ジェイテクトSTINGS VS 堺ブレイザーズ

連続失点でも崩れなかった第1セット。勝負どころで果敢に攻め、着実に得点を重ねた

 先週のJT戦は、フルセットに持ち込みながら悔しい敗戦となった。ファイナル6は今週の2試合を残すのみ。パナソニックとの勝ち点差は、わずかに「1」だ。もう一つの勝ち点も落とすことはできない。
 この日、崖っぷちに立たされたジェイテクトSTINGSがコートで見せたのは、勝利への執念だった。見事な試合運びで、堺ブレイザーズにストレート勝ち。ファイナル3に向けて望みをつないだ。

 第1セット、ジェイテクトSTINGSが立ち上がりからリズムをつかんだ。カジースキが3枚ブロックの上をフェイントで抜いて先制した。古田がライトからたたき込んだ。粘り強くつないだボールを浅野が決めて、6−4とリードを奪った。
 しかし、ここから流れが堺へと傾いていく。古田のスパイク、カジースキのバックアタックが相手のブロックに止められた。テクニカルタイムアウトが明けると、ノータッチエースを決められた。浅野のスパイクも止められて6連続失点を喫し、6−10とリードを許した。
 苦い記憶が蘇る。しかし、今日のジェイテクトSTINGSは、これまでと違った。心が折れなかったのだ。辰巳の速攻でサイドアウトを切ると、浅野がサーブで攻めて相手のミスを誘う。本間の二段トスをカジースキが決めて、3連続得点を奪った。これで流れを取り戻し、金丸の速攻などで着実に得点を重ねた。さらにカジースキがサーブで相手の守備を揺さぶった。辰巳のブロックでブレイクポイントを奪い、1点のリードで2回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 ジェイテクトSTINGSはその後も果敢に攻めた。古田がブロックポイントを奪った。要所でカジースキが高い打点から強打をたたき込んだ。セッター高橋(慎)のトスワークも冴えていた。相手に的を絞らせない多彩な攻撃で、試合の主導権を握った。古田のサービスエースでセットポイント。盤石の試合運びを見せたジェイテクトSTINGSが、25−20で第1セットを先取した。

 続く第2セットも立ち上がりはシーソーゲームだった。チームに勢いをもたらしたのは、浅野の献身的なプレーだ。懸命に腕を伸ばして、コートに落ちそうなボールをつないだ。ネットを越えたそのボールが、直接得点につながった。執念でもぎ取った1点だった。一時は7−10とリードを許したが、ジェイテクトSTINGSの集中力は途切れない。古田、カジースキらサイド陣が踏ん張り、浅野も立て続けに決めて点差をキープした。辰巳のブロックで長いラリーを制した。チームに気迫がみなぎっていた。浅野がノータッチエースを決めて、16−15と逆転に成功した。
 勝負どころでは辰巳の速攻で嫌な流れを断ち切った。金丸のブロックなどで3連続得点。さらにカジースキがサーブで攻め、浅野のブロックでブレイクポイントを奪った。23−20とリードを広げると、金丸が決めてセットポイント。勝負どころで強さを発揮したジェイテクトSTINGSが25−22でこのセットを制し、勝利に王手をかけた。

 ジェイテクトSTINGSの勝ちパターンだ。粘り強くボールをつなぎ、着実に得点を重ねた。第3セットも金丸の速攻でリズムをつかむ。辰巳の速攻をきっかけに、カジースキのスパイクなどで5連続得点を奪った。
 中盤は互いに1点ずつ取り合う展開。我慢を強いられた時間帯も、ジェイテクトSTINGSは崩れない。2点のリードで2回目のテクニカルタイムアウト。古田が軟打を織り交ぜながら得点を重ね、辰巳も切れのあるスパイクをたたき込んだ。23−21となったところで相手は2度目のタイムアウトを消化した。カジースキがバックアタックでたたみかけてマッチポイントを奪った。25−22でストレート勝ち。勝ち点3を獲得した。

