ジェイテクトSTINGS VS 豊田合成トレフェルサ

カジースキの豪打が炸裂。サイドを軸に幅のある攻撃を展開し、終始、試合の主導権を握る

 3試合で勝点9を獲得。ファイナル6で劇的な試合を重ね、逆転で初のファイナル3進出を勝ち取った。
 ジェイテクトSTINGSは落ち着いていた。修羅場をくぐり抜けて、選手の心はたくましくなった。迎えたファイナル3の第1戦。相手は3年連続でトップ3に入っている豊田合成トレフェルサだ。経験では、間違いなく相手のほうが上だろう。活路を見出すとすれば勢いだ。増成監督はファイナル3に臨むにあたって、「相手の胸を借りるつもりはない」と言い切った。つまり、ジェイテクトSTINGSのバレーで勝ちにいく。
 豊田合成の経験か、それともジェイテクトSTINGSの勢いか。ファイナル進出をかけた戦いが、いよいよ幕を開けた。

 会心の立ち上がりだった。清野のサービスエースでいきなり流れをつかんだ。カジースキのスパイクも決まった。安定したサーブレシーブから確実にサイドアウトを切った。久保山が繰り出すトスにも幅があった。浅野が高い打点からスパイクをたたき込む。福山のサービスエースでブレイクし、9−7とリードを広げた。
 清野がサーブで攻め、金丸がブロックを決める。ジェイテクトSTINGSが得意とする得点パターンも披露した。カジースキがしぶとく決めて、ラリーも制した。一時は同点に追いつかれるが、金丸のブロックで再びリードを奪う。福山の速攻で16−14。久保山もブロックを決め、19−16とリードを3点に広げた。
 終盤は完全にジェイテクトSTINGSのペースだった。二枚替えで高橋(慎)と古田を投入し、相手にプレッシャーをかけた。金丸のサービスエースで3連続得点。清野のスパイクでセットポイントを奪うと、最後も清野のブロックで締めくくった。25−19。ジェイテクトSTINGSが幸先よく第1セットを奪った。

 第2セットは拮抗した展開。立ち上がりのジェイテクトSTINGSは、金丸の速攻や浅野のスパイクで得点を重ねていく。サーブとブロックで相手にプレッシャーをかけて得点を奪い、1回目のテクニカルタイムアウトを8−6で制した。
 その後もジェイテクトSTINGSが優勢に試合を進める。相手にサービスエースを奪われる場面もあったが、大崩れすることはなかった。久保山のトスワークも安定していた。カジースキ、清野とサイドにトスを散らして得点を量産した。3連続失点を許しても、4連続得点を奪い返した。金丸を軸にブロックが機能していた。
 終盤は一進一退。ジェイテクトSTINGSは浅野のスパイクなどでサイドアウトを切っていく。3点をキープしたまま福山の速攻でセットポイント。最後は相手のサーブがミスになり、ジェイテクトSTINGSが25−22で2セットを連取した。

 この日のジェイテクトSTINGSはミスが少なかった。公式記録によると、チームフォルトの数はジェイテクトSTINGSの12に対して、豊田合成は24。つまり、ジェイテクトSTINGSはおよそ1セット分の得点を相手のミスによって得ていたことになる。
 第3セットも、ジェイテクトSTINGSが5−1と序盤の主導権を握った。金丸のブロック、カジースキのサービスエースなどで得点を重ねた。浅野のブロックでラリーを制した。福山の速攻が決まり、8−3で1回目手のテクニカルタイムアウトを奪った。
 ミスの少なさはラリーでも生かされた。浅野が粘り強く決めて9−4。清野、カジースキも高いパフォーマンスを維持した。興梠の守備も光り、相手に連続得点を与えない。
 終盤はカジースキの独壇場だ。スパイク、ブロックで立て続けに3点を奪った。22−13。これで試合の趨勢は決した。カジースキのサービスエースでついにマッチポイント。25−16でこのセットを制し、ストレート勝ちでファイナル3を先勝した。

