ジェイテクトSTINGS VS 筑波大学

高橋(和)が負傷退場するも、代わって入った角田が踏ん張って接戦を制す

 熱い気持ちが伝わってくる試合だった。相手は大学勢の中でもトップクラスの実力を持つ筑波大学。けっして油断はできない。ジェイテクトSTINGSは立ち上がりからエンジン全開でぶつかっていった。中でも、古田の気迫は凄まじかった。ライトからのスパイクでサイドアウトを切ると、サーブで攻めて相手の守備を崩す。5−5の場面から強烈なスパイクを相手コートにたたき込んで連続得点。8−6で1回目のテクニカルタイムアウトを奪った。
 しかし、ここから形勢は筑波大へと傾いていく。サーブレシーブが崩されて4連続失点。8−10と逆転を許した。ジェイテクトSTINGSはカジースキのスパイク、久保山のブロックなどで4連続得点を取り返し、13−11と再び逆転に成功。リベロの本間も守備面で踏ん張り、16−15で2回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 古田が気持ちでチームを引っ張った。古田のスパイク、ブロックなどで3連続得点。さらに古田のサービスエースで23−19と突き放す。第1セットを締めくくったのはカジースキだ。会心のサービスエースを決めて、ジェイテクトSTINGSが25−20で先取した。

 続く第2セットは一進一退。ジェイテクトSTINGSはカジースキ、古田のスパイクで確実に得点を重ねる。廣瀬の速攻で7点目を奪うと、高橋(和)がサービスエースを決めて8−6。さらにタイムアウト明けのプレーでカジースキが得点するなど、4連続得点で10−6と一気に突き放す。
 中盤以降も互いに1点ずつ取り合う展開が続いた。ジェイテクトSTINGSは高橋(和)、古田、カジースキのサイド陣が奮闘。金丸、廣瀬のセンター線を軸にブロックも機能し、終盤まで点差をキープする。22−18の場面では、これまでケガで戦列から離れていた松原がピンチサーバーとしてコートに立った。これでジェイテクトSTINGSが完全に勢いをつかんだ。第2セットを25−21で獲得。最後は廣瀬の速攻で締めくくった。

 アクシデントが発生したのは第3セットの立ち上がりだ。高橋(和)が足を故障。しばらくプレーを続けていたが、4−3となったところで角田と交代した。しかし、突然巡ってきた出番にも、ベテランの角田は慌てない。角田のスパイクで6−6とすると、廣瀬のブロックでブレイクポイント。古田、カジースキも渾身の力でスパイクをたたき込み、10−7とリードを広げた。
 中盤の4連続失点で15−17と逆転されるが、傾きそうな流れを取り戻したのはやはり角田だ。気迫のこもったスパイクを次々とたたき込み、大きな声でチームを牽引した。先にマッチポイントを奪ったのはジェイテクトSTINGS。しかし、粘る筑波大に24−25とスコアをひっくり返される。角田、古田がブロックを決めて再び26−25とリード。白熱の展開に、スタンドが沸いた。古田のブロックでアドバンテージを奪うと、大歓声の中、古田のスパイクでフィニッシュ。ジェイテクトSTINGSが3−0で勝利をつかんだ。

 2連勝で決勝トーナメント進出を決めた。高橋(和)のアクシデントがあっても、大崩れすることはなかった。「カジースキがいない中、ずっと角田と高橋(和)が対角を組んでやってきた。そこは心配していなかった」と増成監督。しかし、明日からはプレミア勢との対戦が始まる。ギアを1段階も2段階も上げた戦いが続くのは間違いない。それでも、カジースキをはじめ、チームのコンディションは上り調子だ。「引退する4人の選手を笑顔で送り出したい。優勝できるように頑張ります」と廣瀬。いよいよチームの士気も高まってきた。

増成一志監督

うちはセンター線を軸にしなければいけないのに、単調な攻撃になってしまいました。リズムを作るのはセッターの役割だけど、それができなかったのが苦戦した要因。相手からすれば、ブロックを絞りやすかったと思う。ただ、今日の勝利で決勝トーナメントに進むことが決まったので、明日からもう一度、しっかりと戦いたい。セッターの久保山と渡邊には、自分たちの組み立てをして、次に向けたチーム作りをしてほしい。ベテラン、中堅、若手がしっかり融合し、アグレッシブに戦っていきたいと思います。

久保山尚

今回の黒鷲旗はチャンスをいただいているので、結果を出したいと思っています。自分のプレーを確立し、一つでも自分のいいポイントを見せていきたい。ただ、この2日間は、勝たなければいけないという変な緊張感がありました。それでも、所々でいい部分が出ていて、いいリズムで回っているときはアタッカーの決定率も高くなっている。明日からはプレミア勢が相手になるので、いい部分をいかに継続できるかが結果につながる。できるだけ先手を取って攻め、理想的なバレーをしていきたいと思います。

廣瀬優希

今日の試合は、個人的にあまりいい内容ではなかったです。後半はなんとかワンタッチを取れるようになったけど、前半は相手のミドルブロッカーに何度も決められた。前半は相手の生命線というか、一番強い部分にやられました。引退する4人にはすごくお世話になりました。最後は勝って終わりたいという気持ちもあるし、楽しく試合をして思い出にも残してほしい。今日は途中で角田さんが入ってきましたが、声を出して一緒に走り回ろうと思っていた。明日以降も結果を求めながら、楽しくプレーできるように頑張ります。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

2人の若き司令塔のトスワークが、勝負の鍵を握る

センター線の速攻が使えず、リズムがつかめなかった。セッターの久保山が言う。「第2セットの途中までは速攻も使えて、それに対して相手のブロッカーも跳んでいた。いいリズムでトスを回せていたけど、途中から相手が跳ばなくなり、自分が切り替えられなかった。相手の戦術に自分が対応できませんでした」。筑波大にとってブロックの的が絞りやすくなったことが、第3セットを接戦に持ち込まれた要因だ。増成監督も「単調な攻撃になってしまった」と課題を挙げている。明日のJT戦からはプレミア勢との対戦が続く。簡単には勝たせてもらえないだろう。久保山と渡邊、2人の若き司令塔のトスワークが、大きな鍵を握りそうだ。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS 筑波大学
第1セット 25 ー 20
第2セット 25 ー 21
第3セット 28 ー 26
第4セット
第5セット
日付 2016年5月1日(日)
試合 第65回黒鷲旗全日本男女選抜大会 グループ戦
場所 大阪市中央体育館
メンバー カジースキ、金丸、古田、高橋(和)、久保山、廣瀬 L本間
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