ジェイテクトSTINGS VS パナソニックパンサーズ

セッターの久保山が巧みに散らし、幅のある攻撃を展開。アタッカー陣も活躍し、1セットダウンから逆転する

 4位のジェイテクトSTINGSは1勝2敗で勝点5。3位のサントリーを勝点4差で追いかけている。ファイナル3に進むためには、ここから先、一つの試合も落とすことができない。
 しかし、今のジェイテクトSTINGSには日の出の勢いがある。先週の大阪大会は、豊田合成にフルセットで敗れたものの、翌日の東レ戦はストレートで快勝。試合を重ねるごとにチームの一体感が高まっている。
 今日のパナソニックパンサーズ戦も、その東レ戦と同じ7人がスタートのコートに立った。13時、試合開始を告げるホイッスルが鳴り響いた。

 ジェイテクトSTINGSは第1セットを奪われた。しかし、内容が悪かったわけではない。セッターの久保山を軸に、幅のある攻撃を展開した。カジースキ、浅野、清野のサイド陣にトスを集め、要所でセンター線を駆使しながら得点を重ねていた。バックアタックも機能している。
 最終的には小さなミスがスコアの差に表れたが、ジェイテクトSTINGSにもチャンスはあった。だからセットが終わっても、下を向いている選手は1人としていなかった。

 試合が動いたのは第2セットに入ってからだ。カジースキ、清野のスパイクで序盤に連続得点を奪った。浅野のスパイクにもキレと高さがあった。福山がブロック、速攻で得点を重ね、8−7で1回目のテクニカルタイムアウトを折り返す。
 その後もジェイテクトSTINGSが試合の主導権を握った。金丸の速攻でサイドアウトを切ると、カジースキのサービスエースでブレイク。なおもサーブで攻めるカジースキ。返ってきたボールを浅野が決めて3連続得点を奪い、12−9と突き放した。
 一進一退の展開になっても、ジェイテクトSTINGSは崩れない。リベロの興梠を軸に、サーブレシーブも安定していた。速攻が機能し、福山は上がってきたトスを確実に決めた。カジースキのサービスエースがとどめの一撃になった。20−15。浅野、清野を軸に得点を重ねると、福山が決めてセットポイント。最後はカジースキが決めて、25−22でこのセットを締めくくった。

 第3セットもジェイテクトSTINGSが走った。久保山のブロックなどで2点を連取。浅野、清野のスパイクなどで3連続得点。8−4で1回目のテクニカルタイムアウトを奪った。
 たたみかけたいジェイテクトSTINGSは、その後もカジースキの豪腕が炸裂。さらに金丸のサービスエースで、リードを4点に広げる。一時は14−14の同点に追いつかれたものの、タイムアウトで落ち着きを取り戻すと、清野のスパイク、カジースキのブロックで16−15とした。
 ここからは我慢の展開だった。17−18と逆転を許したが、カジースキのスパイクでラリーを制した。しかし、サービスエースを決められて、ビハインドが2点に広がる。ベンチも動いた。2回目のタイムアウトをここで使った。これで勢いを取り戻した。浅野、清野が立て続けに決めて、21−21の同点に追いついた。ラリーのなかでも、久保山が果敢に攻める。福山のスパイクが決まって23−22。さらに清野が決めてセットポイント。カジースキのスパイクで25−22とし、ジェイテクトSTINGSが勝利に王手をかけた。

 試合は完全にジェイテクトSTINGSのペースだった。第4セット。いきなりカジースキの強烈なサーブが相手の選手を弾き飛ばした。2本連続のサービスエース。さらに浅野がスパイク、ブロックで連続得点を奪う。カジースキのバックアタックも機能。清野が決めて、8−5とリードを広げた。
 攻撃の手を緩めないジェイテクトSTINGSは、カジースキのスパイク、金丸のブロックなどでさらに加点。浅野もプレーと声でチームを引っ張った。
 中盤に4連続失点を喫したが、ジェイテクトSTINGSは慌てない。タイムアウトで嫌な流れを断ち切った。同点に追いつかれても、チームが一丸となって粘り強く得点を重ねていく。金丸のブロック、カジースキのスパイクでジェイテクトSTINGSが1点ずつ先行した。浅野が決めてマッチポイント。最後は相手のスパイクがアウトになり、ジェイテクトSTINGSが25−23で接戦を制した。

