ジェイテクトSTINGS VS 豊田合成トレフェルサ

気迫を出して戦った。一歩も引かず、攻め続けた。敗れはしたが、次につながる戦いができた

 いよいよレギュラーラウンドの最終戦を迎えた。舞台はホームのジェイテクトアリーナ奈良。ジェイテクトSTINGSはすでに5位でのファイナル6進出を確定させている。失うものはなにもない。「気持ちだけは絶対に引かないことを前日のミーティングで確認した」と高橋(和)は言う。
 大勢の観客に、気持ちを伝えることはできるのか――。試合のポイントは、この一点に集約されていた。

 ジェイテクトSTINGSは立ち上がりから気迫を前面に出して攻めた。一進一退の展開が続く。カジースキ、古田のスパイクでサイドアウトを切った。3点のビハインドで1回目のテクニカルタイムアウトを迎えたが、目の輝きは失っていなかった。
 高橋(和)のノータッチエースで会場が沸いた。中盤以降はまたも1点ずつを取り合う展開。ジェイテクトSTINGSは古田のスパイク、廣瀬の速攻などで着実に得点を重ねていく。スタートから入っているリベロの興梠も、体を張ってチームの守備を支えた。
 しかし、なかなかブレイクポイントが奪えない。袴谷、久保山を二枚替えで投入するが、ここも1本でサイドアウトを切られる。点差が縮まらない。5点のビハインドのまま、20−25で第1セットを逃げ切られた。

 第2セットはジェイテクトSTINGSが先行した。カジースキのサーブレシーブから廣瀬が速攻を決めて先制。さらにカジースキがフェイントを相手コートにぽとりと落としてブレイクポイントを奪う。金丸の速攻などで、幸先よくリードを広げた。
 一度は7−8と逆転を許すが、この日のジェイテクトSTINGSは気持ちで一歩も引かなかった。セッターの高橋(慎)も巧みにトスを散らした。廣瀬がサーブで相手を崩すと、ネット際に上がったボールを金丸がダイレクトでたたき込む。10−9と再びリードを奪った。ここからは一進一退。ラリーに持ち込まれても、カジースキが粘り強く決めた。古田も強烈なスパイクを何度もたたき込んだ。カジースキが決めて、2回目のテクニカルタイムアウトを16−15で奪った。
 18−18でサーブが回ってくると、カジースキがノータッチエースを決めた。一度はラインを割ったかに思われたが、チャレンジによってインと判定された。これで勢いに乗ると、カジースキがバックアタックを決めて20−18とリードを広げる。セット奪取まであと一歩に迫った。
 しかし、22−20から4連続失点。カジースキ、古田のスパイクが立て続けに止められた。タイムアウトでも流れを切ることができず、23−25でこのセットも失った。

 あとがなくなった。しかし、第3セットも豊田合成トレフェルサの勢いが上回っていた。返ってきたチャンスボールを決め切れず、ジェイテクトSTINGSは立て続けに失点した。高橋(和)がキレのあるスパイクを決めて勢いを取り戻すが、3点のビハインドで1回目のテクニカルタイムアウト。そこからさらに2点を献上し、5−10と点差を広げられた。
 ベンチも動く。6−10となったところで辰巳を投入。懸命に声を出してチームを鼓舞した。それに応えるように、全員が必死にボールに食らいついた。最大で7点差まで広がったが、試合を捨てる者は一人もいない。カジースキのスパイクでブレイクポイント。辰巳も上がってきたトスを確実に決めた。
 金丸が速攻を決めると、カジースキのサービスエースなどで3連続得点。18−21と3点差に迫った。最後まで攻め続けた。しかし、20−25で失セット。ストレートで敗れた。