 圧巻の内容だった。ファイナルに王手をかけた。上回ったのは勢いだけではない。攻撃でも、守備でも、精度の高いバレーで圧倒した。しかし、ファイナル3は2試合で勝敗が決定する。明日も最後の1点を取るまで、絶対に気を抜いてはいけない。
「ファイナル6以降、うまくメンバーを入れ替えながらいいリズムで戦えている。今までチームを支えてくれたベテランの力もだいぶ上向いてきた。そうした力も借りながら、一丸となって明日の試合を戦いたい」
 試合後の会見でこう話した増成監督。明日の第2戦に勝てば、ファイナル進出が決まる。ここまで勝ち続けてきたことを自信に変えて、運命の一戦に臨みたい。

増成一志監督

ファイナル6の厳しい戦いを勝ち抜き、勢いを持って今日の試合に臨もうと思っていました。相手の豊田合成さんは同じ愛知県に本拠を置くチームで、お互いに戦術、戦略を知り尽くしている。そのなかでもしっかりと準備をして、選手一人一人が質の高いバレーをしてくれたことが、今日の勝利につながりました。ただ、豊田合成さんは昨季のチャンピオンです。今日は彼らが持っている力を半分も出せていません。そのことは私たちもわかっています。そういう意味でも、ファイナル6の最終戦を勝ち切った自信を選手全員がもう一度感じ、明日の一戦を戦いたいと思います。

興梠亮

明日の第2戦につなげるために、今日は出だしから全員で点を取りにいこうと話していました。個人的には、ファイナル6からスタメンで出してもらっていることもあり、自分の持ち味であるサーブレシーブでしっかりと役割を果たそうと思っていた。カジースキや浅野といったサイドの選手に安心感を与えて、しっかりスパイクを打ってもらうことを意識してやっていました。ファイナル3というなかなか経験できない舞台ですが、気持ちだけはしっかり持って、相手のプレッシャーに負けないように戦いたい。今日は実際に勝つことができたので、本当によかったです。

福山汰一

個人的に気にしていたのが、ファイナル3に入って急に調子が落ちることでした。それがいちばんチームに迷惑をかけることになります。そのため、日々、自分の調子を確かめながら、あまり飛ばしすぎず、なおかつセッターとしっかりトスを合わせることに重点を置いて取り組んできました。攻撃では相手のブロックに止められず、抜けるところはしっかり抜いて、上がってきたボールは絶対に決めてやろうと思っていました。ただ、今日はうまくゲームが進み過ぎたように感じます。明日は明日。いつもの豊田合成さんと戦うイメージで、しっかり戦いたいと思います。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

最後までどちらに勝負が転ぶかわからない今季のファイナル3。信じる力が、チームに勝利をもたらす

一つの試合に置き換えて考えるなら、まだ第1セットを取っただけと言えるだろう。ファイナル3、そしてファイナルは、今季から2回戦で行われることになった。最後の最後まで、どちらに勝負が転ぶかわからないシステムだ。ジェイテクトSTINGSにとっては、明日の試合に勝てば文句なし。仮に負けても、その後に行われるゴールデンセットを取ればファイナルに進むことができる。今日の試合に勝ったことで、ジェイテクトSTINGSは精神的に優位に立った。だが、土俵際に追い込まれたチームが信じられない力を発揮することは、他ならぬジェイテクトSTINGSがいちばんよく知っているはずだ。金丸はプレミア昇格を果たした入れ替え戦を引き合いに出してこう語った。「あのときの僕たちは、初日に0−3で負けて、次の日に3−0で勝った。それは明日の豊田合成さんに対しても同じことが言える。選手みんなで気を引き締めて、絶対に勝つんだという気持ちで臨みます」。ジェイテクトSTINGSは強い。間違いなく。そう信じる力が、チームに勝利をもたらすはずだ。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS 豊田合成トレフェルサ
第1セット 25 - 19
第2セット 25 ー 22
第3セット 25 - 16
第4セット
第5セット
日付 2017年3月11日(土)
試合 V・プレミアリーグ ファイナル3 第1戦
場所 島津アリーナ京都(京都府立体育館)
メンバー カジースキ、金丸、清野、久保山、浅野、福山 L興梠
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