ジェイテクトSTINGS VS 筑波大学

抜群の集中力を発揮した第1セット。第2セット以降も落ち着いた試合運びを見せ、相手に付け入る隙を与えなかった

 天皇杯・皇后杯 全日本バレーボール選手権大会の準々決勝。相手は、前日の2回戦でV・プレミアリーグの堺を下した筑波大学だ。大学生とはいえ、絶対に油断はできない。そのことは、すべての選手が自覚していた。ジェイテクトSTINGSは、立ち上がりから最大限の集中力を発揮した。

 カジースキのブロックで幕を開けた。福山のブロックなどで4−2とし、優勢に試合を進める。要所で柳澤が決めて、8−5で1回目のテクニカルタイムアウトを奪った。
 その後もジェイテクトSTINGSの攻勢が続く。セッターの久保山は調子のいいカジースキにトスを集めて攻撃を組み立てた。ブロックとレシーブの関係も機能し、相手の攻撃を立て続けに封じ込める。
 圧巻は、カジースキのサーブだ。15−9から、強烈なジャンプサーブを何度も相手のコートに突き刺した。立ちはだかったレシーバーの腕をことごとくなぎ倒していく。筑波大学の守備を粉砕した。8本連続でブレイクポイント。そのうちの実に6本をカジースキのサービスエースで稼ぎ出した。
 これで23−9。福山の速攻でセットポイントを奪うと、第1セットを25−12で圧倒した。

 第2セットも、ジェイテクトSTINGSのペースで試合が進行した。浅野のスパイクで先制。金丸の速攻やカジースキのサービスエースなどで確実に得点を積み重ねる。相手の調子が上がった時も、我慢しながらサイドアウトを切っていった。サーブレシーブに入ったリベロの興梠、ディグに入った本間も、しつこくボールに食らいついた。
 中盤は一進一退。ジェイテクトSTINGSはカジースキのスパイクなどで3連続得点を奪い、ようやく16−14と粘る筑波大学を突き放す。金丸もネット際で強さを発揮。ブロックで粘り、長いラリーを柳澤のスパイクで制した。久保山がツーで返したボールが、相手コートの後方にぽとりと落ちる。21−17。さらに浅野のファインプレーでつないだボールを、福山がブロックで仕留めて22−18とした。
 お見合いによるミスもあったが、この日のジェイテクトSTINGSは悪いムードを引きずらない。カジースキが決めてセットポイント。25−21で2セットを連取した。

 第3セットに入ってもジェイテクトSTINGSの集中力は途切れなかった。3−3の場面。本間がベンチに突っ込みながらボールをつないだ。それをカジースキがたたき込む。勢いをつかんだジェイテクトSTINGSは福山が一枚で相手の速攻をシャットアウト。浅野もブロックを決めて6−3と点差を広げる。その後もカジースキのスパイクなどでサイドアウトを切り、8−5で1回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 中盤は再びカジースキの独壇場だ。12−9でサーブが回ってくると、連続でサービスエースを決めた。強烈なサーブでプレッシャーをかけ、相手からミスを誘う。さらにもう一度、サービスエース。5連続得点で16−9とし、一気に決着をつけにいった。
 途中から入った松原が、守備に安定感をもたらした。あとは落ち着いて試合を終わらせるだけだった。一時は3点差まで詰め寄られるが、カジースキのバックアタック、浅野のスパイクですぐに突き放した。相手の粘りにも屈しなかった。
 カジースキが決めて20点目。金丸も速攻を決めた。カジースキがこの日、11本目となるサービスエースを決めてマッチポイント。最後は松原がスパイクを決めて、25−18で締めくくった。

 相手の力を真っ向から受け止め、その上で快勝した。プレミアの意地を見せた勝利だ。来週の準決勝は、豊田合成との対戦に決まった。「トーナメントなので、負けたら終わり。まずは次の準決勝に100パーセントの力を出し切りたい。フィジカル、メンタル、技術、戦術、すべてにおいてしっかりと準備をして臨みます」とアーマツ監督。昨年は同じ組み合わせで、1−3で負けている。いざ、リベンジの時だ。

アーマツ・マサジェディ監督

相手が筑波大学に決まり、選手には昨日からプレッシャーを入れていました。雰囲気で負けないことが重要です。その上で、一人一人が自分の役割を果たし、流れが悪い時は我慢しながら戦わなければいけません。選手たちはいい試合をしてくれました。カジースキも100パーセントの力を出してくれた。ミスもあったけど、すぐに気持ちを切り替えたことで何も問題はありませんでした。V・プレミアリーグは週末に2試合ありますが、来週はとにかく準決勝に向けて100パーセントの準備をします。ファイナルのことは1パーセントも考えません。豊田合成との対戦に向けてしっかりと対策を練り、万全の状態で臨みます。

福山汰一

昨日の第1セットは少しもたついたところがあったけど、今日はみんなが気を引き締めて試合に入りました。相手どうこうよりも、今日の試合を勝ちにいくスタンスで戦っていたので、勝ててよかったです。相手のいいサーブも入っていたけど、それをレシーバー陣がしっかりと返してくれました。サイドアウトも取れていたので、相手に勢いづかせることなく試合を進められたと思います。V・プレミアリーグは2レグに少し負けが続いていたけど、この大会で上位に行けば、みんなが自信を持って3レグに臨めると思う。準決勝もしっかりと対策を練って、ベストコンディションで挑みます。

柳澤広平

気合いを入れてきた分、ストレートで勝ってうれしいのと同時に、ホッとした気持ちです。自分自身、最近はみんなの足を引っ張っている部分が多かったので、気負わずにやろうと思っていました。体もしっかり動いて、サーブレシーブも安定していたと思います。ただ、本業のスパイクにミスが多く、来週までに修正しなければいけない課題が見つかりました。チームとしては、ブロックでタッチを取って、切り返しから得点につなげられる場面が多かった。いい形でブレイクポイントが取れていました。天皇杯には、負けたら終わりという緊張感があります。先のことは考えず、まずは目の前の試合に全力を出し切ります。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

会心の入り方で主導権を掌握。最後まで全員の集中力が高かった

試合が始まってすぐに勝利を確信した。それくらい完璧な入り方だった。選手一人一人の集中力が極めて高かった。「V・プレミアリーグのチームとして、大学生に負けるのはやはりいいことではありません。2年前は東海大学に負けた記憶も残っている。その分、立ち上がりからしっかり戦えました」と福山。柳澤も「筑波大学は昨日もいい試合をしていた。大学生だからといって、甘く見て勝てる相手じゃない。プレミアの意地もあるので、3−0でしっかり快勝してやろうと思っていました」と振り返っている。たしかにカジースキのサーブが走ったことで楽に戦えた。しかし、それにも増して全員の集中力が高かった。それが、最初から最後までイニシアチブを取り続けた要因である。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS 筑波大学
第1セット 25 - 12
第2セット 25 ー 21
第3セット 25 - 18
第4セット
第5セット
日付 2017年12月17日(日)
試合 平成29年度 天皇杯・皇后杯ファイナルラウンド 準々決勝
場所 東京体育館
メンバー カジースキ、金丸、福山、柳澤、久保山、浅野 L興梠、本間
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