ジェイテクトSTINGS VS JTサンダーズ

ラリーで競り負けペースを失う。セット終盤に追いつくも、勝負どころで点が取れず敗戦

 両者の力にそれほど大きな差はなかった。実際、3セットとも最小得点差で終わっている。どちらに軍配が上がってもおかしくない試合だった。だが、勝敗は明確だ。これからしっかりと勝点を積み重ねていくためにも、今日の敗戦を無駄にしてはいけない。

 第1セットは互角の展開だった。ジェイテクトSTINGSは2点を先行されるが、廣瀬のスパイク、金丸のブロックですぐに追いついた。さらにカジースキがサーブで攻めると、久保山がスパイクでJTサンダーズのコートを強襲。難しい二段トスを古田が決めて、3連続得点で6−6とした。
 ジェイテクトSTINGSの勢いは途切れない。好調の高橋(和)がスピードを生かして強烈なスパイクをたたき込んだ。カジースキのバックアタックで11−9。一時は同点に追いつかれるが、古田、カジースキが立て続けに決めてブレイクを奪った。
 しかし、中盤以降は流れが一変。カジースキ、高橋(和)のスパイクが相手のブロックに封じられる。サービスエースを決められるなど3連続失点。19−22と3点差に開いたところで、増成監督は二度目のタイムアウトを要求した。
 チームに奮起を促したのが背番号10だ。松原がピンチサーバーでコートに入ると、いきなりサービスエースを決めてスタンドを沸かせた。カジースキもブロックを決め、土壇場で22−22の同点に追いついた。最後は突き放されてこのセットを失ったが、明るい兆しを見せる内容だった。

 第2セットの立ち上がりも、互いに1点ずつを取り合った。ジェイテクトSTINGSは廣瀬、古田のスパイクでサイドアウトを切った。高橋(和)は巧みなスパイクで、味方のサーブレシーブの失敗をフォロー。抜群のスピードで相手のブロックを翻弄した。しかし、廣瀬のスパイクが立て続けに止められると、セッターを久保山から高橋(慎)にスイッチ。それでも点差は縮まらず、6−10で1回目のタイムアウトを消化した。
 ジェイテクトSTINGSが本領を発揮したのはここからだ。金丸がうまくタイミングを合わせて相手のスパイクを止めた。カジースキも相手のスパイクをシャットアウト。さらにサーブでJTの守備を崩すと、高橋(和)がうまくワンタッチを取って得点を決めた。
 一時は16−16の同点に追いついたが、長いラリーを落とすなどそこから3連続失点。カジースキのサービスエースなどで1点差に迫るが、そこから先が続かない。それでも、終盤の勝負どころでカジースキのブロックが機能し、23−23とした。しかし、最後はサービスエースを決められて、23−25でこのセットを落とした。

 あとがなくなった。第3セットの立ち上がり、ジェイテクトSTINGSは高橋(和)のバックアタックや古田のサービスエースで5−2と3点を先行した。JTは早くも1回目のタイムアウト。しかし、これで流れが変わる。テクニカルタイムアウトを挟んで4連続失点を喫し、7−9と逆転を許した。
 その後は一進一退。ジェイテクトSTINGSは古田らサイド陣が踏ん張って、我慢強くサイドアウトを切った。要所で金丸が速攻をたたき込む。しかし、細かいミスが続いて3連続失点。15−19とビハインドが広がった。
 カジースキがサーブで攻め、自らのバックアタックでブレイクポイントを奪った。ピンチサーバーで入った松原も攻めた。相手を崩し、古田のスパイクで1点差に迫った。JTのマッチポイント。一度は試合が決まったかに思われたが、チャレンジ(ビデオ判定)で古田のスパイクのワンタッチが認められた。最後まで粘り強く戦った。しかし、スコアボードの数字を覆すことはできず、23−25で敗れた。

 紙一重の内容だった。それだけに選手は悔しさをにじませた。増成監督も同様だ。「それほど攻撃が悪かったという印象はない。来週の2試合は上位と対戦するが、構えるのではなく攻めていきたい。よりいっそうプレーの精度を上げて、2レグに向かってしっかりとステップアップしていきます」。指揮官の言葉にブレはない。来週の日曜日は今季初のホームゲーム。土日の連勝で1レグを締めくくり、一気に弾みをつけたいところだ。

増成一志監督

選手の動きはけっして悪くありませんでした。ただ、サーブで相手を崩しているのに、そこからのブロックとレシーブがなかなか機能しませんでした。ラリーが取れなかったのも敗因の一つ。セット終盤は、いい形で追いつこうとした時に、こちらのサーブミスやイージーミスがありました。収穫は、高橋(慎)が途中から入ってあれだけトスを上げられたこと。今後、どちらがコートに入るにしても、しっかり状況を見極めて、厳しい戦いを一つ一つ勝っていきたい。来週はホームゲームもあるので、声援を力に変えていい試合をしたいと思います。

高橋慎治

うちのバレーが完全に読まれていました。相手に研究されて、何もさせてもらえなかったという印象です。トスワークもそうだし、アタッカーが打つコースもそう。うちがサイドアウトを取りにくいコースを攻めて来られた。それに対して、まったく対処できませんでした。うちがどう、相手がどうというより、やるべきことをちゃんとやらないとこういう結果になるということが身に染みた試合でした。個人的には久しぶりに長い時間試合に出ましたが、まったく流れを変えられずに終わってしまった。来週に向けて、練習し直したいと思います。

廣瀬優希

個人的には情けない試合になりました。スパイクも決まらないし、ブロックも止められない。だんだん自分でイライラしてきて、チームの雰囲気も悪くしてしまいました。開幕から4試合は調子が良くて、スパイクはしっかりコースに打てていました。しかし、今日は出だしから相手のブロックにつかまることが多く、ブロックを見て打ち分ける余裕がなくなってしまった。ただ打っているだけになってしまいました。まだまだ大事な場面で自分にトスが上がってくることはほとんどありません。そういうところで上げてもらえるような選手になりたいと思います。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

ラリーを取り切れなかったことが敗因の一つ。課題を克服し、一歩ずつ成長したい

僅差で推移していた第2セットの中盤に、この試合でもっとも長いラリーがあった。相手のジャンプサーブを高橋(和)が返し、カジースキがレフトからスパイクを放った。これは、コースに入っていた相手のリベロに拾われる。チャンスボールが返ってきたが、高橋(和)のバックアタックはタイミングが合わなかった。続くカジースキへのトスはネットにやや近い。古田のライトからのスパイクは相手のブロックに弾かれた。相手の攻撃を一度は金丸のブロックで封じたが、最後は外国人選手に決められた。これで16−18。最終的に2点差でこのセットを落とした。このシーンに限らず、今日はラリーを落とす場面が多かった。様々な要因が考えられる。相手に研究されていたことも一つ。イージーミスもあった。立ち上がりから速攻が決まらなかったことも、要因の一つだろう。だが、課題ははっきりしている。大事なのは、その一つ一つを克服し、リーグを通して成長していくことだ。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS JTサンダーズ
第1セット 23 - 25
第2セット 23 - 25
第3セット 23 - 25
第4セット
第5セット
日付 2016年11月13日(日)
試合 V・プレミアリーグ 第5戦
場所 福井市体育館
メンバー カジースキ、金丸、古田、高橋(和)、久保山、廣瀬 L本間
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