ジェイテクトSTINGS VS JTサンダーズ

17歳の西田が先発出場。カジースキとともに、破壊力抜群の攻撃でチームを引っ張った

 ジェイテクトSTINGSの逆襲は、1セットダウンで迎えた第2セットから始まった。口火を切ったのは、抜群の得点感覚を持つ17歳の西田だ。カジースキがスパイク、ブロックでそれに続いた。リベロの興梠を軸にサーブレシーブも安定。相手の攻撃をしのぎ、確実に得点につなげた。久保山のノータッチエースも決まり、6−2と先行した。
 しかし、JTサンダーズのエドガーが放つ強烈なサーブに苦しんだ。高さのあるバックアタックにも手を焼いた。4連続失点で6−6。早くもこのセットの正念場を迎えていた。
 なかなか点差が広がらない。サイドアウトの応酬が続く。一時は10−11と逆転を許したが、西田、カジースキが立て続けに決めた。さらに、久保山が相手のスパイクをブロック。3連続得点でジェイテクトSTINGSが2点のリードを奪う。しかし、再びエドガーにサーブが回ってくると3連続失点。逆にジェイテクトSTINGSが2点を追う展開になった。
 久保山のトスワークが光り、柳澤、福山が確実に得点を重ねていく。カジースキがエドガーのスパイクをシャットアウト。これで20−20。さらにブロックでプレッシャーをかけ、相手からミスを誘った。21−20。ついにジェイテクトSTINGSがアドバンテージを握った。ディグで入った本間も懸命にボールに食らいついた。
 その後は互いに1点ずつを取り合った。決めたのはやはりこの男、カジースキだ。強烈なサーブを相手コートに突き刺し、25−23でこのセットを制した。

 第3セットも僅差のまま進行した。久保山が西田にトスを託す。西田はパワフルなスパイクで期待に応えた。要所で金丸、柳澤が加点。しかし、点差が縮まらない。それでも、許したリードは最大で3。中盤以降もカジースキのスパイクなどで粘り強くサイドアウトを切る。福山のCクイックなどコンビネーションも発揮。相手のブロックを揺さぶった。
 久保山がサーブで攻めて、返ってきたボールをカジースキがダイレクトでたたき込む。19−20。しかし、あと1点が遠かった。ブレイクポイントが奪えず、23−25でこのセットを失った。

 土俵際に追い込まれた。しかし、ジェイテクトSTINGSは諦めない。ついにカジースキが覚醒した。
 第4セットも西田のスパイクで先制。金丸のブロックでブレイクポイントを奪った。西田のブロックも成功。2点のリードで1回目のテクニカルタイムアウトを迎える。その後も柳澤のスパイクなどで確実にサイドアウトを切った。
 試合が動いたのは、10−8の場面だ。柳澤がサーブで攻め、カジースキがダイレクトスパイクを決めた。JTの攻撃をしのぎ、カジースキの豪腕が炸裂する。徹底してカジースキにトスを集め、得点を量産していった。14−8。ジェイテクトSTINGSが大きくリード。我慢の時間帯もカジースキが高い決定力を発揮した。
「出だしはいつも通りトスを上げていたけど、カジースキがそれ以上に跳んでいた。最初は少しコンビミスもあったけど、そこを修正できたことで、カジースキの決定率も上がってきたと思います」
 試合後にこう振り返った久保山。頼れるエースにトスを集め、チームは波に乗った。3連続失点のあとも、カジースキのスパイクでサイドアウトを切った。あとは落ち着いて試合を進めるだけだった。西田のノータッチエースで20−15。これで勝負あった。カジースキが決めてセットポイント。最後は金丸のブロックで25−19とし、勝負の行方をフルセットに持ち込んだ。

 実力差はほとんどなかったと言っていい。どちらに勝利が転がり込んでもおかしくなかった。しかし、第5セットの序盤は、カジースキのスパイクが立て続けに相手の高いブロックに阻まれた。タイムアウトで一度は嫌な流れを断ち切った。それでも、今度はサーブレシーブを崩されて3連続失点。3−8と崖っぷちに立たされた。
 ここからは一進一退。スコアボードの数字が両者の間を行き来した。ジェイテクトSTINGSは最後まで粘りを見せた。福山のブロックでラリーを制した。西田の左腕は衰えることを知らない。カジースキもネット際で強さを発揮した。
 しかし、序盤に開いた点差はあまりに大きかった。最後は久保山のサーブがアウト。11−15で敗れた。

