ジェイテクトSTINGS VS 豊田合成トレフェルサ

久保山のトスワークが光り、終始ペースをつかむ。廣瀬のブロックも要所で冴えた

 圧巻の強さだった。終始、試合のペースをつかんだ。三冠を狙う豊田合成トレフェルサにストレート勝ち。会心の試合運びで、頂点まであと1勝に迫った。
 序盤から白熱したシーソーゲームが続いた。試合を組み立てたのは、セッターの久保山だ。巧みにトスを散らして、豊田合成のブロックを揺さぶった。相手の攻撃を粘り強くしのぎ、カジースキ、廣瀬、古田のスパイクなどで確実にサイドアウトを切った。
 6−8で1回目のテクニカルタイムアウトを迎えたが、金丸の速攻などですぐに同点に追いついた。さらにカジースキのスパイク、廣瀬のブロックで3連続得点。中でも光ったのが、久保山のレシーブだ。抜群の反応で食らいつき、ボールを床に落とさない。リベロの本間もサーブレシーブで抜群の安定感を披露。この日は、相手に1本もサービスエースを与えなかった。廣瀬のブロックも冴えわたり、3連続得点で18−12とリードを広げた。
 カジースキのパイプ攻撃も決まり、ジェイテクトSTINGSが完全に主導権を握った。古田のバックアタック、高橋(和)のダイレクトスパイクで21−14。勝負どころでカジースキが高い打点から強打をたたき込み、25−19で第1セットを先取した。

 続く第2セットも一進一退。ジェイテクトSTINGSはサーブでリズムをつかみ、久保山のダイレクトスパイクなどで得点を重ねる。カジースキ、高橋(和)も安定していた。廣瀬のブロックも決まって、8−7とリードを奪った。
 その後も古田のライト攻撃などで3連続得点。カジースキのバックアタック、廣瀬のサービスエースで15−10となったところで、豊田合成は2度目のタイムアウトを消化する。攻撃の手を緩めないジェイテクトSTINGSは、高橋(和)、古田にボールを集めて着々と加点。一時は1点差に迫られるが、カジースキ、古田のスパイクなどで22−18と再び引き離す。廣瀬の速攻で23点目を奪うと、金丸の速攻でセットポイント。高橋(和)のスパイクで25−20とし、ジェイテクトSTINGSが2セット連取で勝利に王手をかけた。

 完全に流れをつかんだ。第3セットもジェイテクトSTINGSのペースだった。高橋(和)のサービスエースで先制点を奪うと、カジースキも決めて3連続得点。大事な場面で廣瀬が速攻を決めて、8−4と先行する。
 同点に追いつかれても、ジェイテクトSTINGSに不安要素はない。古田にトスを集めて、嫌な流れを断ち切った。カジースキ、古田がスパイクを決めると、金丸のサービスエースで3連続得点。廣瀬、カジースキがネット際で高さを発揮して、16−12と突き放す。これまで強化してきたブロック、ディグが機能した。相手のポイントゲッターを綿密に分析し、思うように仕事をさせなかった。
 中盤以降もカジースキがサーブで攻め、高橋(和)がスパイクを決める。久保山のブロックで20−13。角田もワンポイントでコートに入り、声でチームを盛り上げた。古田がサイドアウトを切って22−15。高橋(和)がサービスエースを決めてブレイクポイントを奪う。体育館のムードが高まった。カジースキのブロックでマッチポイント。最後は高橋(和)がサーブで崩したボールをカジースキがたたき込んでフィニッシュ。ジェイテクトSTINGSが25−15で締めくくり、ストレート勝ちを決めた。

 久保山のトスワークが光った。被ブロックはわずかに1本。カジースキ、古田、高橋(和)の決定率は、いずれも60パーセントを超えた。要所で金丸、廣瀬のセンター線を使った。増成監督も「久保山のトス回しが機能し、いいリズムで戦えたことが勝利につながった。今まで彼がトスを上げた中で、ベストプレーだった」と高く評価した。
 いよいよ、ファイナルだ。相手はJT。ジェイテクトSTINGSにとっては、グループ戦のリベンジマッチでもある。これまで数々のタイトルを獲得してきたカジースキは、「とにかくすべての力を出すことだけ」と決戦に向けて決意を口にした。そして、引退する4人にとっては、泣いても笑ってもラストゲーム。今シーズンの集大成を発揮し、最高の笑顔で送り出したい。

増成一志監督

V・プレミアリーグで浮き彫りになった課題や、選手それぞれが感じた反省点など、この2カ月間で取り組んできたことを出すことができました。また、セッターの久保山は、カジースキに頼ることなく、ネットの幅をしっかり使って彼なりのトス回しをしていた。廣瀬もブロック、スパイクで活躍してくれた。若い力が芽生えることは、チームにとってプラスになります。明日の決勝戦も、ベテランと若手、中堅をしっかり融合させて、勢いのある試合をしたい。JTにはグループ戦で負けているが、この一年の締めくくりとして全員バレーで戦います。

角田辰徳

ワンポイントの出場でできることは、みんなに声をかけることくらい。雰囲気が悪いときは、少しでもよくしたいと思っています。若い選手がやりやすいようにするのが一番。僕はあまり先輩面するタイプじゃないので、一緒にいい雰囲気を作ることを心がけています。僕にとっては2回目の引退になるので、この大会は楽しくやれたらと思っていました。でも、いざ始まると、試合に出ている選手が頑張ってくれて、一日ずつ引退が延びている。本当にありがたいですね。最後の大会を、優勝という最高の形で終わらせられるように頑張ります。

マテイ・カジースキ

全員が全力を出したことで、3−0という結果につながったと思います。個人的には疲労もたまっていますが、明日の試合に向けてすべての力を出さなければいけません。豊田合成に勝てたことはよかったが、これに満足せず明日の試合に向けてしっかりと準備をしたいと思います。タイトルがかかった試合で大切なのは、出だしから攻めること。いいスタートを切ることがとても重要です。決勝戦だからといって気負わずに、ミスのないバレーをしていきたいと思います。とにかくすべての力を出し切ります。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

パナソニック戦の完敗から2カ月。課題をしっかりと克服した

思い起こせば、同じ大阪市中央体育館である。ファイナル3をかけたパナソニックとの大一番。序盤の連続失点が響いて、最後までリズムがつかめなかった。0−3の完敗だった。あれから2カ月、教訓は生かされた。粘り強くボールをつないで、連続失点を与えなかった。確実にサイドアウトを切り、チャンスと見るや反撃に出た。相手の攻撃を徹底的に分析し、ブロックとディグで封じ込めたのも勝因の一つだ。3−0の完勝だった。カジースキは言う。「相手よりも一つ一つのボールを大切にしていたし、あきらめない精神を見せたことが勝利につながった。課題だったブロックやサーブも機能した」。敗戦を真摯に受け止め、課題を克服した。間違いなく今のジェイテクトSTINGSは、2カ月前よりも進化している。いよいよ明日、すべての力を発揮するときだ。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS 豊田合成トレフェルサ
第1セット 25 ー 19
第2セット 25 ー 20
第3セット 25 ー 15
第4セット
第5セット
日付 2016年5月4日(水)
試合 第65回黒鷲旗全日本男女選抜大会 準決勝
場所 大阪市中央体育館
メンバー カジースキ、金丸、古田、高橋(和)、久保山、廣瀬 L本間
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