 レギュラーラウンドを5位で終えた。とくに後半はジェイテクトSTINGSらしいバレーを発揮することができなかった。誰もが悔しさをかみしめている。しかし、V・プレミアリーグはまだ終わったわけではない。
「まずはファイナル6に出られることを喜びたい。選手たちに感謝しています。また、たくさんの社員の皆さま、ファンの皆さまの応援もあった。後半戦の悔しさをファイナル6の5試合で晴らせるように、しっかりと準備していきます」
 試合後にこう語った増成監督。気持ちは2週間後のファイナル6初戦へ。トップにのし上がるための戦いが、いよいよはじまる。

増成一志監督

強いチームになるためには、コート内のムードの作り方や、ここいちばんというところでどれだけ自分を信じて試合に臨めるかが大切になってきます。トップチームの誇りも持たなければいけません。この2週間でもう一度、できることにしっかりと時間を費やしてやっていきたい。また、センター線の決定率がここ数試合はよくないので、コンビネーションの精度をもっと高くすることが大事。今日の試合も、チャンスボールが返ってきたのにコンビがズレてしまうことがあった。ファイナル6では、そうした一つのミスで相手にリズムを与えてしまいます。厳しい戦いを戦い抜くためにも、自分たちがやってきたことに自信を持ってプレーしていきたいと思います。

高橋慎治

今日は、一つ一つのプレーの精度が結果に表れました。レシーブ、スパイク、トス、ブロック…、一つ一つのプレーで相手の精度が上回っていました。昨日のような試合をしてはいけないことを選手全員が自覚していたし、レギュラーラウンドの最終戦ということで、ファイナル6につながる試合をしようと選手全員で話し合った。結果は残念ですが、気持ちの面は改善できたので、次につながると思います。少し時間が空くので、もう一度、自分たちの強みを見つめ直したい。練習に入るときの気持ちはもちろん、プレーの精度を上げることが大事。ファイナル6は一つも負けられない状況なので、目の前の一戦一戦を絶対に勝ちにいきます。

高橋和人

3レグは1勝6敗。ここまでの課題として、ラリーが取れていません。昨日の夜は、今季初めて選手だけでミーティングをしました。これまでの練習に対する甘さを再認識し、今日は絶対に気持ちで引かないことを全員で確認しました。1点の重みも今週の2試合で痛感した。ファイナル6までの2週間で、どれだけ修正できるか。修正したところと、今日の気持ちがかみ合えば、間違いなく上にいけると思っています。今季はブロックが走っていて、ここ数試合は僕やマテイ、古田のジャンプサーブでも点数が取れている。今日は気持ちの部分も悪くなかった。まずはサントリーとの初戦に確実に勝ち、勢いを持って戦っていきたいと思います。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

今季のジェイテクトSTINGSの強みはブロックとサーブ。この2点を武器に、ファイナル6で躍進したい

今季のジェイテクトSTINGSの強みはブロックだ。一時はランキングでも首位に立った。レギュラーラウンドが終わり、個人では金丸、廣瀬、カジースキの3人が15位以内にランクイン。後半はやや失速したが、それでも昨季から飛躍的に成長した点であることに疑いの余地はないだろう。ブロックが機能することで、ディグも安定感を増した。また、そのブロックを生かしているのがサーブだ。カジースキのサーブ効果率はリーグ1位、高橋(和)も6位に入っている。さらに、古田も後半になるにつれて調子を上げてきた。3人のビッグサーバーに加え、廣瀬や金丸といったフローター陣も安定感は抜群だ。サーブとブロック、この2点がファイナル6を勝ち抜くためのカギになるのは間違いない。決戦まで2週間。下克上のチャンスはある。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS 豊田合成トレフェルサ
第1セット 20 ー 25
第2セット 23 - 25
第3セット 20 ー 25
第4セット
第5セット
日付 2017年2月5日(日)
試合 V・プレミアリーグ 第21戦
場所 ジェイテクトアリーナ奈良(橿原公苑第一体育館)
メンバー カジースキ、金丸、古田、高橋(慎)、高橋(和)、廣瀬 L興梠
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