ジェイテクトSTINGS VS 東レアローズ

初スタメンの浅野が軽快な動き。リベロの興梠も機能して、何度もラリーを制す。最後は若い福山が締めくくった

 ジェイテクトSTINGSのスタメンに大きな変動があった。セッターは昨日に続いて久保山が入った。オポジットには故障の古田に代わって清野が入り、ミドルブロッカーはベテランの金丸と若い福山が対角を組んだ。東レアローズのフローターサーブ対策として、リベロは興梠。そして、カジースキの対角には、ヒザの手術とリハビリを経て浅野が今季初スタメンを果たした。
 チームを引っ張ったのがその浅野だ。全力でコートを駆け回り、全員が背番号「19」に引っ張られて躍動した。

 カジースキがフェイントを落としてジェイテクトSTINGSが先制した。清野もライトからスピードのある攻撃を見せた。浅野が立て続けにブロックで得点を奪う。清野が決めて8−5。その後もジェイテクトSTINGSが浅野を中心に得点を重ねていった。
 中盤は一進一退。ジェイテクトSTINGSのチャレンジも成功し、確実にサイドアウトを切っていく。セッターの久保山は巧みにトスを散らし、カジースキ、清野のスパイクが何度も相手のコートに落ちた。
 これまでの東レとの対戦はサーブレシーブに苦しんでいた。その課題も、リベロの興梠を軸に解消。福山も速攻を決めるなど、粘り強くサイドアウトを切っていく。カジースキの連続得点で21−16。相手のサーブミスでセットポイントを奪うと、最後は清野が決めて25−21で第1セットを先取した。

 この日のジェイテクトSTINGSは集中力が途切れなかった。第2セットに入っても、勢いをキープ。カジースキのスパイク、清野の巧打で3−3の同点に追いつく。さらにラリーになったときに抜群の粘りを発揮。ブロックとレシーブが機能して、相手の攻撃をことごとく封じる。久保山のブロックでブレイクポイントを奪い、4−3と逆転に成功。浅野も高い打点からスパイクをたたき込み、ジェイテクトSTINGSが8−5と先行した。
 一気にたたみかけたいジェイテクトSTINGSは、浅野がサービスエース、バックアタックと攻撃面でも活躍。カジースキにマークが偏ったすきを突いて、清野が豪快にバックアタックをたたき込んだ。15−11から怒濤の6連続得点。久保山、金丸のブロックに加えて、浅野のスパイクが立て続けに決まり、21−11と大きくリードを広げた。
 あとは落ち着いてこのセットを終わらせるだけだった。要所で廣瀬、袴谷を投入して、ネット際に高さを増した。最後は清野のスパイクでフィニッシュ。25−14の大差で2セットを連取した。

 セットカウント2−0。勝負はここからだ。前日の豊田合成戦は、2セットアップから逆転負けを喫している。同じ轍を踏んではいけない。この日のジェイテクトSTINGSは慎重かつ大胆だった。
 清野が決めて最初のラリーを制した。2−2の場面も、カジースキのスパイクでラリーを奪った。さらにカジースキ、清野のスパイクなどで3連続得点。チーム全体から「絶対にボールを落とさない」という気迫があふれていた。長いラリーを清野のスパイクで締めくくり、8−6で1回目のテクニカルタイムアウトを奪った。
 このあとのラリーもことごとくジェイテクトSTINGSが取った。浅野の体力も衰えなかった。高い打点から次々と得点を重ねていく。さらにチャレンジが成功して、浅野のサービスエースが認められた。これで17−13。終盤はシーソーゲーム。ジェイテクトSTINGSはサーブとブロックで相手にプレッシャーをかけて、確実に1点ずつを重ねていった。福山が決めてマッチポイント。最後も福山が締めくくり、25−21でジェイテクトSTINGSがストレート勝ちを決めた。

