ジェイテクトSTINGS VS JTサンダーズ

セッターの高橋(慎)が攻撃のリズムを取り戻す。サーブも機能して、会心の試合運びを展開

 1レグの3勝4敗という数字は、レギュラーラウンドを3位で終えた昨季と同じ戦績である。昨季はその後、2レグのスタートから4連勝、5勝2敗と好成績を残した。その意味でも、今日のJTサンダーズ戦は重要だ。舞台は相手のホーム、広島。ここで勝って、一気に上位争いに加わりたい。

 第1セットはJTの一方的な展開に持ち込まれた。強烈なサーブで攻め込まれ、攻撃の手数を封じられた。序盤で5連続失点を喫し、その背中は遠く離れていくかに思われた。
 しかし、光はあった。セッターの高橋(慎)だ。4−10と早い段階で久保山からバトンを受け継いだ。すぐに古田のスパイクでブレイクポイントを奪った。その後もカジースキのバックアタックや廣瀬の速攻が機能。金丸のブロック、高橋(和)のスパイクなどで意地を見せた。15−25と大差で敗れはしたが、第2セット以降に明るい兆しを感じさせる内容だった。

 そして、ジェイテクトSTINGSが真価を発揮する。第2セットを競り勝ったことが、勝点3につながったと言っていい。それくらい価値のあるセットだった。
 口火を切ったのは廣瀬だ。鮮やかに速攻を決めると、古田も続いてブレイクポイントを奪った。カジースキにトスを集めて、得点を量産した。高橋(和)もキレのあるスパイクをたたき込む。守備でもリズムをつかみ、高橋(和)の好プレーからカジースキが加点。そのあとは3連続失点を喫したが、8−6で1回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 古田、廣瀬の得点で10−7とリードを広げた。しかし、ここからサーブレシーブを崩されて5連続失点。タイムアウトでも流れを変えられず、嫌なムードがコートの上に漂った。
 しかし、流れはまだジェイテクトSTINGSのほうにあった。古田のスパイクなどですぐに追いついた。14−14からカジースキがサーブで攻め、高橋(和)のスパイク、金丸のブロックで一気にスコアをひっくり返す。しかし、JTも試合巧者。一時は18−20と再びリードを許した。
 気を吐いたのがカジースキだ。タイムアウト明けのプレーでサイドアウトを切ると、カジースキのブロックポイントで同点。さらに高橋(和)のサービスエースで21−20と逆転に成功した。
 一度は24−25とセットポイントを与えたが、高橋(和)が決めて同点に追いついた。カジースキが上げたボールを古田が決めてアドバンテージ。最後は相手のミスもあり、ジェイテクトSTINGSが27−25で競り勝った。

 第3セットもジェイテクトSTINGSは同じ布陣で臨んだ。このセットは高橋(和)が魅せた。点の取り合いから、高橋(和)のブロック、スパイクなどで4連続得点。8−5とリードを広げた。持ち前の機動力を生かして、その後も存在感を発揮。サーブで攻め、古田のスパイク、廣瀬のブロックをお膳立てした。
 16−14で2回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。ベテランの奮起で、チームは一つになった。19−19と同点に追いつかれたが、コート上の6人から焦りは見られない。高橋(和)のサーブは、チャレンジ(ビデオ判定)によってインと判定された。これで21−19。あとは落ち着いて試合を進めるだけだった。互いに1点ずつ取り合い、カジースキが粘り強く決めてセットポイント。高橋(和)が決めて25−22とし、勝利に王手をかけた。

 第4セットも痺れる展開だった。先手を取ったのはジェイテクトSTINGSだ。カジースキのサービスエースなどで5−3とリードを奪った。しかし、立て続けにサービスエースを決められて4連続失点。2点のビハインドで1回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 チームの集中力は高かった。カジースキのスパイク、古田のブロックで9−9の同点に追いついた。さらに古田のスパイクでサイドアウトを切ると、カジースキがスパイク、ブロックで大暴れ。一人で3連続得点を奪い、13−10とリードを広げた。第1セットの途中から入った高橋(慎)のトスワークも冴えていた。要所で高橋(和)、金丸が決めて相手のブロックを翻弄。これでJTは二度のタイムアウトを消化した。高橋(和)のサービスエースでたたみかけると、廣瀬の速攻でマッチポイント。最後はカジースキのスパイクで25点目を奪い、試合を締めくくった。

