ジェイテクトSTINGS VS 豊田合成トレフェルサ

序盤に古田が故障離脱。代わって入った清野や福山が活躍するが、第3セット以降は相手に対策される

 ジェイテクトSTINGSが正念場を迎えている。ファイナル6の初戦となった先週のサントリー戦は1−3で敗戦。ファイナル3に向けて、土俵際に追い込まれた。さらに前日の会場練習で、チームがアクシデントに見舞われた。主将でセッターの高橋(慎)が負傷。首位を走る豊田合成トレフェルサとの一戦は、欠場を余儀なくされたのだ。

 チームを救ったのは、代わって入った久保山だ。高橋(慎)が抜けた穴を補って余りある活躍を見せた。第1セットの立ち上がりからジェイテクトSTINGSが先行。相手のミスもあって、4−1とリードを広げた。しかし、カジースキ、古田のスパイクが相手の精度の高い守備に阻まれて4連続失点。7−9と追いかける展開になる。
 福山の速攻でサイドアウトを切ると、ここから互いに1点ずつを取り合う展開。ジェイテクトSTINGSはカジースキ、金丸のスパイクで、着実に得点を重ねていく。チームに追い打ちをかけたのが10−12の場面だ。オポジットの古田が脚を負傷。代わって清野がコートに立つことになった。
 それでも、その清野が活躍し、3連続得点で一気にスコアをひっくり返す。ラリーの場面では、カジースキのバックアタックが効果を発揮した。さらに高橋(和)がサーブで攻めてブレイクポイント。16−14で2回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 後半もサイドアウトの応酬が続いた。ジェイテクトSTINGSはサイドにトスを散らして粘り強く得点を奪う。しかし、細かいミスが続いて3連続失点。さらにサーブレシーブのミスからブレイクポイントを奪われ、21−23と追い込まれた。ここで真価を発揮したのが、高橋(和)だ。相手のミスで23−23の同点に追いつくと、高橋(和)が値千金のサービスエース。一度はジュースに持ち込まれるが、ピンチサーバーの松原がサーブで攻め、最後は金丸のブロックが炸裂。ジェイテクトSTINGSがこのセットを26−24で制した。

 勢いをつかんだ。第2セットに入っても、ジェイテクトSTINGSのペースだった。金丸の速攻、カジースキのサービスエースでリズムをつかんだ。圧巻は3−5からだ。清野のスパイクでサイドアウトを切ると、金丸のサービスエース、高橋(和)のブロックなどで5連続得点を奪った。
 久々のスタメンとなる福山も、縦横無尽にコートを駆け回った。高橋(和)がサーブで攻め、ネット際に上がったボールを福山がダイレクトでたたいてブレイク。さらに高橋(和)のサービスエースで再び12−9と引き離す。ラリーの場面でも、全員が粘り強くボールを追いかけた。リベロの本間を軸に、ディグも安定していた。勝負どころでは高橋(和)が確実に決めて、リードをキープ。カジースキ、清野のスパイクで21−17。さらにチャレンジが成功して高橋(和)のサービスエースが認められた。最後は清野がバックアタックを決めて、25−20で2セットを連取した。

 しかし、ここから試合の流れが変わった。豊田合成が一気にギアを上げてきたのだ。ジェイテクトSTINGSの内容が悪かったわけではない。第3セットの序盤は金丸のサービスエース、福山の速攻などで得点を重ねた。スピードを生かした清野の攻撃も決まっていた。カジースキも高さを生かしたスパイクで得点を量産した。中盤にはカジースキのノータッチエースで、最大3点のリードを奪っている。
 順調にサイドアウトを切っていけば、勝点3を手にすることができた。しかし、3連続失点を2度繰り返し、20−22と逆転を許す。福山のスパイクなどで一度は追いついたが、反撃もここまで。清野のスパイクが止められて、23−25でこのセットを失った。
 続く第4セットも豊田合成に奪われ、勝負の行方は第5セットに持ち込まれた。

 ジェイテクトSTINGSにも勝つチャンスはあった。相手のミスなど、運もあった。しかし、第5セットは、4−4から7連続失点。高橋(和)、清野のスパイクが立て続けに止められた。福山の速攻もブロックされた。たしかに苦手なローテーションではあった。しかし、試合巧者の豊田合成は、そのすきを見逃さなかった。2度のタイムアウトでも流れを変えることができず、点差は大きく開いた。
 松原がサーブで攻めて、カジースキがブレイクポイントを奪った。まだ諦めない。ワンポイントでコートに入った廣瀬が、2本連続でブロックを決めた。最後まで粘り強く戦ったが、11−15で敗れた。

