ジェイテクトSTINGS VS サントリーサンバーズ

スタメンで入った袴谷の活躍で、優勢に試合を進める。ブロックも機能し、攻守で相手を上回った

 長いシーズンを戦っていると、様々なプレッシャーがのしかかってくるものだ。ジェイテクトアリーナ奈良での未勝利もその一つ。前日の東レ戦はあと一歩まで迫った。内容も悪くなかった。しかし、終わってみれば、1セットも取れずストレート負け。早く1勝を挙げたい。反撃の火付け役としてコートに送り込まれたのは、その東レ戦で好調をアピールした袴谷だった。

 立ち上がりから袴谷を軸にジェイテクトSTINGSが攻める。カジースキのスパイクに続いて福山がブロックを決めると、袴谷がライトから強打をたたき込んで3連続得点。さらにカジースキのブロックでブレイクポイントを奪い、5−2とリードを広げる。アウトになったかに思われた福山のスパイクは、チャレンジによって相手のブロックタッチが認められた。浅野のスパイクで8点目。4点のリードで1回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 その後もジェイテクトSTINGSがリードを維持。一時は1点差まで迫られるが、カジースキのスパイクなどで確実にサイドアウトを切る。16点目をサービスエースで奪った久保山が、笑顔でベンチに迎えられた。
 この日のジェイテクトSTINGSはブロックが好調だった。カジースキ、福山のブロックなどで3連続得点。スパイクミスが続いて4連続失点を喫したが、タイムアウトで嫌な流れを断ち切った。福山の速攻も決まった。24−24と土壇場で追いつかれたが、チームに焦りはない。袴谷がスパイクを決めてアドバンテージ。リベロの興梠もファインプレーを見せた。相手の攻撃を粘り強く拾うと、最後はカジースキが決めて第1セットを26−24で先取した。

 ジェイテクトアリーナ奈良でようやく1セットを奪った。これで気持ちが楽になった。第2セットは点の取り合いからスタートした。セッターの久保山は、福山の速攻を軸に攻撃を組み立てた。浅野、カジースキのサーブレシーブも安定していた。
 テクニカルタイムアウトを挟んで5連続得点を奪った。口火を切ったのがカジースキのブロックだ。浅野もバックアタックを決めて、攻撃のリズムを作った。
 袴谷の高さも衰えない。ライトから強烈なスパイクをたたき込んだ。中盤以降はサイドアウトの応酬。我慢の時間帯は、リベロの興梠、本間を中心に守備で耐えた。ジェイテクトSTINGSがブレイクして22−16になったところで、サントリーサンバーズは2度目のタイムアウトを消化。カジースキのスパイクで長いラリーを制し、ジェイテクトSTINGSが23点目を奪った。福山の速攻が決まって25−17。終始ペースを握ったジェイテクトSTINGSが第2セットを奪った。

 一気にたたみかけたいジェイテクトSTINGSは、第3セットも同じ布陣で入った。袴谷のサービスエースがチームに火をつけた。久保山がブロックで続いた。さらに袴谷が立て続けに決めてブレイク。8−5で1回目のテクニカルタイムアウトを奪った。
 その後もジェイテクトSTINGSのペースだった。福山がサービスエースを決める。久保山もブロックで得点を奪った。袴谷のスパイクで、11−5と点差を広げた。相手に勢いが傾きかけたところでタイムアウトを要求。続くプレーは、チャレンジが成功して袴谷の得点が認められた。ここでも袴谷が試合の流れを変えた。
 金丸の速攻でサイドアウトを切ると、カジースキのブロックでラリーに競り勝った。ジェイテクトSTINGSの集中力は途切れない。このセット2本目となる袴谷のサービスエースで18−13。終盤に入っても、久保山は袴谷にトスを集めた。一時は2点差に迫られたが、袴谷のスパイクでサイドアウトを切る。柳澤がコートに入ってチームを活性化させた。24−19とマッチポイント。柳澤がサーブを相手の前に落とすと、つないだボールをカジースキが左手で押し込んでフィニッシュ。25−19でストレート勝ちを決めた。

