ジェイテクトSTINGS VS 富士通カワサキレッドスピリッツ

出だしでつまずき第1セットを失う。第2セットの途中から入った古田が試合の流れを変えた

 黒鷲旗2日目。早稲田大との初戦を逆転で制したジェイテクトSTINGSは、V・チャレンジリーグⅠで2位に入った富士通カワサキレッドスピリッツと対戦した。

 ペースをつかみたいジェイテクトSTINGSだったが、先に8点を奪ったのは富士通のほうだった。カジースキのスパイクなどでサイドアウトは切るものの、なかなか連続得点が奪えない。サイドを軸にした攻撃も立て続けに跳ね返された。
 奮起したのがカジースキだ。相手のブロックを見て、的確にスパイクを打ち込む。サービスエースも決めた。一時はビハインドが4点に広がったが、カジースキの活躍で13−13の同点に持ち込んだ。
 しかし、中盤は再び流れが富士通のほうへ傾いていく。連続失点で14−17となったところで増成監督はタイムアウトを要求。しかし、次のプレーで清野のスパイクがブロックされた。カジースキのバックアタックなどで一進一退の展開に持ち込んだが、主導権はまだ富士通の手の中にあった。カジースキがサーブで攻めて、金丸のダイレクトスパイクで2点差に詰め寄った。
 21−24と相手にセットポイントを許した。土壇場で流れを引き寄せたのが、22点目を取ったところでコートに入った古田だ。自らのブロックポイントなどで24−24。ジュースに持ち込んだ。しかし最後は押し切られ、25−27でこのセットを失った。

 この試合のポイントになったのが第2セットだ。序盤は拮抗した展開。ジェイテクトSTINGSは金丸の速攻やカジースキのバックアタックで得点を重ねた。浅野、福山のスパイクも決まって、8−6で1回目のテクニカルタイムアウトを奪った。
 清野がライトからスパイクをたたき込んだ。カジースキも硬軟織り交ぜたスパイクで、相手の守備を揺さぶった。金丸のブロックも決まった。しかし、14−10から4連続失点。金丸の得点でサイドアウトを切るが、ここからチームに細かいミスが出て3連続失点を喫する。さらにカジースキのスパイクが封じられ、サービスエースも決められるなど後手に回る。16−19となったところで、2度のタイムアウトを使い切った。
 チームを救ったのは古田だ。17−19の場面でコートイン。チームに戦う気持ちを注入し、カジースキのスパイクなどで21−21の同点に追いついた。古田もスパイクを決めて23−23。先に24点目を与えるが、富士通のセットポイントを3度もしのいだ。古田が決めて、27−26とついに逆転。最後も古田が決めて30−28とし、セットカウントを1−1の振り出しに戻した。

 第3セットはジェイテクトSTINGSの一方的な展開だった。このセットのスタートから入っている古田がチームを勢いづけた。序盤はカジースキの2本のサービスエースを含め5連続得点。久保山のトスが安定し、浅野も本調子を取り戻した。リベロの興梠も守備を支えた。8−6から6連続得点。古田が高い打点から何度も強烈なスパイクを相手コートに突き刺した。
 圧巻だったのは16−7で2度目のテクニカルタイムアウトを制してからだ。カジースキの強打でサイドアウトを切ると、福山がサーブで大車輪の活躍を見せる。取りも取ったり6本のサービスエース。サーブで相手から機動力を奪い、カジースキもブロックを決めた。22点目を取ったところで柳澤がコートイン。怒濤の9連続得点で、相手をわずか8点に押さえた。

 もはや完全にジェイテクトSTINGSのペースだった。古田のスパイク、金丸のブロックなどで着実に加点。5−3となったところでカジースキにサーブが回ってくると、相手の守備を翻弄する。サーブに強弱をつけて、立て続けにサービスエースを決めた。7連続得点で、11−3と突き放した。
 サーブでペースをつかんだ。浅野もサービスエースを決めて15−9。古田の活躍で3連続得点を奪うと、富士通は2度目のタイムアウトを要求。21−10となったところで、高橋(和)と柳澤が同時にコートに入った。柳澤がスパイクを決めると、福山のブロックでブレイクポイント。最後は高橋(和)がバックアタックをたたき込み、25−14で試合を締めくくった。