 プレッシャーがかかった試合で、会心の戦いを見せた。チームは最後まで気持ちを切らすことなく、全力で戦い抜いた。「気持ちと気持ちの戦いだった。ファイナル6は第1セットのスタートでつまずくパターンが多かったが、今日は出だしから粘って食らいつくことができた。自分たちのパターンに持っていけたことが勝因だと思います」と浅野。この日は全員がヒーローだった。
 ファイナル3の最後の椅子は、パナソニックとの直接対決で決まることになった。明日の試合で勝ったほうが、ファイナル3に進む。「多少の緊張感は出ると思うが、自分たちがやってきたことに自信を持って戦いたい」。いよいよ今シーズンの集大成だ。カジースキの言葉に迫力がこもった。

増成一志監督

勝ち点3が取れて、選手たちに感謝したいと思います。ファイナル6はここまで第1セットが取れなかった。そこを含めてこの1週間、どう戦うかを選手たちに問いかけてきました。昨シーズンまでのチームと違うのは、レギュラーラウンドを上位で戦ってきた中で、選手たちに「必ずファイナル3に行かなければいけない」という使命感が芽生えてきたこと。今日は一つのボールに対して全員が粘り強いプレーをし、一つ一つ得点を重ねていったことで相手にプレッシャーを与えた。ただ、ミスもあった。もう一度、気持ちを引き締め、明日は今までやってきたことを出し切りたいと思います。

高橋慎治

気持ちと気持ちのぶつかり合いに勝つことができ、自信につながる試合になりました。今まではカジースキに頼るバレーが多かったが、今日は他の日本人選手も全員が活躍してくれた。今後につながる試合になりました。また、ファイナル6はここまで、第1セットを落としていました。そのため、スタートの試合運びを、練習の中から意識してきました。あとは、ミスをなくす意識を持って、この1週間、取り組んできました。強い気持ちで臨んだので、相手にリードされても取り返すことができた。明日も大事な試合になるので、全員で勝ちを取りにいきます。

マテイ・カジースキ

3−0で勝つことはできたが、点の取り合いで厳しい試合になりました。何より、ミスの少ないバレーができてうれしい。チームの調子も徐々に上がっています。私はいなかったので判断は難しいが、昨シーズンに比べてすべてがよくなっていると思います。データから見ると、ブロック力がついた。それによって、チームも少しずつ自信をつけてきたと思います。私自身、チームにとても感謝しています。まずはファイナル3に進出することが目標です。こういうプレーオフでは経験がものをいいます。ジェイテクトSTINGSは若い選手が多いですが、今までやってきたことを信じて戦います。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

第1セットの前半に連続失点。コートの中で声をかけ合い、流れを取り戻した

第1セットの前半、古田、カジースキ、浅野のサイド陣が立て続けにブロックで止められた。相手のサービスエースなどで6連続失点。6−10と逆転を許した。ファイナル6のこれまでの試合は、ここで勢いを失っていた。高橋(慎)も「今までだったら、あのまま第1セットはやられていたかもしれない」と振り返っている。しかし、タイムアウトで流れを切ると、辰巳、カジースキのスパイクなどで3連続得点。このセットを奪うきっかけをつくった。「今までの試合なら、一気に失点するとコートの中で誰もしゃべらなくなる」と言ったのは浅野だ。しかし、この日のジェイテクトSTINGSはコートの中で声がよく出ていた。ブロックとレシーブの位置取りを変えたことも功を奏した。「相手のローテーションがまったく逆のスタートだった。そのため、こちらのブロックの位置やタイミングがズレていた。レシーブの位置を含めて、そこをタイムアウトで修正した。指示したところを、選手たちが瞬時に対応してくれたことが逆転につながった」と増成監督。選手の能力とベンチワークがうまくフィットした、まさにチーム一丸でつかんだ勝利だった。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS 堺ブレイザーズ
第1セット 25 - 20
第2セット 25 - 22
第3セット 25 - 22
第4セット
第5セット
日付 2016年2月27日(土)
試合 ファイナル6 第4戦
場所 大阪市中央体育館
メンバー カジースキ、金丸、古田、高橋(慎)、辰巳、浅野 L本間
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