ジェイテクトSTINGS VS JTサンダーズ

ボールがつながりだした第2セット以降に本領を発揮。代わって入った清野もサーブで活躍

 前日の2回戦で中央大学を下したジェイテクトSTINGSは、準々決勝でJTサンダーズと対戦した。

 第1セットは、19−25で失った。しかし、試合を優位に進めていたのは、ジェイテクトSTINGSのほうだ。カジースキのスパイクで先制すると、古田がネット際で強さを発揮。カジースキのブロックなどで、4−0とリードを広げた。本間のバックトスを高橋(和)が鮮やかに決め、カジースキのサービスエースで8−5。会心のスタートを切った。
 しかし、サーブレシーブが崩れて同点に追いつかれると、11−11から4連続失点。12−18となったところで、古田に代わって清野がコートに入る。その後は、カジースキのスパイクや廣瀬の速攻で一進一退。しかし、開いた点差はあまりに大きく、JTにこのセットを奪われた。

 第2セットの立ち上がりもジェイテクトSTINGSが主導権を握った。この日は、ディグが抜群に冴えていた。2−1の場面では、金丸がブロックでワンタッチを取ったボールを、高橋(和)がフライングレシーブ。清野が相手コートに返すと、ネットの近くに上がったボールを金丸がダイレクトでたたき込んだ。これで3−1。清野のスパイクなどで、1回目のテクニカルタイムアウトを8−5で奪った。
 さらにミドルブロッカーの金丸が、片手で相手のスパイクに反応。得点にはつながらなかったが、脅威の粘りを発揮した。一時は1点差に詰められるが、ジェイテクトSTINGSに焦りはなかった。
 圧巻だったのが、カジースキがサイドアウトを切って迎えた13−11の場面からだ。清野がサーブで攻めると、相手の守備を崩して、カジースキ、金丸のブロックをお膳立て。トータルで6連続得点を決めて、18−11と一気に引き離す。
 金丸がサーブで攻め、高橋(慎)がダイレクトで押し込んでブレイクポイント。カジースキ、廣瀬が確実にサイドアウトを切ると、最後は清野のスパイクで25−19。ジェイテクトSTINGSがセットカウントを1−1のタイに持ち込んだ。

 第3セットは一進一退。オポジットはこのセットも、スタートから清野が入っている。カジースキにトスを集めて確実にサイドアウトを切った。高橋(和)がサーブで攻めると、相手のミスを誘って8−7と逆転に成功した。
 サーブでは頭脳プレーも光った。クイックサーブで相手の意表を突き、返ってきたボールをカジースキが得点。5連続得点を奪い、11−7とリードを広げた。
 中盤に入ってもジェイテクトSTINGSは攻撃の手を緩めない。高橋(和)が相手のブロックをよく見て得点を決めると、廣瀬の速攻でブレイクポイント。さらにブロックでプレッシャーをかけて2本連続で相手からスパイクミスを誘う。
 落ち着いて試合を進めたジェイテクトSTINGSが金丸のブロックでセットポイントを奪い、25−19でこのセットを奪った。

 ジェイテクトSTINGSの勢いは止まらない。第4セットも、カジースキの活躍で立ち上がりの主導権を握った。抜群のテクニックで、相手のブロックをするりとかわす。7−5の場面では、アタックラインの後ろからタイミングを合わせてうまくボールを押し込んだ。強打と軟打と織り交ぜながら、得点を積み重ねていった。
 12−8の場面では、後ろにそれたボールを高橋(慎)が懸命に下がりながらレシーブ。得点にはつながらなかったが、チームに勇気を与えた。
 3点のリードで2回目のテクニカルタイムアウトを折り返した。廣瀬のサービスエースでブレイクポイントを奪い20−15。22−20と2点差に迫られたところで増成監督はタイムアウトを要求する。これで嫌な流れを断ち切った。袴谷と久保山を二枚替えで投入した。チャンスボールを清野が決めてマッチポイント。最後は高橋(和)のスパイクで25−22、熱戦に終止符を打った。

