ジェイテクトSTINGS VS 豊田合成トレフェルサ

全員バレーで第1セットを先取。第2セット以降はサーブレシーブを崩されて逆転負けを喫する

 日本の頂点を決める「平成28年度 天皇杯・皇后杯 全日本選手権大会」の最終決戦が大田区総合体育館で幕を開けた。ジェイテクトSTINGSは準決勝で前回チャンピオンの豊田合成トレフェルサと対戦。V・プレミアリーグから続く勢いを生かし、第1セットから果敢に攻めた。

 立ち上がりは熾烈な主導権争いが続いた。ジェイテクトSTINGSはカジースキにボールを集めてサイドアウトを切る。要所で高橋(和)、古田のサイド陣にトスを散らし、着実に得点を加算。廣瀬も積極的に速攻に入って、相手のブロックをかく乱した。
 流れを引き寄せたのは、8−8の場面からだ。古田のブロックでサイドアウトを切った。古田がサーブで攻め、相手からミスを誘ってブレイク。さらにブロックでワンタッチを取ったあとの切り返しからカジースキが強打をたたき込んだ。トータルで4連続得点を奪い、12−8とリードを広げた。
 セッターの高橋(慎)も安定したトスワークを見せた。好調の古田もライトから強打を突き刺した。廣瀬がサービスエースを奪って22−14。落ち着いた試合運びを見せると、ライン際に入った相手のサーブをリベロの本間が飛び込みながらレシーブ。上がったボールを、カジースキが相手コートにぽとりと落とした。これで23−16。一度も相手にリードを与えることなく、ジェイテクトSTINGSが25−19で第1セットを先取した。

 第2セットも一進一退だった。ジェイテクトSTINGSは古田のスパイクで得点を重ねる。金丸がブロックを決めてブレイク。古田がライトから決めて、8−7で1回目のテクニカルタイムアウトを折り返した。
 廣瀬の速攻でサイドアウトを切ると、高橋(和)がサーブで魅せる。ライン際、人と人の間と巧みにコースを打ち分け、連続でサービスエース。11−8と点差を3点に広げた。その後も廣瀬、金丸の速攻が機能して、リードをキープし続ける。
 だが、16−14でテクニカルタイムアウトを迎えたあたりから、徐々に流れが変わりだす。ジェイテクトSTINGSに細かいミスが出て3連続失点。さらにカジースキがサーブで狙われて4連続失点を喫する。18−21と一気にスコアをひっくり返された。
 2度のタイムアウトでも流れを変えることができず、相手にサービスエースを決められて20−24。21−25でこのセットを失った。

 第3セットも、ジェイテクトSTINGSが序盤のリードを奪った。カジースキが高い打点からスパイクをたたき込んだ。高橋(和)、古田のサイド陣もそれに続いた。カジースキのブロックが決まって9−7。このままジェイテクトSTINGSが一気に走るかに思われた。
 しかし、ここがこの試合の明暗を分けた。相手のサーブが走った。サーブレシーブを崩されて、センター線の速攻が機能しなかった。攻撃の選択肢も減らされた。2本のノータッチエースを含め7連続失点。タイムアウトでも流れを断ち切ることができなかった。
 追いかけるジェイテクトSTINGSは、廣瀬、カジースキのブロックなどで粘り強く得点を重ねた。一時は19−20と1点差まで迫った。反撃のチャンスはあった。しかし、終盤に2本連続でサービスエースを決められて万事休す。20−25でこのセットを失った。

 第4セットは、カジースキのブロックでジェイテクトSTINGSが先制した。しかし、ここから一進一退。1点のビハインドで1回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 カジースキのブロックで9−9の同点。しかし、カジースキにかかる負担は徐々に大きくなっていった。相手がカジースキにサーブを集めてきたことも、要因の一つだ。サーブレシーブが乱れて9−12となったところで、ジェイテクトSTINGSは1回目のタイムアウトを消化した。
 中盤には高橋(和)の活躍で3連続得点を奪い、15−16と1点差に迫った。一時はビハインドが4点に広がったが、古田のスパイク、高橋(和)のサービスエースで再び2点差に迫った。誰一人、諦める者はいなかった。しかし、20−25。最後まで力を出し切ったが、セットカウント1−3で逆転負けを喫した。

