ジェイテクトSTINGS VS 東レアローズ

諦めないメンタリティで、取られたセットを取り返す。第4セット以降は、今季初出場の廣瀬が雰囲気を盛り上げた

 2日続けてのフルセットである。勝負の行方がどちらに転ぶかわからない中、ジェイテクトSTINGSは戦い続けた。最後の1点が入るまで、ファイティングポーズを崩すことはなかった。2−3で敗れはしたが、大きな手応えをつかんだ。レギュラーラウンドの後半戦、そしてファイナルラウンドへ向けて、可能性の高さを感じさせた。
 第1セットは東レアローズに軍配が上がった。ジェイテクトSTINGSはミドルブロッカーの辰巳が先発。その辰巳のサーブから試合がはじまった。柳澤のスパイクで先制。一進一退の展開が続いた。しかし、中盤にミスが重なって連続失点。終盤もサーブレシーブを崩された。松原がコートに入ったが、点差を縮めることができず17−25で敗れた。

 ジェイテクトSTINGSが本領を発揮するのは第2セットに入ってからだ。セッターの久保山はサイドにトスを散らして攻撃を組み立てた。浅野のスパイクでサイドアウトを切る。要所で辰巳が速攻で加点。さらにカジースキの大車輪の活躍で、確実に得点を重ねていく。強打と軟打をバランスよく打ち分けながら、東レの高いブロックをかわしていった。
 さらに辰巳がサーブで攻めた。ノータッチエースを決めて13−13。柳澤のブロックで追加点を奪った。カジースキのスパイクなど4連続得点で、15−13と一気に逆転。ここから激しい点の取り合いになった。3連続失点を喫したが、カジースキのスパイクでブレイクポイントを取り返す。これで17−16。ここから逆転を許すものの、カジースキのスパイクで再び20−19と逆転に成功する。
 ラリーで競り負けて20−21となったところでアーマツ監督はタイムアウトを要求。これで流れが変わった。浅野が決めてサイドアウトを切ると、カジースキの強烈なサーブが炸裂。サービスエースを2本連続で決め、23−21とスコアをひっくり返した。あとは確実に1点ずつを重ねていくだけだった。最後は相手のサーブがミスになり、ジェイテクトSTINGSが25−23でこのセットを取り返した。

 第3セットは、ジェイテクトSTINGSが追いかける展開。カジースキが先制点を決めた。金丸もブロックで加点した。久保山がワンハンドで上げたトスを浅野が高い打点から打ち込んだ。辰巳がサービスエースを決めて6−6。前日同様、ジェイテクトSTINGSは我慢強く戦った。
 しかし、3連続失点で10−14。これ以上、点差を離されたくないジェイテクトSTINGSは、セッターを久保山から渡邉に代える。ここから一進一退の展開が続いた。カジースキのスパイクで粘り強く得点を重ねていく。しかし、点差は縮まらず17−23。清野を投入して2点差まで迫ったが、最後は東レにサーブで押し切られ、21−25でこのセットを落とした。

 第4セットも試合の流れが両者の間を激しく行き来した。金丸のブロックで長いラリーを制し、ジェイテクトSTINGSが最初の1点を奪った。1回目のテクニカルタイムアウトは8−7。カジースキ、柳澤が気迫のこもったスパイクをたたき込んだ。辰巳の攻めるサーブも奏効した。
 意地と意地のぶつかり合いだ。長いラリーをカジースキのスパイクでもぎ取った。気力で相手を上回った。さらに9−9になったところで、金丸に代えて廣瀬を投入する。廣瀬は今季初出場。フレッシュな力でコートを縦横無尽に駆け回り、チームに勢いをつけた。チームの推進力がさらに高まった。
 流れに乗ったのが柳澤だ。2本連続でスパイクを決め、16−14で2回目のテクニカルタイムアウトを迎える。廣瀬の速攻でサイドアウトを切ると、柳澤が相手のスパイクをブロックして連続得点を奪った。渡邉−廣瀬のホットラインも機能。一時は23−21と2点差に迫られるが、タイムアウトで嫌な流れを断ち切った。仕上げはやはり柳澤だ。相手の攻撃をしのぐと、廣瀬が上げたトスを決めてフィニッシュ。25−21でジェイテクトSTINGSがセットカウントを2−2のタイに戻した。

