ジェイテクトSTINGS VS 豊田合成トレフェルサ

わずかな歯車の乱れから失速。相手の高さのある攻撃の前に、ブロックとレシーブの関係が機能しなかった

 いよいよV・ファイナルステージが幕を開けた。ファイナル6の初戦は、豊田合成トレフェルサと対戦。レギュラーラウンドを1位で通過した強敵だ。頂点へと向かう熱戦の火ぶたが、ついに切って落とされた。

 緊張感のある立ち上がりだった。ジェイテクトSTINGSはカジースキ、金丸が立て続けにブロックを決めて勢いをつかんだ。さらにカジースキのサービスエースでブレイクポイントを奪うと、古田もフェイントを相手のコートに落として3連続得点。6−3と一気に走った。高橋(和)のスパイクも安定していた。3点のリードで1回目のテクニカルタイムアウトを迎え、このまま勢いに乗るかに思われた。
 しかし、チームの歯車にわずかな乱れが生じた。ここから5連続失点。辰巳の速攻が立て続けに封じられて、8−10と逆転を許した。その後は一進一退の展開。カジースキ、金丸のスパイクで確実にサイドアウトを切り、1点を争う接戦に持ち込んだ。
 リズムはけっして悪くなかった。しかし、豊田合成の高さのあるスパイクの前に、ジェイテクトSTINGSの守備力はしだいに影を潜めた。ブロックとレシーブの関係が機能せず、次々と相手に得点を与えた。ビハインドが3点に開いたところでタイムアウトを取ったが、それでも流れは変わらなかった。カジースキがサービスエースを決めたが反撃もここまで。21−25で第1セットを失った。

 続く第2セットは豊田合成の一方的な展開だった。ジェイテクトSTINGSは高橋(和)のスパイクなどで粘り強く戦うが、3連続失点で5−8。悪い流れを引きずったままテクニカルタイムアウトを迎えた。
 試合の流れを変える起爆剤の投入が必要だった。増成監督は、ここでオポジットを古田から若山にスイッチ。しかし、相手にサーブで攻められて、連続失点を重ねる。カジースキは相手の徹底マークに遭い、スパイクを決めることができない。8−16とビハインドは8点に広がった。
 その後も依然として豊田合成のペース。ジェイテクトSTINGSは金丸の速攻、高橋(和)のブロックで得点を奪うが、流れを引き寄せるにはいたらない。カジースキのフェイントなどで3連続得点を奪うが、18−25でこのセットを落とした。

 ジェイテクトSTINGSが本来の力を発揮したのは第3セットに入ってからだ。カジースキのスパイクで先制すると、若山の活躍で確実にサイドアウトを切った。一時はビハインドが5点に開いたが、徐々に流れを取り戻した。リベロの本間を軸に、守備も安定しはじめた。カジースキの粘り強いスパイクでラリーを制して8−11。さらに辰巳に代えて廣瀬を投入し、チームの活性化を図った。
 13−17から若山が立て続けに決めて1点差に迫った。高橋(和)がサイドアウトを切ると、廣瀬が思い切りのいいスパイクを決めて18−18とついに同点に追いついた。ブロックでプレッシャーをかけて相手のミスを誘い、20−19と逆転に成功。高橋(和)、若山のスパイクで粘り強くサイドアウトを切った。しかし、先にマッチポイントを握ったのは豊田合成のほうだった。最後は高橋(和)のスパイクがわずかにアウト。ジュースの末にこのセットを落とし、セットカウント0−3で敗れた。

 ストレートで初戦を落とした。とはいえ、ファイナル6はまだ始まったばかり。下を向いている選手が一人もいないのは、チームにとって明るい材料だ。「今日は豊田合成もいいバレーをしていたし、我々もけっして悪いリズムではなかった。明日からもう一度、ジェイテクトSTINGSらしいバレーで臨みたいと思います」と増成監督。もう負けるわけにはいかない。明日の東レ戦からは、すべての試合が大一番になる。

増成一志監督

立ち上がりはいい形で入れたが、一つのミスや弱気なプレーから自分たちでリズムを崩してしまった。イゴール選手にブロックの上から打たれることもあったが、ポジショニングをしっかり取れば必ずディグは上がると言い続けてきました。第3セットの中盤からようやくリズムが出てきたが、反撃をするには少し遅すぎた。明日も試合があるので、もう一度、チームの士気を高めたい。ジェイテクトSTINGSには控えにもいい選手がたくさんいるので、勝つためにどういうメンバーを組めばいいかを常に考えながら臨みます。

高橋慎治

相手のほうがすべての面でクオリティの高いプレーをしていました。それに対して自分たちが劣っていたので、こういう結果になりました。課題はブロックを抜けてからのレシーブ。相手のイゴール選手には、第2セットから何度も決められてしまいました。しかし、こちらはカジースキ選手がスパイクを打っても、ブロックでワンタッチを取られたり、抜けてもレシーブされていた。完全に対策を立てられていました。ただ、これで終わりではありません。ビデオを見返して反省し、すぐに切り替えて明日の試合に臨みます。

若山智昭

第2セットは点差が開きましたが、終盤にかけて少しずつサイドアウトも取れるようになってきて、それが第3セットにつながったと思います。粘り強く戦おうということで、一人一人が役割を認識しながらプレーすることができました。終盤にかけて、スローガンにある「ONE」の通りのプレーができました。負けたことは悔しいけど、チームみんなの気持ちも「明日に向けてもう一度頑張ろう」という方向に向かっています。もちろん反省はしますが、今日の戦いをプラスにとらえて、明日に向けて準備していきます。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

重要なジョーカーの存在。ファイナル6は総力戦で乗り切る

短期決戦を勝ち抜くポイントの一つに、ジョーカーの存在があげられる。途中からコートに立って、流れを変える選手だ。今日の豊田合成戦で言えば、若山、廣瀬がその立場だった。若山は第2セットの途中から古田に代わってコートに入った。「いつでも行けるように、常に準備しています。ただ、思った以上に点差が開いたので、あとは開き直ってやるだけでした」と若山。第3セットに入ると、大車輪の活躍で雰囲気を盛り上げ、このセットの中盤から入った廣瀬とともにプレーと声でチームを引っ張った。「途中から入った2人がいい起爆剤になった。第3セットは、この2人に助けられて、接戦に持ち込めたと思う。スタートから入っている選手が頑張れば、もっといい結果が出せた」と主将の高橋(慎)。ファイナル6は総力戦で乗り切ることが重要だ。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS 豊田合成トレフェルサ
第1セット 21 - 25
第2セット 18 - 25
第3セット 24 - 26
第4セット
第5セット
日付 2016年2月13日(土)
試合 ファイナル6 第1戦
場所 広島県立総合体育館(グリーンアリーナ)
メンバー カジースキ、金丸、古田、高橋(慎)、高橋(和)、辰巳 L本間
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