ジェイテクトSTINGS VS JTサンダーズ

古田、カジースキを軸に攻めるが、大事な場面での連続失点が最後まで響いた

 ハイテンションな試合の入り方だった。グループ戦のラストは、JTサンダーズと2勝同士の対戦。この日の勝敗に関係なく、決勝トーナメントの進出は決まっている。しかし、両チームのモチベーションは高い。それは、この試合が明日の準々決勝につながることを、誰もが知っているからだ。
 ジェイテクトSTINGSはスタメンセッターに渡邊を起用した。オポジットには古田。カジースキの対角には、ケガで大事を取った高橋(和)に代わって角田が入り、センター線は金丸と辰巳が対角を組んだ。リベロは、不動の守護神・本間だ。
 第1セットは古田のスパイクでジェイテクトSTINGSが先制した。さらに古田は、強烈なバックアタックを決めるなど調子のよさをアピール。カジースキもサーブで攻め、自らのバックアタックで得点を加算。渡邊もサービスエースを決め、一進一退の展開で1回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 7−8の場面では、本間がレシーブしたボールが、相手のコートにぽとり。運も味方につけ、好ゲームを展開した。セッターの渡邊は、金丸の速攻、角田のレフトオープンと巧みにトスを散らした。終盤にはルーキーの柳澤がコートに入り、チームに弾みをつけた。金丸、カジースキ、古田が前に並んだローテーションでは、圧巻の高さを発揮。古田のブロックなどで徐々に追い上げると、金丸のブロックで点差を2点に縮める。22−25で第1セットを落としたが、可能性を感じさせる戦いを披露した。

 柳澤のサーブで始まった第2セット。ジェイテクトSTINGSはミスが続いていきなり4点を先行される。しかし、若手のミスは、古田がカバー。さらにセッターが久保山に代わると、カジースキもバックアタックで得点を量産。辰巳の速攻などで徐々に点差を詰めた。そして、カジースキのスパイクで12−12の同点。柳澤のパイプ攻撃でサイドアウトを切ると、カジースキのサービスエースでついに14−13と逆転に成功する。
 久保山がネット際のボールを押し込んで、1点のリードで2回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。辰巳の速攻、柳澤のライト攻撃で確実にサイドアウトを切った。しかし、終盤はスパイクミスなどが重なって3連続失点。ピンチサーバーの松原を送り出すが、流れを変えることはできず22−25でこのセットも失った。

 第3セットの立ち上がりも拮抗した展開が続く。ジェイテクトSTINGSはカジースキ、柳澤がスパイクを決めて、粘り強くサイドアウトを切った。7−10と3点を追う場面では、カジースキが難しい二段トスを決めてチームに勢いをつけた。さらにミドルブロッカーに袴谷を投入。一時はカジースキのバックアタックなどで14−13と逆転した。
 しかし、ここから4連続失点。古田のスパイク、袴谷の速攻などで粘り強く得点を奪いにいったが、点差がなかなか縮まらない。すべてのセットにおいて、大事な場面での連続失点が響いた。最後まで懸命に戦ったが、相手にサービスエースを決められて20−25で敗れた。

 2位で決勝トーナメント進出を決めた。今日は敗れたが、ルーキーの柳澤が長い時間コートに立てたのは好材料だ。はじめは緊張が見られたセッターの渡邊も、徐々に本来の思い切りのよさを取り戻している。
 明日の準々決勝は東レが相手。今シーズンの対戦成績は2勝2敗の五分だが、ファイナル6では1−3で敗れている。しかし、今のジェイテクトSTINGSにネガティブな要素は見当たらない。古田は好調を維持しているし、カジースキもコンディションを上げつつある。ルーキーの渡邊、柳澤も十分に通用するところを示した。今日はベンチアウトだった高橋(和)が戻ってくれば大きな力になるだろう。
「大会までほとんど6人で合わせていない。カジースキもイタリアから帰国したばかり。その中で、この3試合を戦ってきた。しかし、明日から決勝トーナメントだということは全員がわかっている。しっかりとしたバレーで戦っていきたい」
 試合後にこう力を込めた増成監督。頂点まであと3勝。いよいよ今シーズンの集大成を迎える。

増成一志監督

この黒鷲旗では、若手をしっかり育て、ベテラン、中堅を含めて戦っていかなければいけません。その意味で今日は、柳澤があれだけできることを示してくれた。器用な選手なので、これからしっかりトレーニングと練習を積んでいけば期待できるでしょう。セッターの渡邊を含めると平均身長が大きくなるので、一つずつ新しいジェイテクトSTINGSを作っていきたい。スケールの大きなチームにしていきたいと思います。

古田史郎

僕にとってはファイナル3をかけたパナソニック戦が、シーズンを通して一番インパクトのある試合でした。そこで出た課題を、この黒鷲旗に向けてやってきた。練習試合などを経て、少しずつよくなってきたと感じています。今日は負けたけど、しぶといプレーができたのは収穫だし、リーグ戦よりも変なミスが減っている。この大会を最後に引退する選手もいるので、その人たちのイズムをしっかり引き継ぎ、よりよいジェイテクトSTINGSにするためには何が必要かを考えながらやっていきます。

柳澤広平

楽しかったけど、レベルの高さを感じました。一昨日くらいに増成監督から「用意しておけ」と言われ、そのときは緊張していました。でも、角田さんから「俺も初めて出たときは何もできなかった。新人なんだから、できなかったらできなかったでいい」と言われて落ち着くことができました。明日以降もコートに出てプレーすることがあるかもしれないし、それ以外の場面で仕事を任されるかもしれない。何を任されても、チームが勝つために自分ができることを精一杯やりたいと思います。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

頼もしかったルーキー柳澤の活躍。明日も新たなヒーローの出現に期待

黒鷲旗のような短期決戦では、日替わりでヒーローが出現するのが理想的だ。その意味で今日は、柳澤の活躍が明るい材料になった。初戦の終盤にも出場しているが、これほど長い時間コートに立ったのは初めて。しかも、相手はV・プレミアリーグのJT。しかし、柳澤に緊張はなかったという。「ヴィソットはテレビで見ていた選手。すごいなと思ったけど、このサーブを返したいという意欲がわいてきました」。その言葉には、頼もしささえ感じる。バックアタックを呼び込むなど積極的なプレーを見せ、攻守で存在感を発揮した。新しい力を加え、チームは一歩一歩、確実に進化している。明日の準々決勝も、新たなヒーローの出現に期待したい。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS JTサンダーズ
第1セット 22 ー 25
第2セット 22 ー 25
第3セット 20 ー 25
第4セット
第5セット
日付 2016年5月2日(月)
試合 第65回黒鷲旗全日本男女選抜大会 グループ戦
場所 大阪市中央体育館
メンバー カジースキ、金丸、渡邊、古田、辰巳、角田 L本間
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