ジェイテクトSTINGS VS FC東京

第1セットを失うが、ブロックが機能してしぶといバレーを展開。途中出場の久保山も、多彩なトスワークで攻撃陣をけん引する

 第1セットはピリッとしない入り方だった。確かに、廣瀬の速攻や古田のスパイクで、流れはつかんだ。カジースキのバックアタックも冴えていた。サーブレシーブも安定していたと言っていい。しかし、小さなミスが響いて3連続失点。7−8で1回目のテクニカルタイムアウトを折り返した。
 拮抗したまま中盤まで進んだが、16−16から5連続失点。攻撃の選択肢を絞られて、なかなか相手のブロックを打ち破ることができない。二度のタイムアウトを使っても流れを変えることができなかった。
 高橋(和)のサービスエースなどで反撃に出たが、18−23となったところでセッターを高橋(慎)から久保山にスイッチ。しかし、開いた点差は大きく、19−25でこのセットを失った。

 第2セットがこの試合の大きなポイントになった。セッターは高橋(慎)でスタートした。しかし、古田のスパイクがネットにかかり、高橋(和)が押し込んだボールはアンテナ。さらに短くなった高橋(慎)のトスを、高橋(和)が相手のブロックにかけて相手に得点を与えてしまう。4−8となったところで、再び久保山がコートに入った。
 ジェイテクトSTINGSが徐々に流れを取り戻す。カジースキがバックアタックを決めると、廣瀬が連続でブロックを決めて7−8。さらに高橋(和)がブロック、スパイクで得点を重ね、10−9とスコアをひっくり返した。
 12−11の場面で放った高橋(和)のサーブはアウトになったかに思われたが、チャレンジ(ビデオ判定)によってインと判定された。これでジェイテクトSTINGSが勢いをつかんだ。一時は18−21と逆転を許したが、カジースキのスパイクや廣瀬の速攻などで4連続得点。22−21から1点ずつを取り合い先にセットポイントを奪うと、最後はカジースキが決めて25−23でこのセットを取り返した。

 第3セットのスタートは久保山が入った。序盤はサイドアウトの応酬。ジェイテクトSTINGSはカジースキに集めて、確実に得点を重ねる。要所で高橋(和)がキレのあるスパイクを決めて、1点のリードで1回目のテクニカルタイムアウトを奪った。
 さらに廣瀬のジャンプフローターサーブで揺さぶり5連続得点。相手のサーブレシーブを崩し、古田、金丸が得点を重ねた。ブロックでプレッシャーをかけて、相手のミスを誘った。金丸のブロックも決まり、13−7とリード。しかし、FC東京も粘り強さを発揮する。じりじりと差を詰められ、20−19と1点差に肉薄された。
 ここからジェイテクトSTINGSは、古田、カジースキ、高橋(和)のサイド陣が踏ん張った。金丸の速攻で24−22とセットポイント。最後は高橋(和)が高い打点から強打をたたき込み、25−23でこのセットを締めくくった。

 セットカウント2−1とリードを奪った。大事なのは、第4セットを奪い、勝点3を手にすることだ。しかし、1回目のテクニカルタイムアウトを3点のビハインドで折り返した。決して内容が悪かったわけではない。古田が足でボールをつなぐなど粘りを見せた。金丸のブロックも機能した。リベロの本間を軸に、守備も安定していた。
 ジェイテクトSTINGSが反撃に出たのはそのあとだ。金丸のブロックでブレイクポイントを奪った。久保山がネット際でボールを押し込むと、高橋(和)がブロック、スパイクを決めて3連続得点。11−10と逆転に成功した。カジースキのスパイクも破壊力を増していた。
 相手のサーブミスで14−12とすると、2回目のテクニカルタイムアウトを挟んで5連続得点。金丸、カジースキがブロックで得点。古田もライトから強烈なスパイクをたたき込んだ。二枚替えで高橋(慎)と清野が入ると、金丸のブロック、カジースキのノータッチエースで完全に試合の流れをつかんだ。高橋(和)のスパイクでマッチポイント。ウィニングポイントを清野が決めて、25−18で勝利をつかんだ。