 勝てる試合だった。勝ち点3を取り、ファイナル6の流れを大きく引き寄せるはずだった。たしかに先週のサントリー戦に比べれば、内容も大きく改善されている。しかし、結果だけがついてこなかった。
「勝つ執念を持ってプレーしなければいけない。強い意志を持ってプレーし、その積み重ねでいいプレーヤーになっていく。そういうところを改善しないと、一人一人のプレーの幅は広がらない。よりいっそうの厳しさを、チームに注入しなければいけないと思っています」
 試合後にこう振り返った増成監督。ファイナル6は残り3試合。可能性がある限り、全力で立ち向かうのみだ。

増成一志監督

ファイナル3につなげるために、上位2チームと対戦する今週に向けて、しっかり準備してきました。練習のときから若い力がいいプレーを見せていたこと、また今のチームには必要だと思い、今日は福山をスタートから出しました。まずまずの出来で、いいバレーが展開できたと思います。ただ、相手は首位を走る豊田合成です。第3セットから、気の引き締まったプレーを見せてきた。逆に我々のほうに、イージーミスがありました。そこがまだまだ力の差だと思っています。ただ、明日の試合に向けてしっかりと準備をすることが私たちの使命。チャンスは残っているので、次に向けて戦います。

マテイ・カジースキ

先週のサントリー戦に比べれば、今日はいい試合ができたと思います。また、全員が最後まで諦めずに戦えたことがよかった。ただし、勝ち点3、もしくは2を獲得できなかったことは残念です。たしかに相手は強かったし、昨日の練習で(高橋)慎治さんがケガをするというアクシデントはあった。そんな難しい状況でありながら、選手たちは一生懸命頑張りました。試合の内容にも満足しています。個人的にも、今日は非常に安定したパフォーマンスだったと思っています。とくにサーブで攻めることができました。ただし、ミスもいくつかあったので、そこはしっかりと修正して、次戦以降もよりよいプレーができるようにしたいと思います。

清野真一

はじめは相手のマークがそれほど厳しくなかったので、自分のプレーができました。しかし、後半は自分に対するマークがキツくなって、ブロックがきはじめたときに決められなくなった。チームのリズムも悪くなったところがあるので、どんな状況でももっと決められるようにしないといけません。チームとしては、いいバレーができていたと思います。ただ、サイドアウトの応酬から最後の一本が切れなかった。残り3試合ですが、先のことを見ずに、まずは一戦一戦を全力で戦うこと。明日の東レさんもいいバレーをしてくると思います。それに対して、自分たちのバレーがしっかりできたら必ず勝機が見えてきます。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

途中出場の清野が活躍。若い福山もフィットし、試合を接戦に持ち込む

勝っていれば、間違いなく今日のヒーローになっていただろう。第1セットの途中からコートに入った清野だ。急な出場だったが、すぐに試合にフィット。キレのあるスパイクで、得点を量産した。右利きの古田からサウスポーの清野に代わったことも大きい。相手のブロックを惑わす効果があった。「彼はいつも、チームのリズムがよくないときに出る。左利きなので、相手にとっては嫌な存在。スピードを生かして、前半はのびのびとプレーしてくれた」と増成監督も手応えを話す。しかし、相手のマークが厳しくなった後半は失速。だからこそ、相手が慣れる前に勝負を決めておきたかった。さらに、若い福山もフル出場。18本のスパイクを放って55.6パーセントの決定率を残すなど、チームにとっては今日いちばんの収穫と言える。ファイナル6は残り3試合。フレッシュな力で、チームに勢いをもたらしてほしい。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS 豊田合成トレフェルサ
第1セット 26 ー 24
第2セット 25 ー 20
第3セット 23 - 25
第4セット 22 ー 25
第5セット 11 ー 15
日付 2017年2月25日(土)
試合 V・プレミアリーグ ファイナル6 第2戦
場所 大阪市中央体育館
メンバー カジースキ、金丸、古田、高橋(和)、久保山、福山 L本間
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