ジェイテクトSTINGS VS 東レアローズ

途中から入った清野、浅野の活躍で第2セットを奪取。第3、4セットも最後までチームの底力を見せた

 ファイナル6の第2戦は、レギュラーラウンド2位の東レアローズとの対戦となった。ジェイテクトSTINGSは立ち上がりから好ゲームを展開。カジースキのブロックで先制すると、古田もライトからキレのあるスパイクをたたき込んだ。カジースキのサービスエースなどで3連続得点。本間の二段トスを高橋(和)が巧みに決めた。バックアタックを絡めた多彩な攻撃も機能。セッター高橋(慎)のトスワークも冴え、ジェイテクトSTINGSが試合をコントロールした。
 流れが変わったのは、第1セットも中盤に差しかかった頃だ。細かいミスが重なって3連続失点を喫し、徐々にペースが東レへと傾いていった。高橋(和)が要所で決めるが、なかなかブレイクポイントが奪えない。終盤にはサーブレシーブが崩されて4連続失点。最後はサービスエースを決められて、18−25でこのセットを失った。

 第2セットに入っても、カジースキ、古田のスパイクがブロックで止められるなど、依然として苦しい展開が続いていた。
 試合が動いたのは、6−12の場面だ。古田に代わって清野が入った。さらに高橋(和)と浅野がスイッチ。ここからジェイテクトSTINGSの怒涛の反撃がはじまった。浅野がスパイクを決めると、辰巳がサーブで攻めた。相手のサーブレシーブを崩し、金丸が速攻を決めた。辰巳のサービスエース、カジースキのブロックも含めて4連続得点。11−14と3点差に迫った。清野が思い切りのいいスパイクをたたき込んだ。カジースキもブロックを決めた。これでビハインドは2点に縮まった。
 圧巻だったのが、セットの終盤だ。辰巳のサーブが冴えわたっていた。強烈なジャンプサーブで相手を崩し、金丸がブロックを決めた。辰巳のサービスエースで3連続得点を奪い、22−21と逆転。さらにカジースキがスパイク、ブロックを立て続けに決めた。締めくくったのも、やはり辰巳だった。会心のサービスエースで25−21。セットカウントを1−1の振り出しに戻した。

 第3セットも互いに1点ずつ取り合う展開だった。清野と浅野はそのままコートに残った。立ち上がりはセンターにトスを集め、金丸の速攻でサイドアウトを切った。サイド陣も奮闘し、清野、カジースキが強烈なスパイクをたたき込んだ。浅野は守備で貢献し、サーブレシーブを安定させた。
 緊迫した展開が続いた。一つのボールに、コート上の12人の意識が集中した。3点のビハインドで2回目のテクニカルタイムアウトを迎えたが、ジェイテクトSTINGSは最後まで諦めなかった。21−24とあとがなくなった。しかし、カジースキのスパイクでサイドアウトを切ると、相手のミスで1点差に迫る。ここでコートに入った角田が値千金のブロックを決めて、土壇場で24−24の同点に追いついた。そこからは一進一退。最後は26−28で押し切られたが、ジェイテクトSTINGSの底力を見せた価値あるセットだった。

 誰もがドラマチックな結末に期待を寄せた。第4セットの立ち上がりは東レに先行されたが、ジェイテクトSTINGSも粘り強く追随した。4−8から浅野のブロックなどで3連続得点。さらに、清野、浅野が決めて9−9の同点に追いついた。
 一時はビハインドが4点に広がったが、タイムアウトで悪い流れを断ち切った。故障開けの浅野も、持てる力を振り絞った。カジースキのスパイクなどで3連続得点を奪い、18−20と2点差。追い込まれたジェイテクトSTINGSが、再び意地を見せたのはここからだ。清野がサーブで攻めると、相手のミスを誘って21−22。さらに清野が渾身のサービスエースをたたき込んだ。ついに同点。スタンドのボルテージは最高潮に達した。しかし、金丸のダイレクトスパイクがわずかにアウトになると、サービスエースを決められて東レのマッチポイント。カジースキのスパイクで1点を返したが、23−25で惜しくも敗れた。

