ジェイテクトSTINGS VS 早稲田大学

硬さが見られた第1セットを失セット。苦しみながらも粘り強く得点を重ね、3セットを連取する

 今季のラストを飾る大会がいよいよ幕を開けた。黒鷲旗だ。昨年は準々決勝で東レを、準決勝で豊田合成を下してファイナルに進出。惜しくも準優勝に終わったが、チーム力の高さを証明した。目指すべきは昨年以上の成績、つまり優勝しか残されていない。
 また、ジェイテクトSTINGSは前日に、古田の退団と高橋(和)の引退を発表。今回の黒鷲旗が、今のメンバーで戦う最後の大会となる。1試合でも多く、チームと、そしてファンと喜びを分かち合いたい。

 グループ戦の初戦は早稲田大学と対戦。立ち上がりは大学生の勢いに押される形となった。ジェイテクトSTINGSはサイドからの攻撃が徹底的に封じられる。浅野のスパイクが決まらない。序盤に3連続失点を喫すると、5−8で1回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。その後も続けて相手に得点を与え、5−10となったところで増成監督はタイムアウトを要求する。
 辰巳、福山の速攻などトスの配分を変えることで、ジェイテクトSTINGSが徐々に攻撃のペースを取り戻した。カジースキが高い打点からのスパイクで相手に圧力をかける。清野もキレのあるスパイクをたたき込んだ。スタメンに入ったリベロの本間も粘り強い守備を披露。しかし、序盤に開いた点差が最後まで響き、21−25で第1セットを落とした。

 ジェイテクトSTINGSが本来の強さを発揮したのは第2セットに入ってからだ。カジースキがブロック、スパイクで活躍して立ち上がりの主導権を握った。浅野も本調子を取り戻す。3点のリードで1回目のテクニカルタイムアウトを折り返した。
 このセットはサーブが機能した。11−8の場面で福山が、13−9の場面で清野がサービスエースを決めた。さらに浅野のパイプ攻撃も決まり、幅のある攻撃を展開する。久保山のトスワークも安定していた。要所で清野にボールを集め、16−10とペースをつかんだ。
 終盤に入ってもジェイテクトSTINGSの集中力は途切れない。19−15から福山のサービスエースを含め4連続得点。そのうちの3点をカジースキの豪腕がたたき出した。最後は浅野が後衛から緩いボールを落とし、25−16とこのセットを圧倒した。

 第3セットはジェイテクトSTINGSの一方的な展開だった。カジースキ、辰巳のブロックなどで、序盤に4−1と先行した。さらに辰巳のサービスエースなどで3連続得点、8−4とした。福山はブロック、スパイクの両面で活躍した。多彩な攻撃で早稲田大のブロックを翻弄。清野のスパイク、カジースキのブロックなどで16−8と大きくリードを広げた。
 早稲田大に付け入る隙を与えなかった。カジースキの強烈なサーブが相手に脅威を与えた。終盤には高橋(和)がリリーフサーバーで登場。清野のスパイクをお膳立てした。最後は福山が決めて25−14、2セットを連取した。

 セットカウントで逆転し、勝利に王手をかけた。落ち着きを取り戻したジェイテクトSTINGSは、第4セットも5−1と序盤から走る。しかし、早稲田大もけっして諦めない。粘り強くボールを拾い、強烈なスパイクで襲いかかってきた。逆に細かいミスが生まれたのはジェイテクトSTINGSのほうだ。福山のスパイクもアウトになり、9−9と同点に追いつかれた。
 カジースキのスパイクなどで嫌な流れを断ち切ったが、なかなか点差が広がらない。辰巳の速攻、浅野のスパイクなどでサイドアウトを切るが、サービスエースを決められて21−19。さらに22−19から4連続失点を喫し、ついに逆転を許した。
 しかし、ジェイテクトSTINGSにもプレミアのプライドがある。カジースキが決めて23−23の同点。さらにマッチポイントを奪うと、最後は福山のサービスエースで25点目を奪って試合を締めくくった。

