ジェイテクトSTINGS VS JTサンダーズ

カジースキにトスを集めて好発進。前日の敗戦から気持ちを切り替え、すべてのセットを接戦に持ち込む

 選手たちの目の色が変わった。レギュラーラウンドの折り返しとなる11試合を終えて5勝6敗。わずか1試合だが、先行を許した黒星に誰もが危機感を抱いている。豊田合成に0−3で敗れた日は、選手間でミーティングを開いたという。個人個人が思っていることを言い合った。迎えたJTサンダーズとの一戦。この試合にかけるジェイテクトSTINGSの思いは、立ち上がりに表れていた。

 スタートのメンバーに変化があった。セッターは久保山。ミドルブロッカーには3試合ぶりに福山が入った。立ち上がりは、オポジットのカジースキにトスを集めて攻撃を組み立てた。幸先のいいスタートだった。柳澤のスパイク、福山の速攻も決まった。チャンスを確実にものにし、8−6で1回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 その後はサイドアウトの応酬。アウトと判定された柳澤のバックアタックに、アーマツ監督がすぐさまチャレンジを要求。これが成功し、ジェイテクトSTINGSの得点になった。カジースキがスパイク、ブロックで次々と得点を稼ぎ出す。要所で浅野も決めた。我慢の時間帯をしのぎ切り、2点のリードをキープした。一度は同点に追いつかれたが、カジースキがサーブで攻めて相手からミスを誘う。20−18となったところで、JTが1回目のタイムアウトを要求した。
 しかし、ここから試合が一気に動く。JTに3連続得点を奪われて20−21。福山の速攻でサイドアウトを切ったが、再び21−23とリードを許した。22−24とJTのセットポイント。カジースキのスパイクが決まって1点差に詰める。チームを救ったのが久保山だ。強烈なサーブでエースを奪い、24−24の同点に追いついた。
 JTに再びセットポイントを奪われたが、カジースキのスパイクで粘りを見せる。ジェイテクトSTINGSの集中力は最大限に高まっていた。柳澤のブロックでついに先行した。最後は金丸がブロックを決めて、執念で第1セットをもぎ取った。

 苦しみながら第1セットを先取した。しかし、続く第2セットはJTの一方的な展開に持ち込まれる。いきなり4点のリードを許した。メンバーを入れ替えてきたJTに翻弄された。浅野のスパイクでサイドアウトを切った。カジースキも2本連続でスパイクを決めた。しかし、4−6から6連続失点。カジースキのスパイクが決まらず、福山の速攻も止められた。この間に2度のタイムアウトを消化し、ジェイテクトSTINGSは早くも追い込まれた。
 ここで気を吐いたのがカジースキだ。ライトから豪快なスパイクを決めた。さらに強打と軟打を使い分けて2本連続でサービスエース。4連続得点で、4点差に縮めた。
 脅威の追い上げはここからだった。二枚替えで入った袴谷のスパイクでブレイクポイントを奪った。一度はリードを5点に広げられたが、浅野、カジースキが続けて決めて再び3点差。さらに柳澤の活躍で長いラリーを制し、ついに1点差まで迫る。リベロの興梠が粘り強くサーブレシーブを返した。本間も相手の攻撃に必死に食らいついた。23−25。最後はJTに押し切られたが、あれほど開いていた点差は、最小得点差の2点まで縮まっていた。

 白と緑の応援合戦も見応えがあった。体育館を埋め尽くした緑を、白の声援が圧倒した。勢いはジェイテクトSTINGSにあった。第3セットの立ち上がりも、カジースキのスパイク、柳澤のブロックで3−1と先行した。1回目のテクニカルタイムアウトは7−8で取られたが、柳澤に代わって入った松原がチームを盛り上げた。
 1点を追いかける展開から、福山の速攻、カジースキのバックアタックで逆転に成功。要所で浅野も決め、16−14で2回目のテクニカルタイムアウトを迎える。
 一度は同点に追いつかれたが、ここから互いに1点ずつを取り合う展開。福山のブロックでジェイテクトSTINGSが20−19としたところで、廣瀬がコートに入った。勢いをつけたかった。20−21と逆転を許したが、柳澤、カジースキが決めてすぐにブレイクポイントを取り返した。しかし、ここから3連続失点。スパイクミスが響いた。浅野のスパイクで1点を取り返すが、23−25で失セットを喫した。

