ジェイテクトSTINGS VS JTサンダーズ

ブロックが機能して守備が安定。軟打を交えた攻撃で、試合のリズムをつかんだ

 重要な一戦だった。ファイナル6を上位で迎えるためにも、確実に勝ち点を稼いでおく必要があった。ただ勝てばいいという試合ではない。内容が求められた。その一戦で、ジェイテクトSTINGSは躍動した。ホームのJTサンダーズから終始リードを奪い、ストレートで完勝。一人一人が自分の役割を全うし、気迫を前面に出して挑んだ結果だった。

 立ち上がりからジェイテクトSTINGSのペースで試合が進んだ。辰巳の速攻で先制すると、粘り強くつないだボールをカジースキが決めた。リベロの本間を軸に守備も安定し、古田もライトから思い切りのいいスパイクをたたき込んだ。落ち着いた試合運びで、着実に得点を重ねていった。
 8−6でテクニカルタイムアウトを迎えると、直後のプレーで辰巳が会心のブロックを決めた。さらに崩れたボールを、古田がうまく相手のコートに落とした。4連続得点で、10−6とリードを広げた。
 相手のサーブに崩される場面もあったが、この日のジェイテクトSTINGSは大崩れすることがなかった。高橋(慎)が2本連続でブロックポイントを奪った。古田が冷静に得点を重ね、カジースキのブロックポイントで21−19。フェイントで相手を揺さぶっていた古田が、要所で強打をたたき込んだ。ジュースにもつれ込んだが、チームに焦りはない。古田のスパイクで3度目のセットポイントを奪うと、セッターの高橋(慎)はカジースキにトスを託した。粘り強くスパイクを打ち続けてラリーを制し、27−25で第1セットを先取した。

 続く第2セットも、ジェイテクトSTINGSが終始リードした。圧巻だったのがカジースキのサーブだ。5−4の場面で回ってくると、いきなり強烈なサーブを突き刺した。その後もサーブで攻めて、金丸のダイレクトスパイクをお膳立て。自らバックアタックをたたき込むと、この日2本目のサービスエースで9−5とリードを広げた。
 随所でブロックが機能した。高橋(和)が相手のスパイクをブロックで止めた。さらに金丸、辰巳を軸に、ブロックでプレッシャーをかけ続けた。一時は1点差まで詰められたが、古田のスパイクに続いて、高橋(慎)がノータッチエースを決めた。さらに金丸のブロックポイントで22−18。これで勝負あった。ワンポイントで角田、久保山を投入すると、最後はカジースキが決めて第2セットを25−20で奪った。

 アウェイのムードの中、ジェイテクトSTINGSの気迫は衰えることがなかった。第3セットは、古田、辰巳のブロックなどで3点を先制した。カジースキも巧みにフェイントを決めた。セッターの高橋(慎)は抜群のトスワークで、アタッカー陣をリードした。古田がバックライトから決めて、3点のリードで1回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 辰巳のブロックも冴えわたっていた。古田は強打と軟打をうまく使い分けて得点を重ねた。ラリーにも強くなってきた。古田のスパイクで長いラリーを制してブレイクポイント。悪い流れはタイムアウトですぐに断ち切った。中盤で16−15と1点差に詰められるが、カジースキが値千金のサービスエースを決めて突き放した。勝負どころでは、高橋(和)にトスを集めてサイドアウトを切った。相手のスパイクがアウトになってマッチポイント。最後はカジースキが締めくくり、25−21でストレート勝ちを決めた。

 会心の勝利で勝ち点3を積み重ね、順位を3位に上げた。明日はいよいよレギュラーラウンドの最終戦。しかし、4位のパナソニック、5位の堺との勝ち点差はわずかだ。結果しだいで順位が大きく入れ替わる可能性もある。
「緊張はあるが、こういう状況で戦えることに喜びを感じながら、思い残すことなく全力を出し切りたい。スタートのメンバーはもちろん、ベンチメンバー、ベンチ以外の選手、スタッフ含めて、倒れるまで戦います」
 増成監督の言葉にブレはない。レギュラーラウンドの集大成として、総力戦で挑みたいところだ。

増成一志監督

ここ数試合は、ジェイテクトSTINGSらしいバレーができていませんでした。ただ、ブロックの本数やタッチは、データで見ても多くなっていた。その伸びているところをさらに伸ばすために、この1週間、しっかり準備してきました。相手は一人一人に高さがあるが、ブロックのタイミングや位置取りをしっかりして、抜けてくるボールをレシーブでカバーすることができた。こういう勝たなければいけない試合に勝つと、選手またはチームとしても力になります。ファイナル6に向けて、選手一人一人の力が上がっていることを証明することができました。

高橋和人

どのセットも中盤に点差を詰められる場面があったが、コートの中で全員が目と目を合わせて、もう一度ギアを上げて頑張ろうと話すことができました。第1セットは僕の入りとトスが少しズレていたけど、(高橋)慎治さんがうまく修正してくれた。慎治さんとも話をして、第2セット以降は来たトスを高いところでしっかりと打ち切れたと思います。レギュラーラウンドを3位で通過するのと5位で通過するのとではかなりの差がある。3位を死守するためにも、明日の堺戦は気迫を持って勝ちにいきます。

古田史郎

今日はいい意味で力を抜いて、どうやって1点を取るかを考えてプレーできました。苦しい時はフェイントを交えながら効果的に得点が取れたと思います。リードしている時につまらないミスでずるずるいくこともなく、ずばっと切って自分たちのプレーに集中することができた。どのセットにもそういう場面があったが、締めるべきところを締めることができたのが今日の収穫です。明日の堺戦もチームとしてやるべきことをしっかりやり、自分たちでリズムを作っていけるように集中して臨みます。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

サーブで崩されても引きずらなかった。相手のストロングポイントを封じた会心の勝利だ

これまでJTのサーブには幾度となく苦しめられてきた。とくに警戒すべきが、ヴィソットと越川の2人のビッグサーバーだ。確かに今日も崩される場面はあった。そこからの連続失点もあった。しかし、与えたサービスエースは、ヴィソットの1本を含めた3本のみ。守備の要である浅野を欠く中、サーブレシーブの失敗を引きずらなかったことが大きい。チーム全体のサーブレシーブ成功率は55.4パーセントと高くはないが、それほど崩されたイメージは残さなかった。「ライン際に決められてもいい。でも、人と人の間に打たれたサーブは必ず拾いなさい、と指示をしました。実際、ライン際に落とされたボールは1本しかなかった。逆に相手はそこを狙うことにプレッシャーを感じ、ミスにつながっていた」。試合後にこう振り返った増成監督。相手のストロングポイントを封じたうえでの会心の勝利だった。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS JTサンダーズ
第1セット 27 - 25
第2セット 25 - 20
第3セット 25 - 21
第4セット
第5セット
日付 2016年2月6日(土)
試合 V・プレミアリーグ第20戦
場所 呉市総合体育館(オークアリーナ)
メンバー カジースキ、金丸、古田、高橋(慎)、高橋(和)、辰巳 L本間
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