 難しい初戦を乗り切った。苦戦はしたが、下を向く必要はない。「久しぶりの公式戦ということもあり、選手には『必ず緊張はする』と伝えました。ただ、第1セットは、自分たちのプライドが重荷になったのか、少し空回りしてしまった。一人一人が責任を持って、しっかりとプレーしていきたい」と増成監督。大事なのは、目の前の一試合一試合を全力で戦うこと。その先に、「優勝」の二文字がはっきりと見えてくる。

増成一志監督

サーブやブロックのタイミングなど、V・プレミアリーグで残した課題をこの黒鷲旗に向けて取り組んできました。それらを一人一人がもう一度考え、すべてを出し切ることが大事です。今日も早稲田大学は、最後まで必死になってボールを追ってきた。試合ができる喜びなど、そういうものを全面的に出してきたと思います。私たちも、プレミアのプライドと優勝に向かっていく姿勢をしっかり出していかないといけない。簡単なことではありませんが、そこにたどり着くまでに一人一人が練習でやってきたことを出し切ることが大事です。

辰巳正敏

昨年はあと一歩のところで優勝を逃したので、目指すところはもちろん優勝です。ただ、自分はいつも通り、試合に出た時に自分の仕事をすること。一本ずつしっかりやろうという気持ちです。今季のV・プレミアリーグはなかなか出場機会もなく、終わってから気持ちを切り替えるのが難しかった。でも、もう一度、練習からしっかりやろうと思い、その意識で黒鷲旗まできました。今は体の調子も悪くありません。初戦ということで少し硬さはありましたが、このまま勢いをつけて決勝トーナメントに行けるように、気持ちも体もしっかり調整していきたいと思います。

本間隆太

昨年はV・プレミアリーグで通用しないことを痛感させられたけど、黒鷲旗で一皮むけることができました。今年も課題が残ったので、この黒鷲旗で一年間やってきたことをすべて出し、通用するプレーと通用しないプレーを確かめたいと思っています。私たちはタイトルを取るために毎日練習しています。その戦力として活躍できるように、すべての試合に全力を尽くしたい。ただ、黒鷲旗は試合が続くので、すべてを同じメンバーで戦うのは厳しい。V・プレミアリーグも、それまで控えだった選手が3位の原動力になりました。ジェイテクトSTINGSは選手層が厚いので、チームで優勝に近づけたらと思います。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

重要なのは短期決戦の戦い方。ファイナル6の経験が生かされるか

黒鷲旗は短期決戦でありながら、決勝まで進めば6日連続で戦うタフな大会だ。そのため、一試合一試合の力の入れ方が重要な意味を持つ。初戦の戦い方は特に難しい。相手が勢いで攻めてくる大学生ならなおさら。早稲田大学出身の本間は「自分の後輩が相手ということもあり、多少、力んだところはある。相手はレシーブがいいチームで見習うところも多い。個人的にはすべての試合を全力で臨むが、チームとしてはこれからどんどんギアを上げていって、プレミア勢と対戦する時に、今出せる力の100パーセントまで持っていけるように準備したい」と振り返った。勝ったことがすべてだ。たしかに課題は残したが、次のステップに向かうための糧と思えばいい。今日はベンチアウトしたベテランの力も、決勝トーナメントに進めば必ず必要になるだろう。実はそれこそが、ファイナル6で示したジェイテクトSTINGSの強みでもある。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS 早稲田大学
第1セット 21 - 25
第2セット 25 ー 16
第3セット 25 - 14
第4セット 25 ー 23
第5セット
日付 2017年5月2日(火)
試合 第66回黒鷲旗全日本男女選抜大会 グループ戦
場所 大阪市中央体育館
メンバー カジースキ、清野、辰巳、久保山、浅野、福山 L本間
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