 第1セットこそ奪われたものの、逆転勝ちで勝点3を手に入れた。決して楽な戦いではなかった。だからこそ、つかんだ勝点には大きな意味がある。「ベストなプレーはできなかったが、チームとして勝点3が取れたことは大きい。悪いときでもどうやって勝っていくかが大切。途中から入った久保山も頑張ってくれた。あそこから3セットを取って勝ったことで、彼にとっても大きな自信になったと思う」。試合後にこう振り返った増成監督。明日のサントリー戦で1レグのリベンジを果たし、さらなるチームの成長を証明したい。

増成一志監督

この2戦はすごく大事な試合。相手は足下をすくってやろうという思いで、のびのびとプレーしてきた。逆にうちは、声を出してリズムを作ろうと言ってきたが、少し固さがありました。ただ、勝点3を取って明日のサントリー戦につなげられたことは大きい。常に100パーセントの力を出し切るのは難しいが、その中でも勝ち方を学んでいかなければいけません。そのためには、頭と体を一致させてプレーすることが大事です。技術も含め、それらをマッチさせた戦いで、さらに進化したジェイテクトSTINGSを見せられるように頑張ります。

金丸晃大

1レグで勝っているということで、言葉には出していないが、心のどこかに油断があったかもしれません。それが第1セットの結果につながりました。声が出ていなかったので、決まったらみんなで盛り上げようと話していました。第2セット以降は、スパイクが決まることでリズムが出てきたと思います。ブロックに関しては、作戦がうまくいった部分があります。個人的には、手の間を何度か打たれているので、そこを逃さずにしっかりとブロックしたい。ここまで若手とベテランがうまく融合できています。僕自身はいつも準備万端だし、ベストコンディションです。明日のサントリー戦も、絶対に勝って勝点3を取ります。

古田史郎

先週の豊田合成戦で途中交代し、いろいろな方に心配していただきました。僕自身、いろいろな葛藤があり、この1週間で整理していました。焦らず、かつもっと成長することを信じて、一歩ずつ進んでいきたいと思います。第1セットは素直にFC東京さんがすばらしいバレーをしていたし、逆に自分たちは「何がおかしいんだろう」と考えながらプレーしていた。それがいいリズムにつながらなかったと思います。納得のいくプレーはできなかったけど、僕自身はまだまだできると思っている。チームとしてもっとギアを上げて、さらにいいバレーができるようにこれからの時間を大切にしていきたいと思います。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

ブロックが機能することで守備が安定。攻撃のリズムもつかんだ

第2セットからの反撃、その要因の一つが、途中から入った久保山だろう。巧みにトスを散らしながら攻撃を組み立てた。そして、もう一つの要因がブロックだ。第1セットは古田の1本しかなかったブロックによる得点が、第2セット以降の3セットで13本。トータルで14本のブロックポイントを決めている。「この1週間、対策練習でやってきたことが型にはまった」というのがミドルブロッカーの金丸だ。さらに増成監督は「大事なのはタイミングとポジショニング」だと言う。「相手のペピチは高さがあるので、一緒に跳ぶと、降り際に打たれて全部弾かれる。下で我慢して、時間があるなら『せーの』と声をかけながらタイミングを合わせてもいい」。これが徐々に効いてきた。ブロックが機能することでディグも安定。ブロックでプレッシャーをかけ、相手からミスを誘う場面もあった。ジェイテクトSTINGSは現在、ブロック決定本数で8チーム中2位につけている。今季の躍進を支える重要なポイントと言えるだろう。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS FC東京
第1セット 19 ー 25
第2セット 25 ー 23
第3セット 25 - 23
第4セット 25 ー 18
第5セット
日付 2016年12月10日(土)
試合 V・プレミアリーグ 第11戦
場所 鹿沼総合体育館フォレストアリーナ
メンバー カジースキ、金丸、古田、高橋(慎)、高橋(和)、廣瀬 L本間
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