 会心の勝利だ。今季、レギュラーラウンドでは3戦全敗、1セットも取れなかったパナソニックに快勝した。長いトンネルを抜け、ジェイテクトSTINGSは今、間違いなく上り調子にある。
「ベテランにはベテランのよさがあるし、若い選手は若い選手で、自分たちの力を出し切ってくれた。浅野がキャプテンシーを発揮して、若い選手にもその言葉が届いた。その意味でも、いい勝利だったと思います」
 試合後にこう振り返った増成監督。今日の第2試合で3位のサントリーがフルセットで敗れたため、ジェイテクトSTINGSがファイナル3に進出する可能性は最終日まで残された。明日はまさに、集大成の一戦である。一瞬たりとも、目が離せない。

増成一志監督

先週の東レ戦は、若い選手を使って勝つことができました。それは、彼ら自身が努力して少しずつ試合に出られる力をつけてきた証拠。それによって、チーム力も上がりました。今日はお互いが真剣勝負のなかで、次につながる試合をすることができた。明日はファイナル6の集大成です。たとえ試合前にファイナル3の可能性がなくなっていたとしても、しっかりと勝つことが重要。どういう結果になろうと、これからの「ONE JTEKT」をつくるために、チーム一丸となってすばらしいバレーをみなさんにお見せしたいと思います。

マテイ・カジースキ

いい試合でした。私たちのプレーもよく、チームのパフォーマンスに満足しています。競った展開で、レベルの高い試合でした。第3セットの終盤は追いかける展開になりましたが、意識していたのは1点1点に集中すること。あとは、点差が広がらないことを意識してプレーしました。全員が最後まで集中して戦ってくれたおかげで、この結果につながったと思います。個人的には今年のサーブは安定しています。できるだけ相手にサーブでプレッシャーをかけることが重要で、そこを意識して打っています。結果がどうなろうと、明日の試合も集中して臨みます。

久保山尚

個人的には、以前に比べて幅を使った攻撃ができるようになりました。サーブレシーブが返っていると、リズムもよく攻撃が組み立てやすい。そうすると、無理をせず、センター線も大胆に使っていけます。また、福山は攻撃で乗っていく選手で、スパイクを打たせることでモチベーションが上がっていく。トスの対応力も高く、上げておけば何とかしてくれます。今日は、ラリーが続いても、ブロックでしつこく引っ掛けたことで、切り返しからの攻撃が機能しました。結果はどうあれ、明日の試合に勝てば、黒鷲旗や来シーズンなど今後につながります。明日も勝って、連勝で終わります。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

セッターの久保山が活躍。大胆なトスワークで、チームを勝利に導いた

試合を重ねるごとに、久保山のトスが安定している。スタートから入った第2戦の豊田合成戦こそフルセットで敗れたものの、その後は、東レ、パナソニックに2連勝。これまで苦戦を強いられてきた2チームに快勝したのは、間違いなく久保山の活躍によるところが大きい。同じセッター出身の増成監督が言う。「以前は、悪くなったときにトスが偏ることがあった。しかし、今日はセンター線をよく使っていたし、ラリーのなかでもチャンスがあればどんどん攻撃を仕掛けていた。彼のいいところは、ジャンプ力とディグ力。ファイナル6でいい経験をし、これを機にもっと成長してくれると信じています」。終盤の勝負どころでも積極的にトスを散らした。ラリーのなかでもセンター線の速攻を使うなど、その大胆さも光っていた。背番号「16」がコートの支配者になる日もそう遠い話ではないかもしれない。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS パナソニックパンサーズ
第1セット 21 - 25
第2セット 25 ー 22
第3セット 25 - 22
第4セット 25 ー 23
第5セット
日付 2017年3月4日(土)
試合 V・プレミアリーグ ファイナル6 第4戦
場所 大田区総合体育館
メンバー カジースキ、金丸、清野、久保山、浅野、福山 L興梠
Photo