 会心の勝利で、来週の準決勝に駒を進めた。天皇杯での4強入りは、準優勝を果たした2013年以来、3年ぶりだ。
 第1セットを失いながらも、本来の力を取り戻して逆転勝ちした。地力がある証と言えるだろう。「今は一人一人のモチベーションが前向きなので、次に向けてしっかりやっていきたい。ただし、最近は第1セットが取れないという反省点がある。今日も自分たちがリズムをつくりながら逆転で取られた。反省点をしっかり修正し、来週の豊田合成との試合に挑戦したい」と増成監督。ジェイテクトSTINGSの歴史に新たな1ページが刻まれる日は近い。

増成一志監督

第1セットの出だしはよかったが、しだいにコンビネーションが合わなくなってジリジリと相手に詰められました。トーナメントなので勝ちにこだわらないといけません。そこで監督の決断として、古田から清野に代えました。清野はサウスポーで速いトスも打てる。しっかりとスパイクを打ってくれたことが逆転勝ちにつながったと思います。また、セッターの高橋(慎)もコートの中で修正しながら、最後までしっかりとコンビネーションを構築してくれました。高橋(慎)がいないときはカジースキがコートキャプテンとしてチームを支えてくれたし、高橋(和)もサーブレシーブ、ディグなどの目立たないところで活躍してくれた。来週の準決勝はもちろん、年明けに再開するV・プレミアリーグにもつながる試合ができたと思います。来週も必死に頑張ります。

金丸晃大

第1セットは自分たちにイージーミスが多く、それでやられたという印象が強いです。第2セットからは、簡単なミスをしないようにしようということで入りました。ブロックとレシーブの関係も徐々によくなっていき、ディグからの攻撃がよく決まっていました。ブロックに関しては、今まで相手の二段トスに対して、少し早く跳んでしまう傾向がありました。アマドコーチが来てからは、そこを修正して3枚のブロックがそろったときに少しタイミングをゆっくりするようにしています。それによって、きれいにワンタッチを取れていると思います。来週の準決勝も勝てるように頑張ります。

清野真一

チームの雰囲気は悪くなかったです。ただ、うまく回っていなかったので、自分が入るときは切り替えていこうと思っていました。最初は相手の外国人選手に対応できていなかったように感じます。中盤からは相手のスパイクにも慣れてきて、ブロックとレシーブの関係もよくなっていった。そこからディグが上がるようになりました。サーブに関しては、自分自身、けっこう感じがよかったです。7、8割の力で打っても相手が崩れてくれた。無理に攻めるよりは、確実に入れていったほうがブレイクできると思っていたら、その通りうまくいきました。準決勝までの1週間で課題を修正し、しっかり勝てるように臨みます。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

一人一人がボールに集中し、つなぎで相手を上回る。準決勝に向けて、視界は良好だ

象徴的だったのは第3セット、22−16の場面である。清野のサーブは簡単に返されたが、相手のBクイックにリベロの本間が反応。上がったボールを高橋(和)が身を投げ出して左手一本でつないだ。さらに相手がライトから打ってきたスパイクを、再び高橋(和)が上げる。エンドライン付近から本間が上げたバックトスは正確にカジースキのもとへ。エースの強烈なスパイクで、ジェイテクトSTINGSがブレイクポイントを奪った。このシーンを含め、今日はつなぎがよかった。第2セットは、サーブを打った金丸が、相手のスパイクを拾った。第4セットは、うしろにそれたボールを、高橋(慎)が懸命につないでいる。「対策練習として、ブロックとレシーブの関係に取り組んできた。ブロックの間を抜けたところもレシーバーがきっちり入っていて、マテイ、古田、和人らサイド陣がきっちり切ってくれた」と金丸。全員が一本一本のプレーに集中していた証拠だ。チームは今、確実に上昇機運に乗っている。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS JTサンダーズ
第1セット 19 ー 25
第2セット 25 ー 19
第3セット 25 - 19
第4セット 25 ー 22
第5セット
日付 2016年12月18日(日)
試合 平成28年度 天皇杯・皇后杯 全日本バレーボール選手権大会
場所 東京体育館
メンバー カジースキ、金丸、古田、高橋(慎)、高橋(和)、廣瀬 L本間
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