ジェイテクトSTINGS VS 豊田合成トレフェルサ

1−2で迎えた第4セットに本領を発揮。代わって入った清野らの活躍で、試合をフルセットに持ち込む

 試合は2日連続でフルセットにもつれ込んだ。最後は両エースの打ち合いになった。勝敗を分けたのはほんのわずかな差。死力を尽くして戦ったが、豊田合成トレフェルサに2−3で敗れた。
 しかし、手にした勝点1の価値は、決して軽くない。レギュラーラウンドの残りの試合、そしてファイナルラウンドに向けて、確かな手応えをつかんだ一戦だった。

 第1セットは、ジェイテクトSTINGSが完璧な試合内容を見せた。カジースキのスパイクで先制した。金丸の速攻でサイドアウトを切った。サイドを軸に攻撃を展開すると、高橋(和)がライトから強烈なスパイクをたたき込んだ。古田の活躍などで一進一退の展開に持ち込み、14−16で2回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 後半に入ると、カジースキにトスを集めた。だが、我慢の時間が続く。なかなか点差が離れない。22−22の場面、これまで追いかける展開だったジェイテクトSTINGSが、長いラリーを制してブレイクポイントを奪った。ついに1点をリードした。
 続くプレーで相手のスパイクが決まったかに思われたが、増成監督はすぐさまチャレンジを要求。これが成功し、ジェイテクトSTINGSに貴重な1点が追加された。24−22のセットポイント。最後は古田のブロックが決まり、25−22で第1セットを奪った。

 続く第2セットも、前半の流れをつかんだ。廣瀬、古田のスパイクで着実に得点を加算した。リベロの本間を軸に、サーブレシーブも安定していた。いくつかのスパイクミスはあったが、ジェイテクトSTINGSに焦りはなかった。
 6−8で1回目のテクニカルタイムアウト。すぐにサイドアウトを切ると、高橋(和)が連続でサービスエースを決めた。強打を警戒した相手の陣形を見て、緩いサーブを前方に落とした。4連続得点で、10−8とスコアを一気にひっくり返す。さらに13−12からカジースキ、高橋(和)のスパイクで3連続得点。4点のリードで2回目のテクニカルタイムアウトを奪った。
 このまま点差をキープしたかった。しかし、ここで相手の攻撃にスイッチが入った。あれよあれよという間に5点を失った。タイムアウトでも流れは切れない。一時はカジースキの3連続得点で1点差に迫ったが、23−25でこのセットを失った。

 続く第3セットも落とし、ジェイテクトSTINGSはあとがなくなった。迎えた第4セット、オポジットには古田に代わって清野が入っていた。その清野がサーブで攻めて、金丸のダイレクトスパイクを導いた。金丸がブロックを決めると、カジースキのスパイクで6−3。サイドを軸に攻撃を展開し、得点を量産しはじめた。
 高橋(和)のノータッチエースでブレイクポイントを奪った。カジースキもエンジン全開。ブロック、スパクで得点を重ね、14−7と大きくリードを広げた。
 圧巻だったのは、金丸の速攻で16−9としてからだ。カジースキがサーブで攻めると、相手の攻撃をしのいで高橋(和)がキレのあるスパイクをたたき込んだ。金丸が相手の速攻をブロックで止めた。これで20−9。ジェイテクトSTINGSが25−13とこのセットを圧倒し、勝負の行方をフルセットに持ち込んだ。

 第5セットは意地と意地のぶつかり合いだ。ジェイテクトSTINGSはカジースキにボールを集めた。要所で清野も決めた。しかし、高橋(和)のスパイクが、相手の高いブロックに立て続けに阻まれる。4−7。さらに3連続失点を喫し、ビハインドは5点に広がった。
 カジースキが豪快なスパイクをたたき込んだ。気迫がみなぎっていた。清野のノータッチエースで10−12と2点差に迫った。しかし、あと1本が出なかった。最後はカジースキのスパイクが止められて10−15。フルセットの末に敗れた。

