ジェイテクトSTINGS VS サントリーサンバーズ

カジースキがオポジットに入ったことで守備が機能。攻撃では柳澤が大車輪の活躍を見せる

 ポジションに大きな変化があった。レフトのカジースキが、オポジットにコンバート。それまでカジースキが入っていたポジションに浅野が入り、柳澤と対角を組んだ。ポジション変更のメリットについて浅野が言う。
「一番は全員の役割が明確になったこと。カジースキは攻撃を重視し、柳澤もレセプションはそこそこに攻撃で頑張ってくれる。二段トスをこの2人に打ってもらい、自分とリベロはレセプションとディグで頑張る。その役割が前回よりもはっきりしている分、うまく回ったと思います」
 先週は北海道で2連敗を喫した。これ以上、悪い流れを引きずるわけにはいかない。このポジション変更は、覚悟を伴った決断でもある。

 立ち上がりは拮抗した。セッターの久保山が最初に選択したのはカジースキだった。しかし、このスパイクは相手のブロックに阻まれる。先制を許したが、カジースキのブロックでブレイクポイントを奪った。さらにカジースキがライトから強打。ボールが相手コートの空いたスペースをたたく。1回目のテクニカルタイムアウトは7−8で落としたが、柳澤、浅野の両レフトもコンスタントにスパイクを決めて試合のリズムをつかんだ。
 10−10の場面では、金丸が好レシーブでつないだボールを浅野が決めてブレイク。さらにカジースキがレフトから決めて3連続得点。レセプションに入った柳澤も安定していた。浅野がサービスエースを決めて15−12。福山の速攻が決まり、3点のリードで2回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 柳澤がサーブで攻め、20−16となったところで相手は1回目のタイムアウトを要求。次のプレーで、金丸のトスを浅野が決めて21点目。長いラリーをカジースキのブロックで制した。しかし、ここからサーブレシーブの失敗をきっかけに失速。スパイクミスもあって23−23の同点に追いつかれた。
 今日のジェイテクトSTINGSは集中力が高かった。福山が落ち着いて速攻を決めて25−24。最後は柳澤のスパイクで、ジェイテクトSTINGSが26−24で第1セットを先取した。

 第2セットもジェイテクトSTINGSが走った。大車輪の活躍を見せたのが柳澤だ。ブロックで先制点を奪った。ライトからのスパイクで相手のブロックを弾いた。カジースキ、浅野のサイド陣も確実に得点を重ねていく。柳澤のブロックが決まり、9−5とリードを広げた。
 中盤は金丸の活躍が光った。キレのある速攻を決めると、ブロックで相手の攻撃を寸断。試合の流れを引き寄せた。久保山もブロックを決めて15−10。5点のリードで2回目のテクニカルタイムアウトを迎える。リベロの興梠、本間を軸に守備も安定していた。粘り強く相手の攻撃をしのぎ、確実にサイドアウトを切っていく。カジースキが2本連続で決めて22−16、ジェイテクトSTINGSが完全に勢いをつかんだ。
 終盤は福山が勝負強さを見せた。高さのある速攻で23点目。カジースキがサーブで相手を崩し、福山がブロックで仕留める。24−18。浅野のスパイクでフィニッシュ。25−19でこのセットを奪い、ジェイテクトSTINGSが勝利に王手をかけた。

 ホームの稲永スポーツセンターが大声援に包まれた。第3セットもジェイテクトSTINGSが主導権を握った。金丸のブロックで長いラリーを制した。浅野が続いて3連続得点を奪う。浅野はサーブでも攻めた。間隙を突いて、柳澤がスパイク、福山がブロックを決める。浅野のサービスエースで9−4。柳澤が決めて10−4になったところで、サントリーサンバーズが1回目のタイムアウトを要求した。
 その後もジェイテクトSTINGSは落ち着いた試合運びを見せた。柳澤が軟打で相手のブロックを回避。金丸のブロックで14−7とリードを広げる。カジースキの技ありのスパイクが決まって、16−10で2回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 相手に反撃の隙を与えなかった。カジースキも高いパフォーマンスをキープ。柳澤がブロックを決めて、先に20点目を奪った。相手にブレイクポイントを奪われると、すかさずアーマツ監督がタイムアウトを要求。嫌な流れを断ち切った。あとは1点ずつを確実に重ねるだけだった。カジースキが決めてマッチポイント。最後は相手のサーブがミスになり、25−21でこのセットを奪取。ジェイテクトSTINGSが3−0のストレート勝ちを決めた。