 ようやくトンネルの出口が見えた。1月28日のJT戦以来の勝利だ。しかも、勝点3を獲得。首の皮一枚で、ファイナル3への望みをつないだ。
「残りは2試合。一つ一つ勝っていって、なんとかファイナル3をつかみ取りたい。他力本願のところはあるが、勝ちにこだわってメンバーを決めていきます」
 試合後にこう振り返った増成監督。思い切ったメンバー変更も功を奏した。来週の東京大会で、ファイナル3が決まる。成長過程のジェイテクトSTINGSがクライマックスを迎えるのは、まだ早い。

増成一志監督

昨日の豊田合成戦は、悔しい思いをしました。そのうえで、メンバーをどうしようかと考えた。浅野は体力面で心配があった。さらにケガを考えると、無理をさせたくなかった。ただ、今日の1試合にすべてをかけるという意味で、浅野には「とにかくすべてを出してこい」と言って送り出しました。雰囲気を変える起爆剤になってくれたらと思っていたが、彼が持っているすべてを出してくれたと思います。いい形で若い選手を引っ張ってくれたことが、今日の勝利につながりました。残りの2戦も、勝ちにこだわりながらうまく選手を使っていきたいと思います。

浅野博亮

今季初のスタメンで、試合前はすごく緊張しました。出だしも個人的な感覚では、いいプレーじゃなかった。ただ、チームは連敗が続いて負けに慣れている状況だったので、今日の試合は技術云々よりも気持ちで盛り上げて勝ちにいこうと話していました。最近のジェイテクトSTINGSは、点を取ったあとにすぐに集中を切ってしまうことが続いていたように思います。連続で点を取るのは体力的にもメンタル的にもキツいのですが、そこをおろそかにしないで、落ちたボールでも拾いにいく覚悟でみんながやっていた。そこがいい結果につながったと思います。

福山汰一

昨日の豊田合成戦から急に「いくぞ」と言われました。それまでは、Bチームに入っていて、いかにAチームを苦しめるかを考えながら練習してきました。Aチームの調子が悪いときは、とことんまで追い詰めてやろうと思っていた。それがBチームの役割だと思うし、そういうふうに練習でもできていた。だから、急に「いくぞ」と言われても、開幕戦のようなプレッシャーもなく、自分なりにそつのないプレーができたと思います。また、セッターの久保山さんとは練習中や練習後の自主練でもずっと合わせてきました。信頼関係もちょっとずつできているので、もっと精度を上げて自分のパフォーマンスが出せるようにしたいと思います。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

浅野のファインプレーがチームを救う。粘りで相手を上回り、何度もラリーを制した

第3セット、19−17の場面だ。東レのジョルジェフが放ったらライトからのスパイクを、ストレート側で構えていた浅野が倒れ込みながら左手一本で上げた。ファインプレーだった。続くジョルジェフのスパイクはブロックでワンタッチを取ってつないだ。最後はカジースキがレフトから強烈なスパイクをたたき込んだ。これで一気に走ったジェイテクトSTINGSが、ストレート勝ちを決めた。この得点に代表されるように、今日のジェイテクトSTINGSはラリーに強かった。「東レさんの持ち味である粘りのバレーを、ジェイテクトSTINGSのバレーが上回った。相手からすればダメージが強かったと思う。浅野のファインプレー、ああいったプレーがチームを救ってくれた」と増成監督。もちろん、ラリーを制した要因は一つだけではない。リベロの興梠は東レのフローターサーブに対応していた。清野が高い決定率を残したことで、カジースキのプレーも安定した。すべての点と点が一本の線でつながって「ONE」になった。まさにジェイテクトSTINGSの真骨頂とも言えるゲームだった。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS 東レアローズ
第1セット 25 - 21
第2セット 25 ー 14
第3セット 25 - 21
第4セット
第5セット
日付 2017年2月26日(日)
試合 V・プレミアリーグ ファイナル6 第3戦
場所 大阪市中央体育館
メンバー カジースキ、金丸、清野、久保山、浅野、福山 L興梠
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