ジェイテクトSTINGS VS 堺ブレイザーズ

セッターの久保山が巧みにトスを散らして多彩な攻撃を展開。4年連続で開幕戦勝利を奪う

 2017/18シーズンのV・プレミアリーグが開幕した。ジェイテクトSTINGSは初戦で堺ブレイザーズと対戦。若くて力のある選手がそろった強敵だ。しかし、昨年の順位を上回るためにも、絶対に負けるわけにはいかない。勝点3でアーマツ新監督の初陣を飾る。それが、チーム全員に共通する思いだ。
 試合開始は14時15分。台風が迫る東京体育館で、いよいよ戦いの火蓋が切られた。

 序盤は相手に先行されたが、ジェイテクトSTINGSは落ち着いていた。カジースキのスパイクで流れを切った。福山がスパイク、ブロックで連続得点。金丸の速攻でサイドアウトを切ると、浅野、清野が立て続けに決めて8−6で1回目のテクニカルタイムアウトを折り返した。
 一度は相手に逆転を許したが、浅野のバックアタックや福山のブロックで再び1点をリード。中盤は互いに1点ずつを取り合う展開となり、16−15で2回目のテクニカルタイムアウトを迎える。反撃の口火を切ったのは、福山のブロックだ。19−17とブレイクポイント。さらに20点目を奪ったところで、袴谷と渡邉を二枚替えで投入する。渡邉のサーブが光った。強烈なサーブで相手の守備を崩し、カジースキ、福山のスパイクをお膳立て。4連続得点で大きくリードを広げると、最後は浅野が決めて第1セットを25−20で先取した。

 第2セットも一進一退。しかし、細かいミスが響き、5連続失点で2−6と大きくリードを許す。ジェイテクトSTINGSは福山のノータッチエースなどで3連続得点。勝負どころでカジースキにトスを集めて、12−12の同点に追いついた。久保山のトスワークも冴えていた。構築してきたコンビネーションを駆使して、相手の守備に揺さぶりをかける。たとえ失敗しても次々とチャレンジしていく姿勢が、全員の心に火をつけた。
 守備でも粘り強さを発揮。リベロはレセプション時に興梠が、サーブ時に本間が入り、お互いの役割をしっかりと果たした。23−25でこのセットを落としたものの、試合のリズムはジェイテクトSTINGSが握っていた。

 失セットのショックを引きずらないのが、今季のジェイテクトSTINGSの強みだ。第3セットも、序盤から走った。カジースキが好調をキープした。金丸のブロックも機能。清野も本調子を取り戻していた。浅野のスパイクなどで、テクニカルタイムアウトを挟んで3連続得点。中盤に入ると、前衛に回った浅野に代わって、高さのある柳澤がコートに入る。確実にサイドアウトを切るなど、攻守にわたってチームに貢献した。
 さらに金丸のブロックを皮切りに3連続得点。相手からうまくミスを誘った。これで堺は2度のタイムアウトを消化。ジェイテクトSTINGSは、4点のリードをキープしたまま落ち着いた試合運びを見せる。金丸の速攻でセットポイント。最後は相手のサーブがミスになり、25−21で第3セットを奪った。

 あと1セット。ジェイテクトSTINGSが勝利に王手をかけた。第3セットも1回目のテクニカルタイムアウトを3点のリードで奪った。カジースキが高いテクニックで得点を量産し、清野もキレのあるスパイクを相手コートにたたき込む。大事な場面で、金丸がブロックを決めた。安定したサーブレシーブから、サイドにトスを散らして確実に得点を積み重ねていった。
 一時は11−11の同点に追いつかれたが、ジェイテクトSTINGSは粘り強く得点を奪う。金丸のサービスエースでブレイクポイントを奪い19−17とリードを広げた。浅野のスパイクでマッチポイント。しかし、カジースキのスパイクが止められて、土壇場で同点に追いつかれる。それでも慌てない。カジースキが決めて2度目のマッチポイントを奪うと、最後は清野だった。託されたトスを渾身の力で打ち込み、26−24で試合を決めた。

 会心のスタートだ。開幕戦の白星は、2014/15シーズンから4年連続。初陣を飾ったアーマツ監督は「大満足でうれしい」と笑顔を見せた。セッターの久保山も「開幕戦ということで硬い雰囲気はあったが、徐々に自分たちのバレーができた」と胸を張った。大事なのは、ここでつかんだ勢いを次の試合につなげること。このまま白星を重ね、最高のスタートダッシュを切りたい。

アーマツ・マサジェディ監督

はじめは緊張もあったが、うまく乗り越えることができました。競った時間帯も我慢して、一人ひとりが自分の役割を果たしてくれた。全員が力を発揮したから勝つことができました。セッターの久保山は、うまくチームをマネジメントしてくれたと思います。二枚替えで入った渡邉もいいサーブを打ってくれた。効果的にクイックも使い、チームを助けてくれました。

浅野博亮

初戦ということで変な緊張もあったが、その中でも自分たちのプレーができました。若手が多い中で自分たちのプレーができたのは収穫。これを続けたら勝っていけると自信になりました。ただ、個人的にはまだ8割くらいで、やりたいコンビはもっとたくさんあります。今日に関しては、セッターの久保山と一緒に今までやってきたコンビをうまく合わせることができました。

福山汰一

3−1で勝つことはできましたが、まだまだチームに波があるので修正していきたいと思います。ブロックに関しては、今季は新しいシステムに取り組んでいます。監督から試合中に指示が出ることもあるし、ゲーム慣れしているマテイに決めてもらうこともある。ブロックによって後ろのポジションも決まってくるので、今日はいいところが出たと思います。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

アーマツ監督のバレーが、選手一人ひとりの能力を最大限に引き出した

監督が代わればチームは大きく変わるものである。その意味で、開幕戦を白星で飾れたことは大きい。試合中も全員が落ち着いていたし、崩れるような場面もほとんどなかった。「昨年に比べてプレッシャーが少なくなり、自分たちが持っている力を試合で出せるようになりました。自分で自分にプレッシャーをかけることもなく、自由にやれています。アーマツ監督は、たとえミスをしても『切り替えだよ』と口癖のように言っている。それが各選手に浸透して、余分なプレッシャーを取り除いているのだと思います」。こう話すのはキャプテンの浅野だ。二枚替えで入った渡邉も、のびのびとプレーしていた。選手一人ひとりの能力を最大限に引き出すバレー。これを磨いていけば、さらなる飛躍が期待できる。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS 堺ブレイザーズ
第1セット 25 - 20
第2セット 23 - 25
第3セット 25 - 21
第4セット 26 ー 24
第5セット
日付 2017年10月22日(日)
試合 V・プレミアリーグ 第1戦
場所 東京体育館
メンバー カジースキ、金丸、福山、清野、久保山、浅野 L興梠、本間
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