ジェイテクトSTINGS VS 堺ブレイザーズ

ジュースにもつれ込んだ第1セットを粘り強く奪取。機能的なブロックで、相手にプレッシャーをかけ続けた

 会心のスタートを切った。カジースキも「完璧なスタートだった」と振り返ったほどだ。レギュラーラウンドの最終戦。この一戦に、これまでのすべてが集約されていた。ジェイテクトSTINGSは落ち着いていた。白と青のユニフォームは、3カ月に及ぶ戦いで身につけた自信で満ち溢れていた。
 古田がライトから角度のあるスパイクをたたき込んで先制点を奪った。カジースキも高い打点からスパイクを決めた。セッターの高橋(慎)が巧みにトスを散らして、堺ブレイザーズのブロックを揺さぶった。7−6の場面では、高橋(和)がサーブで相手を崩し、辰巳が相手のスパイクをブロック。8−6で1回目のテクニカルタイムアウトを奪った。
 その後もジェイテクトSTINGSは集中力を切らさなかった。ブロックとレシーブの連携も機能し、リベロの本間を軸に安定した守備を見せた。相手が繰り出すフェイントにも対応し、チャンスボールはカジースキが確実にものにした。要所で高橋(和)のバックアタックが冴えた。一つのボールに全員の意識が集中した。古田が連続で相手のスパイクをシャットアウト。これで完全に優位に立った。相手にブレイクポイントを奪われても、タイムアウトで嫌な流れを断ち切った。辰巳が決めてセットポイントを奪った。
 これで勝負あったかに思われた。しかし、ここからもつれた。24−23から2本連続でサービスエースを決められた。カジースキが踏ん張って、26−25と再びリード。ここからはサイドアウトの応酬だ。高橋(慎)のトスに微妙なズレが生じ、相手に得点を与えた。それでも、高橋(和)、辰巳が懸命に食らいついて得点を重ねた。最後に決めたのはカジースキだ。32−31の場面。相手の攻撃を粘り強くしのぐと、強烈なスパイクをたたき込んで第1セットを先取した。

 第2セットはジェイテクトSTINGSが一方的な展開に持ち込んだ。ブロックで相手にプレッシャーをかけ続けた。サーブも機能し、カジースキのサービスエースなどで3連続得点を奪った。5点のリードで1回目のテクニカルタイムアウトを折り返すと、その後もジェイテクトSTINGSのペースで試合が進む。大事な場面では、高橋(和)の豊富な経験と高いスキルが生きた。12−6でサーブが回ってくると、コースを巧みに突いて相手の機動力を奪った。古田、カジースキのブロックに続いて、高橋(和)のバックアタックで4連続得点。さらにカジースキがスパイク、ブロックで活躍し、20−7と一気に点差を広げた。
 あとは落ち着いてこのセットを終わらせるだけだ。古田がスパイクを決め、金丸のブロックでブレイクポイントを奪った。相手のミスでセットポイント。最後は高橋(和)が決めて25−12。大差でこのセットを奪い、勝利まであと1セットに迫った。

 長かったレギュラーラウンドの集大成を示すセットだった。カジースキがスパイクをたたき込んだ。金丸の速攻でサイドアウトを切り、古田が強烈なサービスエースを決めた。高橋(和)が柔らかいボールを相手のコートに落として6−3。相手に的を絞らせない多彩な攻撃で、ジェイテクトSTINGSが試合の主導権を握った。
 一時は10−11と逆転を許したが、高橋(和)のバックアタック、古田のノータッチエースですぐに点差をひっくり返した。高橋(慎)のトスも安定感を取り戻していた。カジースキ、高橋(和)のサイド陣を軸に、確実に得点を積み重ねた。辰巳がサーブで攻めて、相手のミスを誘った。金丸のブロックなど4連続得点で22−16。気迫のあるジェイテクトSTINGSらしいバレーを見せた。カジースキのスパイクで23点目。角田、久保山を投入して、盤石の試合運びを見せた。最後は古田のスパイクでフィニッシュ。このセットを25−20で奪い、ストレート勝ちを決めた。

