ジェイテクトSTINGS VS JTサンダーズ

2セットダウンから執念でフルセットに持ち込む。代わって入った清野、浅野が流れを変えた

 しびれるような試合だった。2セットダウンから、執念で追いついた。第5セットも勝つチャンスはあった。実際、3度のマッチポイントを奪っている。しかし、フルセットの末に敗戦。悔しい一敗になった。

 第1セットは一方的な展開に持ち込まれた。ファイナル3に進むためには、絶対に負けられない。ジェイテクトSTINGSに硬さがあった。高橋(和)、カジースキのスパイクが立て続けに止められた。JTサンダーズの強烈なサーブにも苦しんだ。2−12となったところで、早くも2度のタイムアウトを使い切った。
 ベンチの動きも早かった。セッターは高橋(慎)と久保山がスイッチ。さらに2度目のテクニカルタイムアウトを機に、古田に代えて清野を、高橋(和)に代えて浅野をコートに送り込んだ。
 5−17となったところで高橋(慎)をコートに戻すと、ようやくリズムを取り戻しはじめる。辰巳がサービスエースを決めた。カジースキにトスを集めて、得点を量産した。カジースキが2度のサービスエースを決めて14−22と点差を縮めた。15−25の大差でこのセットを落としたものの、終盤の反撃は第2セット以降の戦いにつながるものだった。

 続く第2セットも落としたが、内容は紙一重だった。スコアも最小得点差の23−25。浅野、カジースキのサイド陣が踏ん張り、一進一退の展開に持ち込んだ。明暗を分けたのは、ほんのわずかな差だった。
 あとがなくなったジェイテクトSTINGSは、第3セットの立ち上がりから走った。4−4からカジースキがサーブで攻めて立て続けに得点。浅野も思い切りのいいスパイクをたたき込んだ。さらに金丸のフローターサーブが相手のスパイクミスを誘った。ジェイテクトSTINGSが10−7とリード。セッターの高橋(慎)が巧みにトスを散らし、浅野、辰巳、清野が着実に得点を積み重ねる。清野が決めて、3点のリードで2回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 浅野がブロック、スパイクで活躍して4連続得点を奪った。20−14とリードを広げると、カジースキのブロックでセットポイント。最後は清野が決めて、第3セットを25−18で取り返した。

 第4セットに入っても、互いに気迫のこもったプレーを見せた。勢いに乗ったジェイテクトSTINGSは、清野のバックアタックでサイドアウトを切ると、カジースキがサーブで攻めて金丸のダイレクトスパイクをお膳立て。3点のビハインドで1回目のテクニカルタイムアウトを迎えたが、内容はけっして悪くなかった。
 ビハインドは最大4点に開いたが、浅野のスパイク、辰巳のブロックなどで3連続得点。何度も上がってきたトスを浅野が気持ちでねじ込み、僅差をキープした。さらにカジースキのバックアタックなどで16−16の同点。その後も辰巳のブロック、金丸の速攻などで粘り強くサイドアウトを切った。
 圧巻だったのは、21−21の場面で決めた辰巳のブロックだ。相手はここでタイムアウトを要求するが、辰巳は続けてブロックを決めた。さらに清野のスパイクでセットポイント。一時は同点に追いつかれたが、25−24からカジースキが渾身のスパイクを決めてフィニッシュ。勝負の行方を第5セットに持ち込んだ。

 第5セットは意地と意地のぶつかり合いだった。1−5とリードを許したが、タイムアウトで嫌な流れを断ち切った。カジースキがサーブで攻めると、浅野のブロックでブレイクポイントを奪う。さらにカジースキがサービスエースを決めて、5−6と1点差に迫った。
 拮抗した展開のまま、セット終盤にもつれ込んだ。10−12の場面では、床に落ちそうなボールを懸命につなぎ、清野が相手コートにたたき込んだ。一球一球に全員の意識が集中した。ジェイテクトSTINGSにいい風が吹いてきた。清野がサービスエースを決めて12−12。高橋(慎)が会心のブロックを決めた。ついに逆転に成功した。
 カジースキが決めてマッチポイント。しかし、粘る相手に追いつかれる。本間からの鮮やかな二段トスを浅野が決めた。サイドアウトを切られるが、カジースキのバックアタックで3度目のマッチポイントを奪った。あと1点が遠かった。16−17と逆にリードを奪われた。最後まで粘り強く戦った。しかし、最後はカジースキのスパイクがわずかにアウト。19−21で惜しくも敗れた。