 2レグのスタートを会心の勝利で飾った。1レグは0−3で敗れた相手から勝点3をもぎ取った。増成監督は言う。「厳しい戦いに勝って、チーム力を上げていくことが大切。こういう戦いをすると、技術面だけでなく精神面も強くなる。1セットを取られてから巻き返せたのは、選手たちがこの1週間、2レグに向けて練習してきた証拠。来週は上位チームとの対戦が続くので、もう一度気を引き締めて、しっかり勝利できるように頑張りたい」。つかんだのは勝点だけではない。これからの厳しい戦いを勝ち抜いていく上でもっとも大切な“自信”を手に入れた。

増成一志監督

セッターというのは試合の勝敗を左右する一番大事なポジションです。今日ははじめから、リズムが悪かったら第1セットの途中でも代えるつもりでした。久保山にも思うところはあるだろうし、プレッシャーもあると思う。今日は外から一息ついて、自分の組み立てなどを考えてほしいと思いました。その中で、高橋(慎)は計算通りリズムを作ってくれました。周りの選手も安心してプレーしていた。第1セットは取られたけど、「このリズムならいける」ということを一人一人の表情から見て取れました。第2セットを踏ん張り、3−1で勝てたことが大きいと思います。

本間隆太

今週は1試合しかないこともあり、この1週間、前回の負けを反省して対策練習をしてきました。ただ、第1セットは全体的に固かった。(高橋)慎治さんが入ってチームが落ち着きを取り戻し、攻撃のリズムがだんだん取れてきたことが勝因だと思います。守備の面では、第1セットは相手のいいサーブが入ってきていたので、何とかサービスエースだけはなくすように心がけていました。人と人の間に決められないような陣形で守るようにしました。2レグがスタートしましたが、昨季以上に混戦です。とにかく一試合一試合、1点でも多く取ることを心がけたい。最後の25点を取られるまで、諦めずにボールを追いかけます。

廣瀬優希

第1セットは受け身になってしまいましたが、第2セット以降はみんなが気持ちを切り替えたことで、勝ちにつながったと思います。個人的にはまだまだですが、サーブに関してはしっかりと相手を狙って崩すことを心がけています。自分のあとは(カジースキ)マテイや古田さんが続くので、とにかくミスをしないこと。それに関しては、今日は1本もミスをしていないのでよかったと思います。いい形でファイナル6に行くためにも、順位だけでなく、相手に苦手意識を与えることが大事。これからも相手に嫌だなという印象を少しでも与えられるようなプレーを意識していきます。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

失点0のフローター陣がサーブの流れを作った

サーブには流れがある。一人の失敗をきっかけに、次から次へと失敗が連鎖していく場面を見た人も少なくないだろう。その意味で、今日のサーブを支えていたのがフローター陣だった。とにかく失敗がなかった。金丸、廣瀬、そして途中から入った高橋(慎)は、試合を通してサーブの失点が0。この効果を、リベロの本間が分析する。「今日はビッグサーバーの(高橋)和人さん、古田さん、(カジースキ)マテイが楽に打てるように、フローター陣はミスをせずいいところに打つことを増成監督から言われていました。だから先週のパナソニック戦のように連続でミスをすることもなく、相手を崩せたと思います」。派手さはないが、サーブの流れを作ったフローター陣のファインプレーが勝利を導きだした。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS JTサンダーズ
第1セット 15 - 25
第2セット 27 - 25
第3セット 25 - 22
第4セット 25 ー 19
第5セット
日付 2016年11月26日(土)
試合 V・プレミアリーグ 第8戦
場所 東広島運動公園体育館
メンバー カジースキ、金丸、古田、高橋(和)、久保山、廣瀬 L本間
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