 あとがなくなった。しかし、第4セットの立ち上がりもJTに主導権を握られる。サーブレシーブが崩れ、カジースキのスパイクも止められた。金丸のブロックなどで反撃するが、細かいミスもあって3−7。しかし、ジェイテクトSTINGSも凄まじい粘りを見せる。柳澤のスパイクは止められたが、金丸がカバー。興梠がつないだボールを、後衛の浅野が豪快にたたき込んだ。4−8で1回目のテクニカルタイムアウトを落としたが、気力までは衰えていなかった。
 カジースキが躍動した。サーブで攻めて、久保山のブロックをお膳立て。サービスエースを決めて、8−8の同点に追いついた。激しい点の取り合いになった。ジェイテクトSTINGSが久保山のブロックでブレイクポイントを奪うが、ラリーを取り切れず3連続失点を喫する。僅差のままセット後半に突入。カジースキのスパイクなどでラリーを制し、粘り強く得点を重ねていった。しかし、18−21となったところでアーマツ監督は2回目のタイムアウトを要求。カジースキのスパイクでサイドアウトを切ったものの、最後はサーブレシーブが崩れて3連続失点。20−25で敗れた。

 痛い一敗になった。順位も6位に下げた。しかし、同じ負けでも昨日の負けとは大きく異なる。チームは最後まで戦う姿勢を崩さなかった。「今日は選手たちからファイティングスピリットが溢れていた。勝つために100パーセントの力を出し切った。勝つことはできなかったけど、来週までに修正したい。レギュラーラウンドの後半戦、そしてファイナル6に向けて、一戦一戦を大事に戦っていきます」とアーマツ監督。巻き返しに向けて、これからの一戦一戦、一球一球がさらに重みを増していく。

アーマツ・マサジェディ監督

私たちは若いチームです。我慢しながらいい試合をして、少しずつチームを作っていかなければいけません。第3セットを取れなかったことはたしかに大きかった。ふだんからプレッシャーを感じながら練習し、大事な時にミスを出さないようにしなければいけません。わかっているはずのミスを繰り返しては、絶対にいけないのです。ただ、今日は昨日よりもいい内容でした。結果が出なくて苦しいけど、まだシーズンが終わったわけではありません。来週のFC東京、パナソニックとの対戦も、勝つために100パーセントの力を出し切ります。

久保山尚

先々週から(カジースキ)マテイがオポジットに入りましたが、今日の試合は今まで以上にフィット感が増していたと思います。立ち上がりはマテイを使って、リズムが出てきたら周りを使うことを意識していました。レセプション自体は悪くありません。そこをどううまく使うかは自分次第。データも取られているので、しっかり考えていきたいと思います。今日は、点数を取れるところで取れていませんでした。それができていれば、今日の第3セットも勝てたと思います。全員が高い意識を持って、確実に1点を取っていきたいと思います。

福山汰一

自分の持ち味を出そうと思いましたが、それがなかなかできないまま終わってしまいました。第3セットが勝敗の分かれ目だったと思います。タイムアウトの時も「ここを取らないとキツいよ」と言っていたので悔しいですね。今日の第2セットは追いついたけど、どこと対戦しても出だしで3、4点の差が開く。全体の決定率を上げなければいけないと感じました。ただ、みんなの戦う姿勢は悪くなかったと思います。最近の中では一番よかった。そこは継続し、一人一人が決定打を増やしていくことが大事。練習の時からしっかりやっていきます。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

久保山が今季から変えたジャンプサーブでエース。攻めるサーブがチームを救う

男子が公式戦で使用するボールが、今季からモルテン製に変わっている。ミカサ製に比べて変化しにくく、コントロールがしやすい。そのためだろうか、今季は多くのチームがサーブを強化している。ジェイテクトSTINGSでは久保山がジャンプサーブを打つようになった。今日の第1セット、23−24の土壇場で生まれたサービスエースも、久保山の強烈なジャンプサーブだった。「サーブがよくなれば、チームにとってもプラスになる。トスを上げるだけでなく、サーブでも貢献していきたい」と久保山。いいサーブを打って相手から攻撃の選択肢を奪えば、ブロックとディグの連携にもつながる。トータルディフェンスの要と言ってもいい。苦しい試合が続いているが、攻めるサーブを巻き返しのきっかけにしたいところだ。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS JTサンダーズ
第1セット 27 - 25
第2セット 23 - 25
第3セット 23 - 25
第4セット 20 ー 25
第5セット
日付 2017年12月3日(日)
試合 V・プレミアリーグ 第12戦
場所 呉市総合体育館(オークアリーナ)
メンバー カジースキ、金丸、福山、柳澤、久保山、浅野 L興梠、本間
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