ジェイテクトSTINGS VS パナソニックパンサーズ

気迫でボールをつなぎ、土壇場で第1セットを奪取。逆転負けを喫したが、最後まで粘り強く戦った

 今季の集大成を迎えた。黒鷲旗4日目、準々決勝。C組を2位で通過したジェイテクトSTINGSは、D組1位のパナソニックパンサーズと対戦した。現時点で考えられる最強のメンバーがコートに入った。セッターは久保山、オポジットに古田。レフトはカジースキと浅野、ミドルブロッカーは金丸と福山が対角を組んだ。リベロには本間が入った。

 第1セットの立ち上がりは、パナソニックが優勢に試合を進めた。浅野が好プレーでボールをつないだが、相手に先制を許した。久保山はカジースキにトスを集めて攻撃のリズムをつかむ。しかし、1回目のテクニカルタイムアウトを挟んで4−5から4連続失点。浅野、福山のスパイクが相手のブロックに阻まれた。
 浅野が相手のブロックの間を巧みに抜いてサイドアウトを切った。福山の速攻、カジースキのスパイクも機能した。カジースキがフェイントを織り交ぜながら、効果的に得点を重ねる。福山がネット際でボールを押し込んで11−15とした。
 追いかける展開ではあったが、集中した戦いが続いていた。福山がサーブで相手を崩して、カジースキがダイレクトスパイクを決めた。古田がバックアタックで得点を奪う。しかし、高橋(慎)、袴谷を二枚替えで投入しても、流れは大きく変わらない。
 19−22。ジェイテクトSTINGSの反撃がはじまったのはここからだ。カジースキのバックアタックで20−22。ここでパナソニックはタイムアウトを要求する。次のプレーで浅野が相手のスパイクをシャットアウト。ついに1点差に迫った。22−24と先にセットポイントを許したが、福山が値千金のサービスエースを決めて同点に追いつく。さらにカジースキのスパイクで26−25と1点をリード。一度は追いつかれたが、古田が決めて再び突き放すと、最後はカジースキのサービスエースが決まり、28−26で第1セットを先取した。

 第2セットの立ち上がりは一進一退。ジェイテクトSTINGSは久保山が巧みにトスを散らして得点を重ねる。リベロの本間を軸に守備も安定していた。古田、カジースキ、浅野らサイド陣が粘り強くスパイクを決めた。しかし、6−6から4連続失点。パナソニックの高いブロックの前に、ジェイテクトSTINGSのスパイクが立て続けに跳ね返された。
 タイムアウトで一度は嫌な流れを断ち切ったが、その後もペースはパナソニックのほうにあった。中盤にもサーブレシーブを崩されて4連続失点。9−17と点差が広がった。
 きっかけがほしいジェイテクトSTINGSは、10−18の場面で柳澤を投入。さらに13−20の場面で高橋(和)をコートに送り込んだ。しかし、点差はなかなか縮まらない。最後まで食らいついたが、18−25でこのセットを落とした。

 第3セットはジェイテクトSTINGSが息を吹き返した。カジースキがトップフォームを取り戻し、古田も調子を上げてきた。序盤に4連続失点を喫したものの、その後はサイドアウトの応酬に持ち込んだ。7−10から5連続得点。金丸のブロックが決まった。本間のレシーブがそのまま相手のコートにぽとりと落ちた。流れを引き寄せて、12−10と逆転に成功した。
 一度は同点に追いつかれるが、金丸の速攻や浅野のブロックなどで3連続得点を奪い再び突き放す。16−16の場面では、粘り強くボールをつないでラリーを制した。
 しかし、ここから流れがパナソニックのほうに傾いていく。18−21となったところで、ジェイテクトSTINGSは二度目のタイムアウトを要求。福山の速攻でサイドアウトを切る。20−23の場面では、本間、浅野と好レシーブでつないだボールをカジースキが決めて、2点差まで迫った。
 袴谷をコートに送り込んだ。しかし、流れは変わらず、最後はカジースキのスパイクがアウト。21−25で失セットを喫した。

 第4セットは終始、ジェイテクトSTINGSが追いかける展開になった。サイドアウトが切れず、3−8で1回目のテクニカルタイムアウトを迎える。6−11となったところで、浅野に代わって高橋(和)がコートイン。古田のスパイクでラリーを制すと、高橋(和)がサーブで攻めて相手のミスを誘い、8−11と3点差まで迫った。
 ここからは、互いに1点ずつを取り合う展開。ジェイテクトSTINGSは福山、古田が決めてサイドアウトを切るが、攻守がかみ合ったパナソニックの前に徐々に点差を広げられる。12−19となったところで二度目のタイムアウトを使い切った。あとはコートの上で、流れを引き寄せるしかなかった。
 福山が速攻を決めた。カジースキもスパイクをたたき込んだ。セッターの久保山は、勝負どころでエースにトスを集めた。しかし、最後まで流れを取り戻せず、17−25で敗れた。