 終わってみれば完勝である。2連勝で決勝トーナメント進出を決めた。しかし、初戦と同様、出だしでつまずいた。明日から続くプレミア勢との対戦で同じような試合の入り方をすれば、一気に相手のペースに持ち込まれるだろう。修正が必要な課題はある。福山は言う。
「明日の堺戦は、決勝トーナメントに入る前のラストの試合。個人的には重要な試合になると思っています。ここでしっかりかみ合わないと、決勝トーナメントに入ってもキツい。みんなでしっかりと話し合い、一丸となって全力で戦いたいと思います」
 タイトルに向けて一歩一歩。ここからは、すべてのセット、すべての得点、そしてすべてのプレーが重要になる。

増成一志監督

今日のような厳しい試合の中でも、個人個人がしっかりと役割を果たすことが大事です。もちろん調子がいい時もあれば悪い時もあるでしょう。たとえ調子が悪くても、自分のプレーをしなければいけません。相手の勢いをはねのけるだけの技術はあるが、精神力もしっかりと身につけること。特にジェイテクトSTINGSは若いチームなので、常に高い目標を持って臨まなければ、伸び率が小さくなってしまう。今日は第2セットを取ってチームの雰囲気が変わりましたが、それを出だしからやっていくことが大事です。明日の堺戦は気迫を持って高いレベルでプレーしていきたいと思います。

マテイ・カジースキ

黒鷲旗に入ってから、なかなかトップのレベルでプレーできていません。V・プレミアリーグが終わって少し休んでいたことで、試合のリズムや感覚がつかみ切れていないことが理由の一つです。一番の課題は試合の出だし。昨日も今日も、第1セットはエンジンがかかりませんでした。ただ、個人的には、フィジカル面での問題はありません。ここまで2試合をやりましたが、疲労もまったく溜まっていない。相手のパフォーマンスがよかったこともあり、なかなか自分たちのふだんのプレーができず苦戦しました。大切なのは、最終日にどういう状態で臨めるか。とにかく最善を尽くして戦います。

福山汰一

黒鷲旗だからといって特に意識することもなく、一戦一戦をしっかり戦おうと思っています。ただ、両隣のコートの距離が近く、声が通らないこともあり、昨日もお見合いをするなどミスがありました。今日の第2セットも終盤まで競りましたが、古田さんがラリー中に一発決めてくれて、こちらが1点をリードする状態になれた。気持ちの面でも楽になり、一人一人がやらなければいけないと思いました。第2セットは、あの場面で古田さんが入ったことがよかったと思います。明日からはプレミア勢との対戦が続きます。まだチームの歯車が合っていない部分もあるので、明日までにしっかりと修正します。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

試合の流れを変えた古田。彼が残そうとしているものを目に焼き付けなければいけない

今日のヒーローは古田だろう。第2セット、17−19と2点を追いかける場面でコートに入った。凄まじい気迫で、チームを鼓舞。大事な場面でスパイク、ブロックを決め、拳を振り上げて喜びを表した。これで他の選手の心にも火がついた。もしもこのセットを落としていたら、どちらに勝利が転んでいてもおかしくはなかった。「古田が土壇場でリズムを変えてくれたことで、他の選手も本来のプレーができた。コートに立っている時は、常にファイティングスピリットを出して戦うことが大事」と増成監督は言う。今季限りでの退団を発表している古田。彼がチームに残そうとしているものを、しっかりと目に焼き付けなければいけない。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS 富士通カワサキレッドスピリッツ
第1セット 25 - 27
第2セット 30 ー 28
第3セット 25 - 8
第4セット 25 ー 14
第5セット
日付 2017年5月3日(祝)
試合 第66回黒鷲旗全日本男女選抜大会 グループ戦
場所 大阪市中央体育館
メンバー カジースキ、金丸、清野、久保山、浅野、福山 L興梠
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