 準決勝で大会を終えた。悔しさは残るが、ポジティブな内容だったと言っていい。V・プレミアリーグの再開に向けて収穫もあった。
「高さのある相手に対してタイミングを合わせて跳ぶなど、ブロックのしつこさを出すことができた。それを試合の中で修正できたことは、これからの長いリーグでも生かすことができる。これからもよりいっそう、そういったシステムを強固にしていきたい」
 年内最後の試合をそう言って締めくくった増成監督。次なる戦いは、年明け早々の1月7日。今日の悔しさをバネにして、V・プレミアリーグに臨みたい。

増成一志監督

第1セットは、相手のミスに助けられた場面もあったが、いいリズムで戦えました。攻撃の幅もしっかり使えたことが、今日のよかった点です。第2セット以降は、相手のビッグサーバーに対して直接失点もありましたが、敗因はそれだけではありません。最後に攻撃が単調になってしまったところが反省点です。あれだけカジースキにサーブを集められると、もっとネットの幅を使った攻撃をしていかないとなかなか勝つことができません。セッターにも反省が必要だし、他の選手も一人一人が自分の役割をしっかりやっていくことが大事。そうしたことを一人一人が実感し、年明けの試合から生かしていきたいと思います。

高橋和人

全体的に押し切られた印象はなく、サーブの差だったと思います。自分たちがいいサーブを打っても、相手は何とか上げてイゴール選手で切ってきた。逆にうちは直接の失点につながり、我慢し切れませんでした。崩れたときに(カジースキ)マテイ頼りになってしまったところもあります。ただ、トータル的にはいいところもありました。第1セットから足が動いて、(高橋)慎治さんも含め、全員がレシーブをすごく上げていた。そこから得点につながる展開が、第1セットはとくに見られました。ここ数試合は第1セットを取られているということを考えても、今日は立ち上がりからいい展開でできたのも収穫だと思います。

古田史郎

豊田合成さんがすばらしいゲームメイクをしました。僕たちがリズムをつくり切れなかった部分と、相手がリズムをつくってどんどんプレーしてきた部分があり、そこの差が結果に現れました。相手にサーブで攻められる中でも、自分たちがブロックでしぶとく得点を取ったり、引きはなされずについていくことはできたと思います。もうワンチャンスあればというところで取り切れなかったことが今日の結果につながりました。ただ、しぶとく戦えたところはあるので、そこを収穫として、V・プレミアリーグでタイトルが取れるように頑張ります。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

果たして覚醒なるか。年明けの古田の活躍に期待したい

前回のJT戦で途中交代した古田。多くを口にすることはなかったが、今日の豊田合成戦もいろいろな思いを持って臨んだに違いない。「自分のリズムを大切にすることを意識しました。セッターの(高橋)慎治さんとも話をして、コンビの部分などいろいろなことを考えました。今日は絶対に勝つんだという気持ちで入りましたが、それがいい方向にかみ合ったと思います」。決定率44.4パーセントと数字的にはやや物足りないが、試合全体を通してみると大事な場面で得点を取った印象だ。今後も、カジースキがマークされたときの得点源になるのは、間違いなくオポジットの古田だろう。第4セットには、ベンチの外まで出たボールを懸命に追いかけてフォロー。得点にはつながらなかったが、執念を見せた。チームがトップに立つためのキーマンの一人。「年明けにパワーアップできるように頑張ります」という言葉に期待したい。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS 豊田合成トレフェルサ
第1セット 25 - 19
第2セット 21 ー 25
第3セット 20 ー 25
第4セット 20 ー 25
第5セット
日付 2016年12月24日(土)
試合 平成28年度 天皇杯・皇后杯 全日本バレーボール選手権大会
場所 大田区総合体育館
メンバー カジースキ、金丸、古田、高橋(慎)、高橋(和)、廣瀬 L本間
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