ジェイテクトSTINGS VS FC東京

廣瀬、福山ら若い力が躍動。苦しい場面は、ベテランがチームを落ち着かせた

 いよいよこの日がやってきた。50年目の国内リーグが開幕。記念の舞台となった大阪市中央体育館に、V・プレミアリーグの全8チームが集結した。
 苦しい夏を乗り越えて、チームを構築してきた。スタメンに選ばれたのは、セッター久保山、オポジット古田。レフトにカジースキと高橋(和)が入り、ルーキーの福山と廣瀬がセンター線で対角を組んだ。守備の要は、リベロの本間だ。試合開始は13時35分。それぞれがそれぞれの思いを胸に、その瞬間を迎えた。

 第1セット、セッターの久保山が最初に選択したのはカジースキだった。2点を先行すると、久保山のブロックポイントなどで4−1とリード。一時は同点に追いつかれるが、高橋(和)の巧みなスパイクで、1点をリードして1回目のテクニカルタイムアウトを折り返した。
 古田が高い打点からスパイクを決めると、廣瀬がブロック、スパイクで立て続けに得点を加算した。高橋(和)のサービスエースで完全に勢いをつかむと、最後は途中から入った高橋(慎)のトスを袴谷が決めて、ジェイテクトSTINGSが25−19で第1セットを先取した。

 第2セットに入ると、期待のルーキーが覚醒する。3点を追うスタートとなったが、福山の速攻でサイドアウトを切った。「第2セットの最初に速攻を決めたあたりから吹っ切れた。そこから自分が動きたいようにできました」と福山。さらに高橋(和)のスパイクなどで3連続得点を奪い9−9の同点に追いつく。トスがカジースキに偏る場面はあったものの、15−16で2回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 16−16の場面では、今季から採用されたチャレンジシステム(ビデオ判定システム)の影響が出た。相手のスパイクがアウトになったかに思われたが、ジェイテクトSTINGS側にワンタッチがあってFC東京の得点に。ここから相手にサービスエースを決められるなど4連続失点を喫し、16−20とビハインドが広がった。
 しかし、ここからが今季のジェイテクトSTINGSの強さだ。カジースキ、高橋(和)が立て続けに得点を奪い、チームを落ち着かせた。福山のブロックも決まり、5連続得点で試合をひっくり返す。先にセットポイントを許したが、高橋(和)のスパイクで逆転し、最後は久保山がサービスエースを決めて27−25で2セットを連取した。

 第3セットもジェイテクトSTINGSの集中は途切れなかった。廣瀬の速攻で先制すると、カジースキ、古田が確実に得点を重ねた。リベロの本間を軸にサーブレシーブも安定。リードをキープしながら、確実にサイドアウトを切った。
 高橋(和)がノータッチエースを決めると、ジェイテクトSTINGSの勢いはさらに加速する。カジースキが相手の3枚ブロックから得点を奪うと、古田も強烈なバックアタックをたたき込んだ。ベンチもチャレンジシステムを巧みに使った。アウトと判定された古田のスパイクがインとなり18−16。最後まで攻撃の手を緩めないジェイテクトSTINGSが、25−21で試合を締めくくった。

 3年連続での開幕白星となった。しかし、若手がコートに入って手にした白星は、これまで以上の重みがある。「選手もそうだが、私自身も変な固さがありました。どんな戦いをしようかとシミュレーションを繰り返し、必要以上に選手にアドバイスを送ってきた。そんな中で手にした勝利は、大きな1勝になりました」。試合を終えた増成監督はこう振り返った。
 会心のスタートだ。しかし、V・プレミアリーグはまだはじまったばかり。次の東レ戦で、この勢いを確実なものにしたい。

増成一志監督

3−0で勝てたことは満足していますが、開幕戦ということもありチームに少し固さがありました。今日のようなバレーをしていたら、この先、なかなか勝たせてもらえないでしょう。もう一度、リーグを通してチームが成長できるように努力していきたい。若い力をチームに融合させていますが、ジェイテクトSTINGSが今後、V・プレミアリーグに旋風を巻き起こすにはそうした力が必要です。苦しい時はベテランの力で立て直すことも重要ですが、これからも若い選手をどんどん起用していきたいと思います。

久保山尚

これまでやってきたことを出せば負けることはないと思っていましたが、緊張やプレッシャーから自分のプレーができず、周りの選手に助けてもらいました。個人としては、コートの9メートルの幅を使ったトス回しを中心に練習してきました。しかし、今日は狭い範囲でのトス回しになってしまいました。はじめはコンビミスがないように無難にトスを上げている部分があり、いい時に比べたら単調なトス回しだったと思います。これからはデータも取られると思うので、アタッカーが100パーセントの力で打てるトスを上げていきたいと思います。

福山汰一

昨日の練習くらいまで不安があったり、変なところでミスがあって大丈夫かと思っていましたが、同じポジションの先輩からいろんな言葉をいただいて、こうして1勝をあげることができたので、今は晴れやかな気持ちです。出だしは少し緊張していましたが、久保山さんが相手のミドルブロッカーのマークが外れた時にうまく使ってくれたので、固くなりすぎずチームに貢献できました。今はみんなについていくだけで精一杯ですが、スピードなり高さなり、一つでも自分の武器を見つけて、チームを引っ張れるように頑張ります。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

ルーキーの福山が活躍。度胸満点のプレーでチームを勢いづける

今日の殊勲はルーキーの福山だろう。第1セットこそほとんど見せ場はなかったものの、第2セット以降は持ち味の速攻で得点を量産。ストレート勝ちの原動力となった。「チームに入って一番やってきたのは、速攻のスピードを上げること。大学まではボールを追いかけるだけだったブロックも、今では組織的なブロックに取り組んでいます。監督には、手の出し方や遅れた時の跳び方を指導されました。しっかりと体づくりをして、自分の技術を磨きたいと思います」。もともと黒鷲旗で公式戦デビューを果たしても不思議ではなかった。しかし、大会の1カ月前に指を負傷した。あれから半年。増成監督も「新人らしからぬふてぶてしさがある。物怖じしないところは、V・プレミアリーグの大舞台でも必要なところ」と高く評価している。ブロックの面ではまだ課題があるものの、その速攻に磨きをかけていけば、近いうちにチームの大黒柱になりそうだ。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS FC東京
第1セット 25 - 19
第2セット 27 - 25
第3セット 25 - 21
第4セット
第5セット
日付 2016年10月23日(土)
試合 V・プレミアリーグ 第1戦
場所 大阪市中央体育館
メンバー カジースキ、古田、高橋(和)、久保山、廣瀬、福山 L本間
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