ジェイテクトSTINGS VS 堺ブレイザーズ

渡邉や柳澤、江頭らフレッシュなメンバーが存在感を発揮。チームのムードを盛り上げる

 黒鷲旗3日目は堺ブレイザーズと対戦。すでに決勝トーナメント進出を決めているジェイテクトSTINGSは、大幅にメンバーを入れ替えて臨んだ。セッターは渡邉が今季の公式戦初出場。オポジットには袴谷が入った。カジースキと高橋(和)がレフトに入り、ミドルブロッカーは金丸と廣瀬が対角を組んだ。リベロは本間だ。
 立ち上がりからジェイテクトSTINGSが勢いに乗った。廣瀬がいきなりサービスエースを決め、長いラリーをカジースキのスパイクで制した。4−3からカジースキのサービスエースや高橋(和)のブロックで3連続得点。袴谷がライトからスパイクをたたき込み、8−4と先行した。
 テクニカルタイムアウトが明けても、ジェイテクトSTINGSは攻撃の手を緩めない。金丸がサービスエースで連続得点。廣瀬もブロックを決めた。セッターの渡邉も落ち着いてトスを散らした。要所でカジースキがサイドアウトを切った。リベロの本間も、粘り強くボールをつないだ。一時は2点差まで追い上げられたが、ジェイテクトSTINGSのリズムは崩れない。確実にサイドアウトを切って、試合を進めていく。
 終盤には、高橋(慎)、古田が入った。高橋(和)のスパイクでセットポイント。最後は廣瀬の速攻が決まり、25−22で第1セットを先取した。

 しかし、第2セットは堺の反撃の前に防戦一方。0−4となったところで増成監督は1回目のタイムアウトを要求する。それでも流れを取り戻すことができず、2−10と大きく点差が開いた。
 さらに3−11となったところで、カジースキに代わって柳澤がコートに入った。中盤には、オポジットの江頭が出場。フレッシュなメンバーがコートを駆け回り、チームのムードを盛り上げた。その江頭が9点目を決めた。一度はコートから離れた渡邉も再び戻ってきた。高さが加わったブロックで得点を奪った。11−25と大差でこのセットを失ったが、新しい力が躍動するなど収穫はあった。

 第3セットは廣瀬のブロックで幕を開けた。カジースキに続いて高橋(和)もスパイクを決めた。5−7となったところで、オポジットに古田を投入。カジースキの強烈なバックアタックも炸裂した。
 中盤はサーブレシーブを決められるなど守備が崩れて4連続失点。高橋(慎)をコートに送り込んで立て直しを図った。高橋(和)のサービスエースでブレイクポイントを奪う。古田もライトからスパイクを決めた。途中から入った柳澤もそれに続く。18−21と3点差に迫った。しかし、タイムアウトで流れを変えた堺に押し切られて19−25。セットカウント1−2と逆転を許した。

 第4セットはベテランがそろった。サーブ順で、高橋(和)、金丸、古田、カジースキ、廣瀬、高橋(慎)。リベロは本間がそのままコートに立った。
 奮起したのが高橋(和)だ。3−3の場面では、ブロックでブレイクポイントを奪った。レフトからキレのあるスパイクをたたき込んだ。7−7でサーブが回ってくると、サイドラインギリギリにサービスエースを決めた。3連続失点で追いかける展開になったが、カジースキ、古田のスパイクなどで粘り強く応戦した。廣瀬の速攻も決まった。カジースキが相手のコートを見てふわりとボールを落とす。カジースキのサービスエースで19−21となったところで堺はタイムアウトを要求した。
 最後は相手にサービスエースを決められて試合終了。21−25。セットカウント1−3で敗れた。

 大事なのは、いかにして明日からはじまる決勝トーナメントにつなげるか、である。若手は声を出してチームを盛り上げた。ベテランは意地を見せた。すべての選手が自分の役割を果たした。準々決勝で勝つための布石を敷いた。
「明日からは、ジェイテクトSTINGSらしい元気のある、気迫にあふれたバレーをしていきたい。1点1点に集中して、この試合に勝つぞという気持ちを全面的に出して戦います」
 こう意気込みを話した増成監督。今季の戦いも、いよいよクライマックスを迎えようとしている。

増成一志監督

コンディションを最優先して、今日のメンバーを選びました。とは言え、あまりメンバーを替え過ぎると、かえってリズムが崩れることがある。ましてや、これだけの観客が応援してくれるプレミア同士の戦いです。どのチームも決勝トーナメントに進むことが決まっているので、駆け引きもあります。もちろん勝つつもりで戦いましたが、今日の負けはいい方向に進むきっかけになったと思います。特に廣瀬をはじめ若いメンバーが声を出してチームを引っ張ってくれた。いいリズムもたくさんありました。明日もジェイテクトSTINGSらしい粘りのある全員バレーで勝ちにいきたいと思います。

高橋和人

今日の試合に勝っても負けても、決勝トーナメントの進出は決まっています。もちろん勝つことにこだわりましたが、優先的にやらなければいけないのは、チームにいい流れを作ること。その意味で第1セットは、サーブも機能していたし、ブロックもスパイクもつなぎもよかった。いい雰囲気でプレーできたと思います。引退の実感はまだありません。第1セットを取ったことで、増成監督も勝ちにいくという意思を示してくれた。ただ主力を休ませることが目的の試合ではなく、勝利に向かって戦うための後押しを感じました。負けはしましたが、楽しくプレーできました。後輩に何かを残すというよりは、このメンバーで優勝したい。その気持ちを持って、明日以降も戦います。

廣瀬優希

ミドルブロッカーは今、福山も金丸さんも調子がいい。正直なところ、僕がコートに入れるのは今日くらいだと思っていました。その上で、(高橋)和人さんや古田さんと一緒にプレーできるのは最後ということもあり、もとから気持ちは作っていました。今日に関しては、自分のプレーどうこうではなく、2人に気持ちよくプレーしてもらうことだけを考えていました。勝つことはできませんでしたが、楽しくプレーしてもらうことができました。大会を通じて、少しでも2人に恩返しができたらと思います。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

ベテランから薫陶を受けた一戦。優勝で花道を飾りたい

長いシーズンを考えると、勝敗よりも大切な試合というのがある。それが今日だった。スタメンは試合の直前に決まったという。この大会を最後にチームから離れる選手にいかに気持ちよくプレーをしてもらうか。廣瀬の胸中は、この一点に集約されていた。「(高橋)和人さん、古田さんは素晴らしい選手です。今までいろんなことを教わったし、あの2人がいたからこそ僕も成長できた。特に和人さんからは、ブロックのことをずっと言われてきた。そういう人がいたから、リーグ戦も頑張れた。本当にありがたかったです」。残念ながら勝つことはできなかった。しかし、大会はまだ続く。頂点に立つチャンスもある。であるならば、最後はやはり優勝で2人の花道を飾りたいところだ。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS 堺ブレイザーズ
第1セット 25 - 22
第2セット 11 ー 25
第3セット 19 - 25
第4セット 21 ー 25
第5セット
日付 2017年5月4日(祝)
試合 第66回黒鷲旗全日本男女選抜大会 グループ戦
場所 大阪市中央体育館
メンバー カジースキ、金丸、渡邉、高橋(和)、袴谷、廣瀬 L本間
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