 前日の敗戦を引きずることなく、会心の試合運びを見せた。殊勲の袴谷はヒーローインタビューで「昨日は結果を出せなかったが、今日はしっかり3−0で勝つことができてうれしい。またここから連勝して、優勝に向けて頑張っていきたい」と意気込みを語った。一つ一つ勝点を積み重ねたその先にファイナルが見えてくる。ジェイテクトアリーナ奈良でのうれしい初勝利も一つのきっかけに過ぎない。ジェイテクトSTINGSがまた一つ、強くなった。

アーマツ・マサジェディ監督

私たちは自信を持って選手をコートに送り出しています。袴谷も他の選手と同じように、しっかりと準備をしてきた。持ち味を生かして、期待以上の働きをしてくれました。浅野のレセプションもよかったし、カジースキも大事なところで決めてくれた。システムがうまく機能したことが勝因です。レギュラーラウンドは簡単に負けないことが大事。昨日は0−3で負けたけど、最後までファイトしました。選手には「1試合1試合をファイナルの気持ちで戦いなさい」と言っています。その緊張感を大事にして、来週以降も戦っていきます。

興梠亮

今日のミーティングで、監督から「勝ちたい気持ちをもっと出していけ」と言われていました。その言葉通り、今日は全員の勝ちたい気持ちが出ていたし、レシーブの面でも自分たちがやりたいことができていた。それが勝因につながったと思います。システムに関しては、まだ完全ではありませんが、要所要所でできている部分もあります。これから試合を重ねるごとにうまくできたことが増えていけばいい。これからも苦しい試合はあると思うけど、みんなの持っている能力は高いので、コートに立つメンバーをうまく回しながら、しっかりと勝ち星を積み重ねていきたいと思います。

マテイ・カジースキ

ホームゲームだったので勝つことが重要でした。今日は全員が持っている力を出し切り、最初から最後までいつものようなプレーができたことが勝利につながったと思います。個人的には、徐々にいいプレーができているが、トップのレベルにはまだ至っていません。もう少し頑張らなければいけないと思っています。ただ、エースは取れなかったけど、サーブで崩すことはできました。ブロックでも貢献できたと思います。次の試合に向けて、少しずつでもステップアップしていくことが大事。難しい試合が続きますが、一つ一つの試合でしっかりと結果を出していきたいと思います。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

今季初スタメンの袴谷が躍動。チーム全体のパフォーマンスに火をつけた

バレーボールほど、1人のパフォーマンスが他のメンバーに与える影響が大きい競技も少ないだろう。その意味で、今日の袴谷のパフォーマンスは、チーム全体に火をつけたと言っていい。27本のスパイクを放って、14本を決めた。決定率は51.9%だが、そのうちの半分をバックアタックで決めている。相手のブロックを揺さぶる上で、大きな役割を果たした。さらに2本のエースを決めるなど、サーブでも高い効果率を残している。高さのあるブロックも見せた。「今季初めてのスタメンということで最初は緊張もあったが、周りのみんなが助けてくれたおかげで自分のプレーをすることができました」。今日のヒーローはお立ち台でこう言った。1人が5人のために、5人が1人のために戦うのがバレーボールの醍醐味。清野とのポジション争いが加熱すれば、その分だけチームがレベルアップしている証拠だ。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS サントリーサンバーズ
第1セット 26 ー 24
第2セット 25 ー 17
第3セット 25 ー 19
第4セット
第5セット
日付 2017年11月5日(日)
試合 V・プレミアリーグ 第5戦
場所 ジェイテクトアリーナ奈良(橿原公苑第一体育館)
メンバー カジースキ、金丸、福山、袴谷、久保山、浅野 L興梠、本間
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