが、要所で福山が速攻を決めて確実にサイドアウトを切っていく。西田は相変わらず好調をキープ。上がってきたトスを的確に決めて、僅差のまま中盤まで試合を進めた。
 2点のビハインドで2回目のテクニカルタイムアウトを迎えたが、西田の連続得点で同点に追いついた。さらに西田のサービスエースで18−17。ブロックでプレッシャーをかけて、相手からミスを誘った。しかし、サービスエースを決められて、再び20−21と1点を追う展開になった。
 反撃はここからはじまった。カジースキのスパイクでサイドアウトを切ると、相手にミスが生まれてブレイクポイント。さらに勝負どころでカジースキが決めて23−21とした。完全にジェイテクトSTINGSのペースだった。最後は福山のノータッチエースでフィニッシュ。5連続得点で、第2セットを25−21で制した。

 第3セットは西田の独壇場だった。強烈なスパイクで相手のブロックをなぎ倒した。パワーに加えてコースに打ち分けられるのが西田の魅力だ。相手ブロックの間隙を突いて、次々とスパイクを決めていった。
 要所で福山が速攻、ブロックで援護射撃。金丸はブロックで相手の攻撃に立ちはだかった。スパイクのコースを限定し、抜けてきたボールはリベロの本間が反応した。追いかける展開ではあったが、流れはジェイテクトSTINGSに傾いていた。これまでの試合とは異なる、明らかな“迫力”がコートに満ち溢れていた。
 11−15からの逆襲。久保山のツーアタックでサイドアウトを切った。相手の攻撃をしのぐと、西田、カジースキが立て続けに決めた。金丸、カジースキ、西田のブロックが相手にプレッシャーをかけた。相手のスパイクがことごとくラインを割る。仕上げは西田のブロックだ。怒濤の7連続得点で18−15。ジェイテクトSTINGSがこのセットの趨勢を決めた。
 あとは落ち着いて試合を進めるだけだった。粘り強くサイドアウトを切ると、西田のサービスエースなどで3連続得点。最後はカジースキのスパイクでラリーを制し、このセットを25−19で奪った。

 勢いに乗ったジェイテクトSTINGSは第4セットの立ち上がりに3点を連続で奪った。カジースキのサービスエースが決まった。西田も高い決定率を残した。4連続失点で逆転を許したものの、カジースキがバックアタックで得点を重ねていった。
 セッターの久保山はバランスよくトスを配球。要所で福山、浅野がスパイクを決めた。リベロの興梠を中心にサーブレシーブも安定していた。トップフォームを取り戻しはじめたカジースキが連続で決めて、16−13で2回目のテクニカルタイムアウトを奪った。
 18−16でカジースキにサーブが回ってくると、2本連続でサービスエース。さらに相手のサーブレシーブを崩すと、自らのバックアタックで21−16とした。一時は2点差まで追い上げられるが、西田のスパイクで嫌な流れを断ち切った。相手のスパイクがミスになってマッチポイント。最後は西田が決めて25−21とし、セットカウント3−1で勝利を奪った。

 ヒーローインタビューに西田が立った。1月6日のデビュー以来、初めての勝利だ。豪快なスパイクを決め続けた17歳が、ようやく安堵の笑顔を見せた。記者会見で西田は「初めての勝利なのでうれしいです。年明けのデビューから連敗が続いていて、自分でもどうしたらいいかと思っていた。先輩方からアドバイスをいただくなど、自分がやりやすいようにプレーさせてもらいました。だけど、自分の力だけでは何もできません。感謝しかないです」と笑顔を見せた。
 大きな勝利だ。しかし、まだ何も決まったわけではない。まずはファイナル6の進出に向けて、ここから一気に浮上したい。

アーマツ・マサジェディ監督

勝点3を獲得できてうれしいです。全員が自分のベストとチームメイトのために、懸命に戦った。チームが一つになって、0−1から逆転することができました。しかし、勝ちはしたけど、ミスもありました。そこは修正しなければいけません。浅野の決定率も上げないといけないし、セッターももっとうまくスパイカーを使わなければいけない。西田はよく決めたが、これからは相手も警戒してくるでしょう。勝ったことを喜ぶのは、試合後のミーティングでおしまいです。これから明日のためにしっかり準備します。

本間隆太

FC東京戦のあと、今までにないシリアスなミーティングをしました。全員が本音で、誰が何をすべきかを話し合った。それでチームが一つになれたと思います。練習も100パーセントでやってきました。第1セットは空回りしたけど、雰囲気は悪くなかったです。コンビやレセプション、ブロックとディグの関係など、細かい修正ができました。第2セット以降は、練習でやってきたことが出せました。何より、マテイ(カジースキ)や西田がいいところで点数を取ってくれました。しかし、ここで満足していたら、今までと一緒です。全員でレギュラーラウンド5位を目指し、ジェイテクトSTINGSらしいバレーをしていきます。

福山汰一

ミーティングでは、本音で話をして、全員が言いたいことを言えたと思います。そういう時間が作れたことで、「言ったからには自分もやらないといけない」という気持ちにみんながなれた。そこから高い意識で練習に取り組めるようになりました。はじめはミドルに上がってくるトスが少なかったけど、久保山さんと「もう少し上げてください」という話をして、そこから少し本数が増えてきました。全体的に被ブロックの数も減ってきたと思います。ここからは上位との対戦が続きますが、最低でも勝点は取らないといけない。その上で、フルセットでも勝てたらベスト。後手に回らず、攻めて先手を取りにいきます。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

ミーティングでチーム一丸。この勝利を浮上のきっかけにしたい

先週のFC東京戦のあと、チームは緊急ミーティングを開いたという。本音をぶつけ合った。涙を流す選手もいた。しかし、これでチームが一つになった。変わったのは練習の雰囲気だ。浅野が言う。「誰が見てもわかるくらいふだんの練習への取り組み方が変わりました。カジースキからも厳しい指摘を受けた。ふだんの練習から今日のようないいプレーができていたことが勝因だと思います」。たしかに第1セットは、気持ちが空回りした。しかし、第2セット以降は、ジェイテクトSTINGSらしいバレーを展開した。守備も安定していたし、粘りもあった。勝負どころでは、西田が確実に得点を重ねた。何より、カジースキがパフォーマンスを上げてきたことが大きい。レギュラーラウンドは残り3試合。この勝利をきっかけに、弾みをつけたいところだ。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS サントリーサンバーズ
第1セット 14 - 25
第2セット 25 ー 21
第3セット 25 - 19
第4セット 25 ー 21
第5セット
日付 2018年1月20日(土)
試合 V・プレミアリーグ 第18戦
場所 草薙総合運動公園体育館(このはなアリーナ)
メンバー カジースキ、金丸、福山、西田、久保山、浅野 L興梠、本間
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