 勝ち点3を上積みした。レギュラーラウンドの成績を12勝9敗とした。トータルの勝ち点ではパナソニックに並んだが、勝率で上回り3位でレギュラーラウンドを終えた。ファイナル6の初戦は1週間後の広島。首位の豊田合成と対戦する。
「相手は試合巧者だし、経験豊かな選手がそろっている。しかし、私たちもレギュラーラウンドでは3、4位をキープし、常にプレッシャーを感じながら戦ってきた。精神面は強くなっている。まずはこの一戦に全精力をぶつけたいと思います」
 こう意気込みを語った増成監督。いよいよ新たな戦いの幕が開ける。

増成一志監督

第1セットの立ち上がりはいい形で入ったが、後半は自分たちで自分たちのリズムを崩してしまった。ただ、第2セット以降は、しっかりと自分たちのバレーができたと思います。今週の2試合で、順位が大きく入れ替わる可能性があった。そうした緊張感のある試合を、自分たちのバレーで2勝できたことは自信になります。レギュラーラウンドを通して、苦しい思いもしてきた。金丸、浅野のケガといったアクシデントもあった。総力戦で戦いながら勝ち取った3位は、非常に価値がある。もう一つギアを上げて、チャレンジャー精神でファイナル6に臨みます。

高橋慎治

自分のトスが悪く、トス回しだけはしっかり考えてプレーしていました。絶対にボールを落とさないというみんなの気持ちが、3−0という結果に表れた。ファイナル6が決まった時から少し調子を落としていたが、少しでも順位を上げようと話をしていました。その時点での最高が3位だったので、いい形でファイナル6に臨めます。大事なのは、先を見ずに目の前の1試合を勝ちにいくこと。レギュラーラウンドは、どこの会場に行ってもホームのような大応援団が駆けつけてくれました。勇気や力をもらったので、結果を出して恩返しをします。

マテイ・カジースキ

第1セットの出だしはよかったが、終盤はペピチ選手のサーブで崩されてしまった。それでもギブアップせずに、勝てると信じて戦い続けたことが勝因だと思います。レギュラーラウンドを3位で終えましたが、厳しい言い方をすれば、もっといい順位でファイナル6に進むことができた。個人的には徐々に調子を上げてきたが、まだベストのパフォーマンスは出せていません。これからも、ボールコントロールやスパイクの精度を上げられるように頑張ります。応援が多ければ、必ず結果を出すことができます。ぜひ会場に足を運んでいただき、チームに声援を送ってください。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

助け合いの精神で勝ち切った一戦。レギュラーラウンドの21戦で、確かな自信をつかんだ

ジュースにもつれ込んだ第1セットを取り切ったことが、ストレート勝ちにつながった。しかし、それまで完璧な試合運びを見せていたジェイテクトSTINGSにとって、終盤の戦いは不安を残すものだった。先にセットポイントを奪ったものの、堺のペピチに2本連続でサービスエースを決められた。カジースキのスパイクで再びリードしたが、攻撃に安定感を欠いた。「もつれてしまったのは僕の責任。でも、ミスが出たにもかかわらず、全員がすぐに気持ちを切り替えて戦ってくれた。チームプレー、助け合いの精神で勝てた試合でした」。試合後にこう振り返ったのはセッターの高橋(慎)だ。一人のミスを全員でカバーした。チームスローガンの「ONE」をコートで表現することができた。課題ははっきりしている。1週間後のファイナル6まで、修正する時間は十分にある。レギュラーラウンドの21戦で培った自信がある限り、ジェイテクトSTINGSが大崩れすることはない。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS 堺ブレイザーズ
第1セット 33 - 31
第2セット 25 - 12
第3セット 25 - 20
第4セット
第5セット
日付 2016年2月7日(日)
試合 V・プレミアリーグ第21戦
場所 呉市総合体育館(オークアリーナ)
メンバー カジースキ、金丸、古田、高橋(慎)、高橋(和)、辰巳 L本間
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