 黒鷲旗をベスト8で終えた。これで、今季の公式戦はすべて終了した。V・プレミアリーグで3位に入るなど、大きく飛躍を遂げたシーズンだった。
「V・プレミアリーグでここまで順調に順位を上げるのはたいへんなこと。選手がよくついてきてくれました。これに満足することなく、これからもプレミアの自信とプライドを持って戦っていきたい。この一年間、今のメンバーでできる限りのことはできた。ここからまた来季に向けて、新しいチームのスタイルを築き上げていきたいと思います」
 増成監督は試合後、こうシーズンを振り返った。勝つ喜びも負ける悔しさも知ったシーズンだった。また一歩。生まれ変わったチームは、新たなシーズンに向けて歩みはじめる。

増成一志監督

選手たちは今日の試合に向けてしっかりと準備をし、必ず勝つんだという気持ちで戦ってくれました。その結果、第1セットはジェイテクトSTINGSらしい粘りのバレーができ、最終的に逆転で取ることができた。第2セットはいいバレーができなかったが、チームが力をつけているという手応えはありました。第3セットのように、リードしたところからどれだけ自分たちのバレーができるかが今後の課題。さらにギアチェンジをして戦い切る技術を身につけていかなければいけません。負けはしましたが、この一年やってきたことに後悔はありません。特に若い選手が力をつけてくれました。今日でシーズンが終わりになりますが、社員の皆さま、ファンの皆さまには感謝の気持ちでいっぱいです。たくさんの方が体育館に足を運び、ジェイテクトSTINGSを温かく見守ってくださった。皆さまの声援があったから、ジェイテクトSTINGSも力をつけてきたと思っています。さらに応援してもらえるよう、感動を与えられるようなチームを作っていきたいと思っています。ぜひ楽しみにしてください。一年間、ありがとうございました。

古田史郎

これまでジェイテクトSTINGSに育ててもらい、また次のステップに進むにあたって、どうやって恩を返すかと考えました。僕がコートに立ってプレーで見せることは簡単です。だけど、若い選手はまだ修羅場もくぐっていないし、どういうプレーをすればどういう展開になるかというのは、ゲームに出場して培うもの。そう考えると、もっといろんな若い選手に経験を積んでほしかった。僕自身もそうやって出場機会をもらいながら、現状までたどり着くことができました。それでも、まだまだだと思っています。その意味では僕自身、逆にみんなの活躍を見たかったというのが本音です。今はチームを離れる寂しさよりも、これからの楽しみのほうが大きいです。これまでたくさん応援ありがとうございました。

浅野博亮

昨年の黒鷲旗で準優勝しているので、今年は絶対に優勝したいと思っていました。それを意識し過ぎたのか、うまくかみ合いませんでした。グループ戦はいいバレーができていなかったように思います。V・プレミアリーグの時のように、のびのびとバレーができていませんでした。今日でシーズンが終了しましたが、V・プレミアリーグはいい時と苦しい時があって、最後はチームがまとまって勝ちにいけた。黒鷲旗は相手が手強かったというのもありますが、もう少しいいバレーができたと思います。少し悔いが残る結果になりました。来季は出だしから試合に出られるように頑張っていきたいです。恐れることなく、攻めのバレーをしていきます。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

層の厚さで躍進を遂げた今季。来季は2人の穴を埋める選手の台頭に期待がかかる

刺激的な一年が終わった。思えば、浅野をケガで欠くなど、不安を抱えた中でのスタートだった。しかし、替わって入った選手の活躍が光った。レギュラーラウンドは高橋(慎)や金丸、高橋(和)といったベテランがチームを支えた。ファイナル6以降は、ケガから復帰した浅野をはじめ、福山、清野、そして興梠などそれまで出場機会のなかった選手が奮闘した。結果的にジェイテクトSTINGSは、誰がコートに立っても力が落ちないチームになった。層の厚さが3位という好成績につながったと言える。そして、高橋(和)、古田の主力2人がチームから離れる。2人の穴を埋める選手の台頭が、来季に向けた最重要課題と言えるだろう。「高橋(和)、古田と同じポジションの選手には、『俺がチームを引っ張っていくんだ』という自信を持って練習に取り組んでもらいたい。『俺がこのチームを強くするんだ』という気持ちを一人一人が高めて、もっといいチームにしていきたいと思います」。増成監督の言葉だ。それが実現できれば、このチームは強くなる。必ず。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS パナソニックパンサーズ
第1セット 28 ー 26
第2セット 18 ー 25
第3セット 21 ー 25
第4セット 17 ー 25
第5セット
日付 2017年5月5日(祝)
試合 第66回黒鷲旗全日本男女選抜大会 準々決勝
場所 大阪市中央体育館
メンバー カジースキ、金丸、古田、久保山、浅野、福山 L本間
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