ジェイテクトSTINGS VS 東レアローズ

サーブレシーブを崩されて2セットダウン。守備を立て直して、攻撃の勢いをつかむ

 壮絶な試合だった。だが、諦める選手は一人もいなかった。途中から入ったリベロの興梠が守備を落ち着かせた。今季初スタメンのセッター高橋(慎)も安定したトスワークを見せた。一人一人が自分の役割を果たした。コート上の6人だけでなく、全員でつかみ取った勝点2。文字通り、チームが「ONE」になった。

 2セットダウンからのスタートだった。立ち上がりから東レアローズのサーブに翻弄された。第1セットの前半には、3本連続でサービスエースを決められている。第2セットに入っても、いつもの安定感は取り戻せなかった。しかし、途中からコートに入ったリベロの興梠がリズムを変えた。
 守備が安定したことで、高橋(慎)のトスワークにも幅が生まれた。第2セットは5回もセットポイントを奪った。最後は28−30で失ったが、決して悪い内容ではなかった。

 先に2セットを奪われても、選手の目から光は消えていなかった。第3セットに入り、ジェイテクトSTINGSが息を吹き返した。
 廣瀬の速攻で先制点を奪った。カジースキが相手のコートをよく見て、緩やかなボールをぽとりと落とした。高橋(和)のパイプ攻撃も決まった。4連続失点を喫したが、高橋(和)のブロック、古田のスパイクなどで粘り強く得点を重ねた。高橋(和)のサービスエースで8−8の同点に追いついた。
 高橋(慎)のトスワークも冴えていた。古田、カジースキのスパイクなどで12−10とリード。カジースキがサーブで攻め、金丸もネット際で強さを発揮した。高橋(和)のスパイクなどで3連続得点を奪い、16−12で2回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 カジースキの連続得点で20−17。ここで東レが2度目のタイムアウトを消化した。それでも流れは絶対にわたさない。一度はアウトになったかに思われたカジースキのスパイクは、チャレンジ(ビデオ判定の)によってインと判定された。カジースキのスパイクで25−24と2度目のセットポイント。最後は古田のブロックが決まり、ジェイテクトSTINGSが第3セットを取り返した。

 第4セットは一進一退。7−8で1回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。カジースキのスパイクで11−10と逆転に成功。さらに金丸の速攻でサイドアウトを切ると、カジースキの連続サービスエースなどで5連続得点を奪った。16−11としたジェイテクトSTINGSが、完全に試合の流れをつかんだ。
 ここから互いに1点ずつを取り合った。ジェイテクトSTINGSは廣瀬の速攻や古田のスパイクなどで確実にサイドアウトを切った。高橋(和)が押し込んだボールがアウトになると、タイムアウトですぐに嫌な流れを断ち切った。
 勝負どころで高い集中力を発揮したのが高橋(和)だ。ブロックで23点目を奪った。2点差に詰め寄られるが、高橋(和)のスパイクでセットポイントを奪った。一度はアウトと判定されたが、チャレンジによって相手ブロッカーのワンタッチが認められた。
 最後も高橋(和)だった。相手のライトからのスパイクを、1枚でシャットアウト。25−21でこのセットを制し、ついにセットカウントを2−2の振り出しに戻した。

 ジェイテクトSTINGSにとっては今季初のフルセットである。しかし、チームのスタミナはまだまだ残っていた。
 運命の第5セット、序盤はカジースキにトスを集めた。高橋(和)のスパイクでサイドアウトを切ると、カジースキのスパイク、廣瀬のブロックで3連続得点。7−4とリードを広げた。
 勢いは完全にジェイテクトSTINGSにあった。高橋(慎)がブロックを決めると、ラリーを制して3連続得点。カジースキのスパイクでマッチポイントを奪った。最後は相手のスパイクがアウト。15−12で熱戦に終止符を打った。

 今季初の連勝である。しかも、2セットダウンからの逆転勝ち。チームがつかんだ手応えの大きさは計り知れない。増成監督は「第3セットを踏ん張ってくれたことがうれしい」と選手を評価。「第2セットは、自分たちがマッチポイントを取っていながらひっくり返された。2セットを取られてから逆転で勝つというのは、チーム力がアップしている証拠。今日は選手を褒めたいと思います」と目を細めた。
 明日は4位の豊田合成と対戦する。勝点3を取れば、順位の上でも逆転できる。内容の伴った勝利で、3連勝をつかみたい。

増成一志監督

2レグは勝ちにこだわって戦っていかなければいけません。リーグを通してチームを作っていく中で、通らなければいけない道です。第1セット、相手にサーブでリズムをつかまれて、何かを変えなければいけないと思っていました。興梠を投入したことでリズムを取り戻し、サーブレシーブからの攻撃が安定したことが逆転勝ちにつながりました。サーブレシーブが安定したことで、高橋(慎)のトスも生きてきた。今日は全員が頑張ったが、本間のあとにコートに入った興梠が、今までずっと溜めていた気持ちを出してくれたと思います。

高橋慎治

今季初先発でしたが、やることは特に変わりません。セッターとしての、最年長としての、キャプテンとしての仕事をするだけ。やることは多いけど、それを意識して臨みました。第1セットは相手のいいサーブに崩されましたが、そこまで問題視はしていませんでした。他のプレーを見ても、決して歯が立たないという印象はなかった。リズムだけ立て直せば、絶対に勝てるという気持ちはどのセットも持っていました。最後は気持ちです。今週は順位が近いチームと対戦するので、大事な週だと思っていました。全員がそれを認識していたので、このままでは終われないという意地で戦っていました。

興梠亮

いつでも出られる準備をしていました。ただ、今日は序盤にサーブレシーブが崩れだしたので、「これは準備しておいたほうがいいな」と思いました。コートに入った時は少し距離感などがつかめませんでしたが、1本返った時に感覚を取り戻し、そこからはいつも通り自分のプレーができたと思います。自分の役割を果たせるように、少しでもチームを盛り上げようと思って入りました。それまでは連続失点もありましたが、サイドアウトを1本1本切っていったことで、他の選手も気持ちよくプレーできたと思います。2セットを取られてから挽回して勝てたのが大きいですね。この勢いに乗って明日も頑張ります。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

興梠が入ってサーブレシーブが安定。チームが「ONE」になって勝点3をつかんだ

東レには1レグもサーブレシーブを崩された。速いジャンプフローターにやられたという点でも、前回の対戦と同じである。しかし、今回は修正が早かった。第2セットの前半にサーブレシーブが得意な興梠を投入。これでジェイテクトSTINGSの守備が安定した。もちろん、スタメンの本間が悪かったわけではない。増成監督が言う。「本間はもともとジャンプサーブや強打レシーブに強かったが、この1年、サーブレシーブの練習も重ねてきた。練習が終わっても、コーチにサーブを打ってもらいながら一人で練習していたことも知っている。ただ、バレーボールというのはチーム全員で戦うスポーツ。本間が悪かったわけではなく、あとから出た選手が役割を果たしてくれたことがうれしい。全員がいつでも出られる準備をしているところが、今季のすばらしいところです」。確かに興梠の活躍は大きい。しかし、今日はチーム全員でつかんだ勝利だったと言えるだろう。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS 東レアローズ
第1セット 20 ー 25
第2セット 28 ー 30
第3セット 26 ー 24
第4セット 25 ー 21
第5セット 15 ー 12
日付 2016年12月3日(土)
試合 V・プレミアリーグ 第9戦
場所 南砺市福野体育館
メンバー カジースキ、金丸、古田、高橋(慎)、高橋(和)、廣瀬 L本間
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