 運命の第5セット。ジェイテクトSTINGSは、廣瀬がそのままコートに立った。柳澤が決めて先制。廣瀬、カジースキの得点で3−1とリードを広げる。高さのあるセッターの渡邉はブロックでも得点を稼いだ。ジェイテクトSTINGSが5点目を取ってからは、サイドアウトの応酬が続く。カジースキが放つスパイクの威力は落ちない。しかし、チームの疲労は確実に蓄積されていた。
 迎えた終盤。カジースキのスパイクで先にマッチポイントを奪った。あと1点。しかし、ここで決め切れず、14−15と逆にリードを許す。相手のサーブミスで一度は追いついた。しかし、15−16の場面で放った廣瀬のスパイクは無情にもアウト。15−17の僅差で敗れた。

 好ゲームだった。価値ある敗戦である。相手に先行を許しても、息切れすることなく最後まで戦った。敗れはしたが、2試合連続のフルセットでつかんだ経験は無駄にはならない。2日間フル稼働した柳澤は、悔しさをにじませながらもこう振り返った。「1レグは、第1セットを悪い状況で取られると、第2セットで立て直せずそのままストレートで負けるのが一つのパターンだった。この2日間は、あとがない状況から盛り返すなど、気持ちもプレーも前向きに戦えました」。戦力を総動員し、チームは一回り以上、大きく成長した。
 来週は現在4位の豊田合成、3位のJTと対戦する。大事なのは、今週の2試合でつかんだ自信を確信に変えることだ。上位との対戦で2連勝し、一気に浮上したい。

アーマツ・マサジェディ監督

廣瀬もチームの一員です。彼のスパイクが、チームを盛り上げてくれたらと思い投入しました。ブロックもよかったし、サーブでも相手を苦しめていた。最後のスパイクはアウトになったけど、それも試合の一部。代わって入った選手は全員がよく頑張ってくれました。勝敗はちょっとの差。第5セット、相手はミスをすることなく頑張った。自分たちがやらないといけないバレーを相手にやられてしまいました。悔しいけど、いい経験になりました。次にフルセットになった時は、この経験を生かせると思います。

廣瀬優希

今季初めての出場だったので緊張はありました。雰囲気を上げることと、相手はミドルブロッカーがけっこう決めていたので、そこを押さえたら流れが変わると思っていました。それに、(渡邉)峻は今季からリーグ戦に出るようになって、まだまだ慣れていません。僕は一年間経験させてもらっているので、最初の緊張はわかります。セッターはなおさら緊張すると思う。僕がトスを呼ぶことで峻が少しでも楽になれば、チームもうまく回ると思いました。みんな実力があるので、雰囲気さえ変えればどこと戦っても負けません。これからも、コートに入る時は、雰囲気づくりを意識したいと思います。

柳澤広平

2試合続けてのフルセットは、僕にとって初めての体験です。昨日のフルセットで体にダメージはあったけど、しっかりとケアをして今日の試合に臨みました。ただ、他の選手に比べて体力がないと痛感した2日間でした。それでも最後まで戦えた一番の要因は、経験だと思います。最初はどうしようと思っていたけど、1カ月みっちり練習するくらいの経験を昨日の試合で得ることができました。場慣れというか、そのおかげで少しは慣れました。勝負どころの1点を取るためにも、ふだんから試合を意識して練習していきたいと思います。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

今季初出場の廣瀬が雰囲気を変えた。チーム内の競争で、ジェイテクトSTINGSはさらに強くなる

その時が訪れたのは、第4セット9−9の場面だ。今季初めて、廣瀬がコートに立った。明らかにコートの上の雰囲気が一変した。「最高でした」と笑うのは柳澤だ。「僕もけっこう騒ぎますけど、ああいうキャラでいきなりああいうことをやる人はいない。しかも、廣瀬さんと(渡邉)峻のラインには信頼関係があります。廣瀬さんが『俺に持ってこい』とか『任せろ』と言うのは頼もしかったですね。さすがだなと思いました」。ふだんからABチームに分けず、全員が同じ練習をするのがアーマツ監督のやり方だ。やや緊張を見せながらも、廣瀬の活躍が試合を接戦に持ち込んだ。もちろん、交代した金丸の調子が悪かったわけではない。決定率こそ上がらなかったが、今日も2本のブロックで得点を稼いでいる。辰巳もサーブでコンスタントに活躍した。チームにとって幸いなのは、ミドルブロッカーの競争が熾烈なことだ。今日は出番がなかった福山も、巻き返しの機会を伺っているに違いない。こうして層が厚くなり、チームは強固な一枚岩になる。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS 東レアローズ
第1セット 17 ー 25
第2セット 25 ー 23
第3セット 21 ー 25
第4セット 25 ー 21
第5セット 15 ー 17
日付 2017年11月26日(日)
試合 V・プレミアリーグ 第10戦
場所 富山市総合体育館
メンバー カジースキ、金丸、柳澤、辰巳、久保山、浅野 L興梠、本間
Photo