 ファイナル6はこれで3連敗となった。勝ち点1は獲得したが、悔しい敗戦となった。「両チームとも勝ちにいくという姿勢を全面に出していた。最後は負けてしまったが、どちらが勝ってもおかしくない試合だった」と高橋(慎)。浅野も「気持ちの戦いだった。気持ちで負けたつもりはないが、自分たちのほうに簡単なミスがあった」と悔しさをにじませた。ファイナル6は泣いても笑っても、来週の2試合を残すのみ。次のステージに進むためには、もう負けられない。シーズンの集大成として、すべての力を出し切るだけだ。

増成一志監督

後半はジェイテクトSTINGSらしいゲームが展開できました。ただ、勝たなければいけない試合ということもあり、第1セットは自分たちでプレッシャーをかけていた。出だしがよくないところは、まだまだ力不足だと思います。ファイナル6に残っているチームは伝統があり、経験のある選手も多い。日ごろから準備してきたことを、いかに冷静な判断で出せるかが大事です。ただ、選手たちは最初から最後まで懸命にボールを追いかけ、リーグを通して成長してくれている。一つでも順位を上げられるように、来週も精一杯戦います。

辰巳正敏

第3セット以降は自分たちらしいプレーができたと思います。ただ、第1セットは硬さがあったのか、うまく回らなかった。相手に走られて、後手後手になってしまいました。個人的には調子も悪くなく、いつも通り自分の役割を果たそうと思っていました。いい場面でブロックが決まったのでよかったです。個人的にはサーブもいい感じで攻められているので、この調子を維持していきたい。負けはしましたが、勝ち点が0か1かで大きく違います。残り2試合はとにかく勝つしかない。全力で、今まで通り頑張ります。

本間隆太

今日の試合に負けると苦しくなるということで、立ち上がりは硬さがありました。それに加えて簡単なミスが2、3本続いて、リズムが合わなくなった。ただ、途中から入った浅野さんらがチームを盛り上げてくれたので、そういうミスもなくなったと思います。個人的には、二段トスの精度など、データに出ないところの詰めが甘かった。とくに大事な場面でチャンスボールがズレてしまったので、そこは修正していきたい。一球一球に集中し、けっして諦めることがないように、一つでも上の順位に行けるように頑張ります。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

第1セット終盤の巻き返しが、フルセットの接戦を呼び込んだ。

後半の反撃につながったのは、第1セットを簡単に与えなかったことだ。確かに15−25と点差は開いた。試合の入り方も悪かった。勝ち点3を取らなければいけないプレッシャーもあっただろう。清野、浅野が入ってもすぐに流れは変わらなかった。途中の点差は最大で、5−19と14点まで広がっている。このままずるずるいってもおかしくない展開だった。しかし、いったんベンチに下がった高橋(慎)がコートに戻って来ると、流れは徐々にジェイテクトSTINGSへと傾いていった。「キャプテンとして、セッターとしてやらなければいけないことを反省させた。コートに戻ってからは、彼なりのリズムあるプレーができた」と増成監督。カジースキがスパイク、サーブで活躍し、終盤には4連続得点を奪っている。これが、反撃の布石となった。ファイナル3に向けてもう負けられないが、手に入れた収穫は勝ち点1以上に価値のあるものだ。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS JTサンダーズ
第1セット 15 - 25
第2セット 23 - 25
第3セット 25 - 18
第4セット 26 - 24
第5セット 19 - 21
日付 2016年2月20日(土)
試合 ファイナル6 第3戦
場所 大田区総合体育館
メンバー カジースキ、金丸、古田、高橋(慎)、高橋(和)、辰巳 L本間
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