ジェイテクトSTINGS VS 近畿大学

硬さが見られた第1セットを苦しみながらも先取。途中出場の選手が活躍し、第2セット以降は快勝する

 天皇杯・皇后杯 全日本バレーボール選手権大会のファイナルラウンドが幕を開けた。今季最初のタイトルがかかった大会である。V・プレミアリーグの2レグを6位で折り返したジェイテクトSTINGSにとっては、ここで勢いをつけて年明けの3レグにつなげたいところだ。
 一発勝負のトーナメント戦。絶対に負けられない初戦で、ジェイテクトSTINGSは近畿大学と対戦した。

 立ち上がりはやや硬さが見られた。それでも、カジースキのスパイクでリズムをつかむと、浅野のサービスエースで連続得点。柳澤、福山が確実に得点を積み重ねていく。サービスエースを取られて一時は逆転を許したが、カジースキの活躍などでジェイテクトSTINGSが8−6と再びリードを広げた。
 金丸がネット際で強さを発揮し、カジースキのブロック、浅野のスパイクで3連続得点。11−8となったところで、近畿大学は最初のタイムアウトを取る。攻撃の手を緩めないジェイテクトSTINGSは、要所でカジースキが決めて波に乗った。
 しかし、中盤はジェイテクトSTINGSが負のスパイラルに陥る。サイドアウトが切れない。サーブレシーブも崩された。15−16で2回目のテクニカルタイムアウトを迎えると、そこからさらに2失点。15−18とビハインドが3点に広がった。
 プレミアの意地を見せたのはここからだ。浅野のスパイクでサイドアウトを切った。金丸がリーグトップクラスのブロック力を発揮。20−21と1点差に迫ると、ここで近畿大学が2回目のタイムアウトを要求する。ジェイテクトSTINGSはカジースキにトスを集めてたたみかけた。23−22と逆転に成功。福山が決めてセットポイントを奪うと、最後は途中から入った松原のスパイクでフィニッシュ。25−23で第1セットを先取した。

 これで楽になったジェイテクトSTINGSは、第2セットに入ると一気呵成に攻め込んだ。福山が好調をキープ。カジースキも豪快にサービスエースを決めた。浅野も高い決定力でスパイクをたたき込んだ。
 11−8になったところで、カジースキに代わって清野がコートに入った。浅野がライトから決めると、柳澤のスパイクで長いラリーを制した。13−9になって、近畿大学は1回目のタイムアウトを要求。ジェイテクトSTINGSは清野のスパイク、福山のブロックなどで加点し、5点のリードで2回目のテクニカルタイムアウトを迎える。
 浅野に代わって松原がコートに入った。清野のスパイク、福山のサービスエース、金丸のブロックなどで5連続得点。終盤には廣瀬をコートに送り込んで、チームのムードを活性化。柳澤が決めて、25−15でジェイテクトSTINGSがこのセットを圧倒した。

 第3セットは、スタートから大きくメンバーを入れ替えてきた。オポジットは清野。辰巳と廣瀬がセンター線で対角を組んだ。松原もそのままコートに残った。
 廣瀬の速攻でジェイテクトSTINGSが先制。清野のスパイクなどで3連続得点を奪う。近畿大学は早くも1回目のタイムアウト。その後は清野が立て続けに決めて、10−5と大きくリードを広げた。
 サーブが走った。リベロの興梠、本間も安定していた。廣瀬のブロック、清野のスパイクなどで5連続得点。ジェイテクトSTINGSが完全に試合のイニシアチブを握った。
 中盤には柳澤に代わって江頭がコートに立った。今季、公式戦初出場だ。途中から入ったセッターの渡邉が持ち前の高さを発揮。立て続けにブロックを決めて、チームに勢いをつける。廣瀬の速攻でマッチポイント。落ち着いた試合運びを見せたジェイテクトSTINGSがこのセットを25−15で制し、ストレート勝ちを決めた。

 第1セットは苦しんだが、それ以降は安定した戦いぶりだった。効果的に選手を入れ替えて、相手に揺さぶりをかけた。明日の準々決勝は、堺ブレイザーズに勝った筑波大学と対戦する。「どちらが勝ち上がってきても、自分たちがやるバレーは大きく変わらない。明日に向けてしっかりとコンディションを調整していきます」と久保山。このまま上昇機運に乗っていきたい。

アーマツ・マサジェディ監督

第1セットは少し緊張がありました。しかし、いい試合をすれば必ず勝てます。大事なのは、相手を大学生だと思わないこと。同じV・プレミアリーグのチームだと思って戦わなければいけません。その上で選手には、100パーセントの力を出しなさいと伝えました。第2セット以降はいい流れになって、代わって入った選手もよく頑張ってくれたと思います。とにかく一試合一試合、全力で臨むことが大切。目の前の試合に集中していいパフォーマンスを発揮すれば、必ずいい結果が出ます。そのために、チーム一丸となって頑張ります。

清野真一

初戦ということで硬さがあり、第1セットは競った展開になりました。チームの雰囲気も暗かったし、声が出ていない感じがした。第2セットの途中から入りましたが、まずは声を出して選手同士でコミュニケーションを取り、自分たちのリズムでバレーをすることを心がけました。また、第1セットは、浅野や(柳澤)広平の調子も上がっていなかった。そのため、久保山も僕を使って勢いをつけたかったのだと思います。最初にスパイクを決めることができ、一気にいけたのでよかったです。天皇杯は一発勝負で、何が起きるかわかりません。まずは明日の試合にしっかり勝ち、全員で戦って優勝できるように頑張ります。

久保山尚

初戦の相手は一か八かで攻めてきます。一昨年は痛い思いをしたので、同じことを繰り返さないようにしっかりと準備してきました。第1セットはずるずるいく場面もあったけど、第2セット以降に修正できたのでよかったです。第2セット以降は、マテイ(カジースキ)もコートを離れましたが、日本人選手だけでうまく攻撃を回せたと思います。ジェイテクトSTINGSはまだタイトルを取ったことがありません。天皇杯は、僕が大学4年の時に準優勝しています。昨年の黒鷲旗も決勝戦で負けました。まずはタイトルを取るために、全員で頑張っていきたいと思います。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

難しい初戦に快勝。上々の滑り出しを見せた

初戦の難しさというのがある。2年前の天皇杯は、大学生を相手に初戦で敗れた。あの悔しさを忘れた選手はいない。特に初戦の相手は、番狂わせを狙って思い切って攻めてくる。しかも、今回は4つのコートの端にあるAコート。いつも戦っているリーグ戦に比べて、コートや照明などに不慣れな点もある。しかし、今日のジェイテクトSTINGSは落ち着いていた。「いつでもいけるように準備していた」と言う清野も「体育館の天井が高かったけど、うまくプレーできました。明日からも不安なく戦えると思います」と手応えをつかんでいる。チームに慢心もない。しっかりと準備をしてきたことが伺える内容だった。4年ぶりのファイナルに向けて、上々の滑り出しと言えるだろう。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS 近畿大学
第1セット 25 - 23
第2セット 25 ー 15
第3セット 25 ー 15
第4セット
第5セット
日付 2017年12月16日(土)
試合 平成29年度 天皇杯・皇后杯ファイナルラウンド 2回戦
場所 東京体育館
メンバー カジースキ、金丸、福山、柳澤、久保山、浅野 L興梠、本間
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