 2セットを取って、貴重な勝点1を手に入れた。敗れはしたが、この先の戦いにつながる内容だった。決して下を向く必要はない。「相手は非常にモチベーションが高かった。その中で四つに組んで戦えたことは、自分たちの成長の証。ただ、勝てなかったことが一番の反省点。勝つためにどうしなければいけないかを考えて、しっかり戦っていきたい」。試合後にこう振り返った増成監督。フルセットの試合を2日連続でこなし、チームは間違いなく成長した。いよいよレギュラーラウンドも折り返し。ジェイテクトSTINGSの真価が問われるのはこれからだ。

増成一志監督

こういう試合を勝たなければいけません。第2セットがポイントでした。最大で4点もリードしながら、あそこで勝ち切れなかった。連続失点は大きな課題だし、ずっと練習してきた。そういうところを一人一人がしっかりやらないといけません。ただ、負けたことに関しては、誰が悪いというわけではない。一人一人がもう一度、チーム力を上げるために何が必要かを考えることが大切。逆に、リズムを崩して第2、3セットを取られたが、第4セットを取って勝点1を取ったことは評価できる。選手たちがよく頑張りました。フルセットが2日続くことはなかなかありませんが、体力が残っていることに関しては、日頃の練習の成果だと思います。

清野真一

チームの流れがよくなくて、みんなの顔も暗くなっていました。コートに入る時は、プレーどうこうよりも、まずは声を出してみんなを奮い立たせようと思っていました。これだけ長く出たのは今季初めてでしたが、1本目のスパイクが決まって気持ちが楽になりました。(高橋)慎治さんも「思い切りいけよ」と言ってくれていたので、思い切ってできたと思います。また、増成監督に言われているように、しっかりと準備をしてきたし、コートに入っても頑張れた。ただ、フルセットまでいきながら、最後に勝利に貢献できなかったことが悔しいです。これからもしっかりと勝点を積み重ねて、上位でファイナル6に進めるように頑張ります。

本間隆太

昨日の試合が終わってから今日に至るまで、いっぱい考えました。今季は本当に自分に自信があって、崩れることは想定していなかった。昨日は序盤で何本かやられて、「俺はこんなんじゃいけないんだ」って自分を追いつめてしまいました。でもその中で、(代わって入った)興梠さんがしっかりと自分のプレーをしていた。それを見て僕自身もうれしかったし、やっぱり先輩はすごいと思いました。また、いつも球出しをしてくれる阿部コーチやチームメイトにも、「僕はこのままじゃいけない」というところを見せないといけないと思いました。今週はいいパフォーマンスじゃなかったけど、今日はしっかり開き直って、今出せる力は出せたと思います。この1週は僕にとってとても大きなものになりました。しっかり戦えたことが昨年との違い。今後につなげたいと思います。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

チャレンジの成功はベンチのファインプレー。試合の流れをつかんだ

今季からV・プレミアリーグのすべての試合でチャレンジシステムが採用されている。いわゆるビデオ判定システムだ。しかし、要求するタイミングによっては、得点が覆るだけでなく、チームの流れを大きく左右することがある。その意味で、今日はチャレンジの使い方が完璧だった。とにかく、一度も失敗がなかった。まずは第1セットの終盤。サイドアウトを繰り返し、ジェイテクトSTINGSがカジースキのスパイクで一歩抜け出したあとだ。一度は相手の得点になったが、チャレンジによってスパイクのアウトが認められた。さらに第4セットの前半、アウトと判定されたカジースキのスパイクは、相手のブロックに触れていた。いずれもそのセットの勝敗を左右した、重要なチャレンジだった。「感覚もあるが、ベンチワークも大きい。スタッフの意見を聞いて要求することもあれば、状況を見て要求しない時もある。また、実際にスパイクを打った人間が、誰よりも感覚的にわかっているもの。お互いにコミュニケーションを取ることが重要」。こう話す増成監督。奪ったセットには、外からは見えにくいベンチのファインプレーもあった。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS 豊田合成トレフェルサ
第1セット 25 - 22
第2セット 23 - 25
第3セット 20 ー 25
第4セット 25 ー 13
第5セット 10 ー 15
日付 2016年12月4日(日)
試合 V・プレミアリーグ 第10戦
場所 南砺市福野体育館
メンバー カジースキ、金丸、古田、高橋(慎)、高橋(和)、廣瀬 L本間
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