 まさに死闘だった。両チームが見せた勝利への執念は凄まじかった。だが、高橋(慎)は試合後の会見で、「相手に負けたというよりは、自分たちで負けにしてしまった」と振り返った。2日間で勝ち点は0。あとがなくなった。しかし、下を向いている時間はない。「勝利に向かう姿勢を今まで以上に出し、来週は絶対に勝ちにいきます」という主将の言葉は、チーム全員に共通する合言葉だ。

増成一志監督

第2セットの中盤で入った清野と浅野が、試合の流れを変えてくれました。本当なら、浅野は後衛だけで、前衛に回ったら高橋(和)と交代する予定でした。ただ、監督として「勝ちに行く」という気持ちで、前衛でも行くと本人にも伝えました。レセプションとつなぎのプレーがいいので、後半は競った試合ができたと思います。来週からの決戦に向けて、頼もしい選手が帰ってきてくれたのは収穫です。ファイナル3に行くためにも、監督やコーチは、選手以上に戦う意識を持って臨まなければいけません。今日は負けましたが、来週からの3試合も全力で戦います。

清野真一

ふだんから監督に「チーム全員の力が必要だ」と言われています。今日は途中から出場することになりましたが、いつでも出られるように準備してきました。チームとしては雰囲気が落ちていたので、何とか勢いを持ち込みたいと思っていました。数少ないチャンスで活躍できたことはよかったと思います。ただし、まだ粗いプレーや失点に結びついたプレーもあった。修正点はいっぱいあるので、来週の試合に向けてしっかり練習していきます。古田さんや外国人選手のような派手なプレーはできないけど、地味なプレーで貢献できるように頑張ります。

浅野博亮

プレーに関しては反省するところばかりです。途中から出たにもかかわらず、スパイクは(高橋)和人さんよりも決まっていない。反省して、チームに貢献できるようにしたいと思います。雰囲気を上げるという面では貢献できたと思うけど、ファイナル3への意識から勝つ意識が強くなりすぎてバレーボールが楽しめていませんでした。自分が声をかけて楽しい雰囲気には変えられるけど、勝つレベルまで持っていけるようにプレーをしっかりしていきたい。絶対に勝つという気持ちとチャレンジャー精神を忘れず、いい意味でバレーボールを楽しみたいと思います。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

浅野が持ち前の明るいキャラクターでチームを活性化。チーム状態は上向きだ

浅野の復帰は好材料だ。1月30日のFC東京戦で左足首を捻挫。先週の呉大会はチームにも帯同せず、今日の試合は約2週間ぶりの出場となった。増成監督によると、はじめは後衛だけの出場を予定していたという。しかし、持ち前のレシーブ力でチームを活性化。前衛に回っても、そのままコートに立つことになった。何より、そのキャラクターとド派手なガッツポーズで、チームの雰囲気を明るくした功績は大きい。「チームが劣勢の時も、浅野の声が他の選手を鼓舞し、いい雰囲気で戦えた。それは全日本を含め、彼が今まで培ってきた経験によるもの。コートに立ったときに、自分が何をしなければいけないかをわかっている」と増成監督。短期決戦のファイナル6では、高橋(和)との併用もカギを握ることになるだろう。2敗してあとがなくなったが、チーム状態は上向きだ。ファイナル3に向けて巻き返すチャンスは十分にある。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS 東レアローズ
第1セット 18 - 25
第2セット 25 - 21
第3セット 26 - 28
第4セット 23 - 25
第5セット
日付 2016年2月14日(日)
試合 ファイナル6 第2戦
場所 広島県立総合体育館(グリーンアリーナ)
メンバー カジースキ、金丸、古田、高橋(慎)、高橋(和)、辰巳 L本間
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