ジェイテクトSTINGS VS 中央大学

勝負どころで連続得点を奪い2セットを連取。相手の反撃を断ち切り、プレミアの意地を見せた

 バレーボールの日本一をかけた戦いが、東京体育館で幕を開けた。「平成28年度 天皇杯・皇后杯 全日本バレーボール選手権大会」。ジェイテクトSTINGSは初戦で中央大学と対戦した。
 相手は今年の全日本インカレを制し、3連覇を成し遂げた強豪だ。しかし、ジェイテクトSTINGSも年内最後の週を2連勝で終えるなど、V・プレミアリーグでは調子を上げている。果たして先に勢いをつかむのはどちらか。熱戦がスタートした。

 立ち上がりの主導権を握ったのはジェイテクトSTINGSだった。カジースキが挨拶がわりの一発をたたき込むと、古田のサービスエースで3−1。金丸のブロックも決まり、5−2とリードを広げた。
 8−5で1回目のテクニカルタイムアウトを奪うと、その後も廣瀬の速攻などで着実に加点。高橋(和)もキレのあるスパイクをたたき込み、そのまま一気に走るかに思われた。しかし、3連続失点で14−14の同点に。先に16点目を奪ったものの、なかなかチームは波に乗り切れない。
 エンジンがかかりはじめたのは終盤に入ってからだ。カジースキのサービスエースなどで5連続得点。22−17と大差をつけた。最後は高橋(和)がうまくワンタッチを取って25−23。ジェイテクトSTINGSが苦しみながらも第1セットを先取した。

 続く第2セットも、相手を15点に抑えた。圧倒的な内容だった。廣瀬の速攻で先制し、高さのある古田のスパイクも決まった。高橋(和)は攻守で活躍。ネット際で守備範囲の広さを見せると、要所でキレのあるスパイクをたたき込む。サービスエースも決めるなど、攻撃の原動力になった。
 ジェイテクトSTINGSが圧巻の攻撃力を見せたのが中盤だ。古田が決めてサイドアウトを切ると、カジースキにトスを集めて得点を量産。カジースキのブロックポイントを含め、7連続得点で一気にリードを広げた。
 終盤は辰巳、久保山がコートに立ち、盤石の試合運びを見せたジェイテクトSTINGSが2セットを連取した。

 しかし、第3セットに入ると、ジェイテクトSTINGSの勢いにブレーキがかかる。1回目のテクニカルタイムアウトを4点のビハインドで迎えた。サービスエースを決められ、高橋(和)のスパイクも止められた。
 5−8となったところで、ミドルブロッカーを廣瀬から辰巳にスイッチ。それでも流れは変わらない。11−16で2回目のテクニカルタイムアウトを迎えると、そこからは1点ずつを取り合う展開。ジェイテクトSTINGSはカジースキ、古田のスパイクで確実にサイドアウトを切った。辰巳も速攻を決めた。リベロの興梠を投入して、サーブレシーブも安定した。しかし、中央大の勢いも途切れない。金丸がブロックを決めたが万事休す。19−25でこのセットを失った。

 第4セットは、高橋(和)のサーブからスタートした。カジースキのスパイク、金丸のブロックなどで4−2。中央大は早くも1回目のタイムアウトを消化する。リベロの本間もコートに復帰。第3セットを取られたことで、ジェイテクトSTINGSが息を吹き返した。
 カジースキのスパイクでブレイクポイントを奪った。14−10。あとは、落ち着いて試合を終わらせるだけだった。ブロックでプレッシャーをかけてリードを広げた。古田のスパイクで22−15。ここから2点を奪われるが、ジェイテクトSTINGSに焦りはなかった。
 カジースキが決めてサイドアウトを切ると、相手のスパイクミスでマッチポイント。このセットを25−17で奪い、苦しみながらもセットカウント3−1で勝利をものにした。

 初戦の難しさ、ノックアウト方式の過酷さを象徴するような一戦だった。相手は前日にも試合をしているだけあって、落ち着いた試合運びを見せていた。しかし、この日が初戦のジェイテクトSTINGSは、なかなか流れをつかみ切れなかった。明日のJT戦からはプレミア勢との対戦が続く。「とにかく明日はしっかり勝ちたい。選手を信用しているので、絶対にやってくれると思う。そのために毎日練習してきた。一人一人がもっと自信を持って戦っていきたい」。増成監督の言葉に力がこもった。

増成一志監督

今日の試合、まずは自分のプレーをどうするかが大事でした。確かに、今まで対戦したことがないチームで、どういうプレーをしてくるかわからない。でも、その中で自分たちのプレーができなければいけません。また、自分たちのリズムで戦えないときに、それをどうやって取り戻すか。たとえミスがあったとしても、すぐに次のプレーへと移ることが重要です。本来であれば、キャプテンをはじめベテランが中心となって、チームのリズムを取り戻さないといけません。それが今日はできていませんでした。ここからギアを上げていき、勝つ気持ちを見せて、日本一を目指して戦いたいと思います。

高橋慎治

今日の悪い流れをつくったのは僕です。それを断ち切ることができなかったのも僕の責任。明日もまた試合があるので、しっかりと反省して明日の試合に臨まなければいけません。プレーどうこうではありません。雰囲気にのまれそうになったところもありました。第1、2セットを取って、第3セットは少し安心してしまったところもあります。いずれにせよ、その悪い流れをつくったのは僕だし、それを修正できませんでした。天皇杯だからといって、やることは今までと一緒です。目の前の一試合を全力で戦うだけ。同じ失敗を繰り返さないように、切り替えて臨みたいと思います。

廣瀬優希

昨年は東海大に負けましたが、それもあってみんな固くなっていたかもしれません。それに、ノックアウト方式なので負けたら終わり。中央大学は全日本インカレで勝った強豪なので、油断したら負けてしまいます。初戦ということで、体育館にも慣れていなかった。プレッシャーはすごく感じていました。しかし、今日の試合に勝ったことで、明日以降は乗れると思います。V・プレミアリーグは、年内最後の試合をいい形で終えることができました。この天皇杯は、今年最初のタイトルを目指してやっていくだけです。いい結果を目指して臨みます。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

昨年の苦い記憶がよみがえる。しかし、今年は勝った。あとは前に進むのみだ

昨年の天皇杯を覚えている人も多いだろう。東海大学と対戦して1−3の敗戦。ブロックとレシーブが機能せず、最後は勢いで押し切られた。悔しい敗戦だった。その分だけ、今日の試合もプレッシャーを感じているようだった。決して内容が悪かったわけではない。しかし、点差を広げることができず、我慢の時間帯が続いた。「いつか追いつけるだろう」と思いながら、第3セットは序盤の点差を最後まで詰めることができなかった。「昨年の二の舞になってはいけないという気持ちは選手たちにもあった。しかし、これは勝負の世界。自分たちからミスを出してしまうと、相手が大学生とはいえこういう展開になってしまう。課題をしっかり克服して、天皇杯の戦い方をやっていかなければいけない」。試合後にこう振り返った増成監督。確かに、決して楽な試合ではなかった。しかし、今年は最終的に勝って、明日につなげている。あとはプレミア勢との対戦が続く。失うものはない。目の前の一球に、全力を注ぐのみだ。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS 中央大学
第1セット 25 - 23
第2セット 25 ー 15
第3セット 19 - 25
第4セット 25 ー 17
第5セット
日付 2016年12月17日(土)
試合 平成28年度 天皇杯・皇后杯 全日本バレーボール選手権大会
場所 東京体育館
メンバー カジースキ、金丸、古田、高橋(慎)、高橋(和)、廣瀬 L本間
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