 終始試合のペースを握った。安定した戦いで、一度もメンバーを代えなかった。ホームの後押しも大きい。ヒーローインタビューの柳澤は「今日は練習でも出ないような自分が出せた。でき過ぎだったかもしれない。長い戦いになるので、これからも全員の力で勝っていきたい」と笑顔。最後は応援団に向かって「よっしゃー!」と気合いを入れた。4勝4敗と星を五分に戻し、順位も5位に浮上。上位進出へ、このまま攻勢をかけていきたい。

アーマツ・マサジェディ監督

1レグはサーブレシーブが乱れた時やトランジション(ディグからの切り返し)に課題が残りました。それを修正するために、カジースキをオポジットに入れました。その結果、3−0で勝ててうれしく思います。柳澤のパフォーマンスも素晴らしかった。でも、これくらいはできると信じていました。私にとって彼の活躍は、けっしてサプライズではありません。浅野もカジースキのポジションに入って活躍をしてくれた。とはいえ、シーズンは長い。ファイナルを目指すことを考えて、うまく選手を入れ替えながら戦っていきたいと思います。

浅野博亮

ポジションを代えて試合に臨んだことでうまく回りました。カジースキと柳澤の2人が得点を稼いでくれたのが勝因だと思います。自分はもともとカジースキがいたポジションに入りましたが、そのため相手の外国人選手とマッチアップすることが多くなりました。でも、カジースキはレフトもできるので、チェンジすることで攻撃力もブロック力も落とさずに戦うことができる。先週は北海道で2連敗しましたが、気落ちすることなく切り替えることができたと思います。キャプテンとしてチームを見て、いつも通りの雰囲気で臨めました。

マテイ・カジースキ

勝つことが何よりも大事だったので、今日の結果はうれしく思います。ただ、新しいポジションになってうまくいかなかった部分もあるので、そこはしっかりと修正しなければいけません。もちろん選手にとって、毎回メンバーが代わるのは簡単なことではありません。しっかりと対応できるようにしたいと思います。今季に入ってから、チームは守備に力を入れています。まずは守備に集中し、カウンターで点を取りにいく。スタイルが変わったので難しい部分はありますが、この調子をキープして次も勝てるように頑張ります。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

カジースキをオポジットにコンバート。ジェイテクトSTINGSの新しいスタイルが確立した

大きな決断だ。カジースキがジェイテクトSTINGSで初めてオポジットに入った。守備に大きな変化があった。カジースキが今日のサントリー戦で受けたサーブレシーブの数はわずかに「5」。先週のパナソニック戦の「30」と比べれば雲泥の差である。ポジションが代わったことで、守備の負担が大幅に軽減された。「スパイクだけでなくサーブにも専念できるようになりました。攻撃で貢献できる場面がもっと多くなると思うし、相手もやりづらいと思う。ただ、レフトとライトの打ち方は違うので、これからそういうところを詰めていきたい」とカジースキ。たしかに、立ち上がりはライトからのスパイクがフィットしていない場面もあった。それでも、準備期間が短い中で、これだけのパフォーマンスを発揮した。この先、どういうメンバーで戦うかはわからないが、ジェイテクトSTINGSの新しいスタイルが確立したことは間違いない。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS サントリーサンバーズ
第1セット 26 ー 24
第2セット 25 ー 19
第3セット 25 - 21
第4セット
第5セット
日付 2017年11月18日(土)
試合 V・プレミアリーグ 第8戦
場所 稲永スポーツセンター
メンバー カジースキ、金丸、福山、柳澤、久保山、浅野 L興梠、本間
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