 力は出し切った。完敗した前日の堺戦に比べれば、内容の濃い試合だった。明るい材料もある。スタメンで入った西田は、相手に脅威を与えた。選手の目の輝きも、最後まで消えることはなかった。
「とにかく勝たなければいけません。コンディションを整えることも大事。できる限りの準備をして、残り5試合、必ず勝ちにいきます」
 こう意気込みを話した久保山。勝利に向けて、勇敢に突き進んでいきたい。

アーマツ・マサジェディ監督

内容がよくても、勝たなければいけません。セット終盤で、どうすれば得点を取り切れるか。そこをすぐにでも突き詰めていきたい。たしかに若い選手が入って活躍してくれたことは収穫です。しかし、チームとして結果が残せていません。とにかく勝って、いい流れを作っていきたいと思います。今日は西田をスタメンで起用しましたが、17歳で初めての舞台とは思えないほど素晴らしいプレーをしてくれました。もちろん、まだまだ伸びます。もっと高いパフォーマンスを発揮してくれるでしょう。今日の敗因は細かい部分です。そこを修正できれば、相手がどこでも必ず勝てます。残り5試合。一つ一つの試合に100パーセントの力を出し切ります。

久保山尚

試合を作るセッターとして、最近はチームを引っ張っていけていないと感じています。そこをどうやって克服するか。もちろんプレーで引っ張っていけたらいいけど、自分のプレーがよくてもチームが乗ってこないこともあります。それでも、しっかりとコミュニケーションを取って、もっとチームを引っ張っていけるようにしなければいけません。ここからは、技術だけでなくメンタルでも引っ張っていくことを意識して、一つ一つの試合を積み重ねていきたいと思います。西田が入ってきて、他の選手にも「自分がしっかりしなきゃ」という気持ちが芽生えてきました。新しい刺激が入ったことで、各自が自分の役割を果たせるようになったと思います。

柳澤広平

心の拠り所というか、『うちのチームはこうだ』という部分が欠けていたように思います。自分がやるのは当然として、そこが足りませんでした。そうした部分が、セット終盤などの競っている場面でボールをつなぎ切れないというところに表れたと思います。個人的には、一番貢献しなければいけない攻撃の部分で存在感を出せていませんでした。ラリーになって僕にトスが上がってきて、ここで決められたらという場面がいくつもあったけど、結果的に決めたのは1本あるかないか。やはりラリーに強い選手にならなければいけないと感じました。またチャンスがあれば、臆することなく自分の得意なプレーを出せるように頑張ります。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

最後は気持ち。ファイティングポーズを下ろすのは、まだ早い

試合が終わり、柳澤がこんな話をしてくれた。前日の堺戦のことだ。「セット間にコートを入れ替わる時、相手チームとすれ違うじゃないですか。その時、堺の選手が『自分たちはチャレンジャーだ』と言っていたんです。すごい気迫でした。だからこそ、前回対戦した時とはまったく違うバレーをしていた。むしろ、同じだったのは自分たちの方でした。そんなチームとファイナル6をかけて争わなければいけない。自分たちも今までと同じようにやっていたらダメなんです」。覚悟を伴った言葉だ。たしかに戦略も大切だし、勝負どころで得点を奪う技術も必要だろう。しかし、最後に明暗を分けるのは、やはり気持ちである。シーズンが開幕する前、アーマツ監督は「ファイティングスピリット」という言葉を何度も繰り返していた。残り5試合。ファイティングポーズを下ろすのは、まだ早い。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS JTサンダーズ
第1セット 19 ー 25
第2セット 25 ー 23
第3セット 23 - 25
第4セット 25 ー 19
第5セット 11 ー 15
日付 2018年1月7日(日)
試合 V・プレミアリーグ 第16戦
場所 広島県立総合体育館(グリーンアリーナ)
メンバー カジースキ、金丸、福山、柳澤、西田、久保山 L興梠、本間
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