ジェイテクトSTINGS VS FC東京

立ち上がりに浅野が故障離脱。代わって入った高橋(和)をはじめ、全員で勝利をつかみ取った

 試合の入り方は抜群だった。古田のスパイクで先制すると、カジースキがサーブで攻めた。粘り強く相手の攻撃をしのぎ、辰巳の速攻などで4−0。さらに金丸が立て続けにブロックを決めて、9−3とリードを広げる。ジェイテクトSTINGSが完全に試合のイニシアチブを握っていた。
 しかし、アクシデントはあまりにも突然だった。浅野が着地でバランスを崩し、足首を故障。交代を余儀なくされた。
 停滞しそうなチームを救ったのが、代わって入った高橋(和)だ。巧みなスパイクですぐに1点を取り返した。プレーでチームを引っ張った。さらに他のベテランも奮起。金丸が速攻をたたき込んだ。高橋(慎)はサーブで相手を揺さぶり、3連続得点を演出した。
 5点のリードで2回目のテクニカルタイムアウトを迎えると、金丸が3本目のブロックポイントを決めた。これで試合の流れを完全に引き寄せた。高橋(和)、カジースキのサイド陣が安定した活躍を見せ、第1セットを25−16と圧倒した。

 第2セットは奪われたが、続く第3セットはジェイテクトSTINGSが再び息を吹き返した。古田のブロックポイントで反撃ののろしを上げると、カジースキのノータッチエースで連続得点。セッターの高橋(慎)が巧みにトスを散らし、高橋(和)、金丸のスパイクなどで着実に加点する。古田のバックアタックも効果を発揮。11−8とリードを広げた。
 その後もジェイテクトSTINGSの集中力は途切れなかった。高橋(慎)のブロックでブレイクポイントを奪った。カジースキも高い打点から強烈なスパイクをたたき込んだ。ブロックとレシーブの関係も機能し、リベロの本間も高いレシーブ力を発揮した。
 あとは落ち着いてセットを終わらせるだけだった。高橋(和)に代えて角田を投入し、前衛の高さを増した。古田のサービスエースで23−17。金丸のブロックポイントでセットポイントを奪った。最後はカジースキのスパイクで25−18。セットカウント2−1で王手をかけた。

 第4セットを奪えば、勝ち点3を手にすることができた。一進一退の展開から辰巳のブロックポイントで均衡を破った。カジースキのスパイクで長いラリーを制し、16−14で2回目のテクニカルタイムアウトを奪った。さらにカジースキのブロックポイントで17−14。古田、高橋(和)のサイド陣が踏ん張り、辰巳のブロックポイントでマッチポイントを奪った。
 試合の趨勢は決したかに思われた。しかし、ここからが長かった。古田、カジースキのスパイクが立て続けに阻まれた。相手のピンチサーバーに守備を崩されて、最後の1点が決め切れない。勢いに押されて4連続失点。逆転でこのセットを落とし、試合はフルセットにもつれ込んだ。

 ショックを引きずらなかったのがこの日のジェイテクトSTINGSの強さだ。第5セットは立ち上がりに2点を失ったが、古田のスパイク、カジースキのサービスエース、辰巳のブロックで3連続得点。すぐにスコアをひっくり返した。カジースキのバックアタックで5−3とすると、要所で高橋(和)が決めてリードを3点に広げる。
 サイドアウトの応酬になっても、ジェイテクトSTINGSは落ち着いて試合を進めた。一時は3連続失点で1点差まで詰められたが、辰巳がサーブで相手を崩してマッチポイント。最後はカジースキが決めて15−12、フルセットの接戦をものにした。

 貴重な勝利だった。フルセットではあったが、連敗のショックから抜け出すきっかけになった。さらにこのあとに行われた試合の結果によって、ジェイテクトSTINGSのファイナル6進出が決定した。「ファイナルステージのことは考えず、目の前の試合をしっかり戦っていき、ジェイテクトSTINGSのバレーをよりいっそう強くしていきます」。試合後にこう話した増成監督。順位を気にする必要はない。目の前の一戦を全力で戦い、一歩ずつ前進するのみだ。

増成一志監督

連敗した先週の北九州大会は、気迫のあるプレーができませんでした。そこで今週は、気迫のあるジェイテクトSTINGSらしいバレーで粘り強く戦おうと、この1週間しっかりと準備してきました。苦しい場面もありましたが、それぞれの選手が目と目を合わせ、何をしなければいけないかを常に考えてプレーできた。守備の中心である浅野がああいう形で退場したことはかなりの痛手だが、代わって入った高橋(和)が自分の役割を認識してプレーしてくれました。ベテランらしいプレーでチームを救い、それが勝利につながりました。

金丸晃大

先週は2連敗しているので、まずは勝ててホッとしています。負けたセットに関しては、ラリーをものにできなかったことが敗因です。自分たちの粘り強いバレーで切り返せたらよかったけど、それができませんでした。ブロックに関しては、サイド陣がいい位置取りをしてくれているので、そのおかげで僕もタッチやブロックポイントが取れています。サイド陣には本当に感謝しています。一試合一試合を全力で戦うだけ。明日の東レ戦も、挑戦者として全力で挑みます。

辰巳正敏

取られたセットは自分たちにもミスがあり、我慢できなかった部分があります。今日は相手のサーブもよかった。フルセットで勝てたけど、3−0か3−1で勝つのがベストでした。ブロックに関しては、この1週間で対策してきたことがある程度は出せたと思います。ただ、手の出し方やタイミングなど、修正するところはあります。サーブもいい感じで打てたけど、やはりもうちょっと攻めていきたい。この勝利で乗っていけたらいいと思うし、乗っていかないといけません。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

マッチポイントを取りながら第4セットを失セット。勝ち点1を代償に多くを学んだ一戦だった

勝ち点3が取れる試合だった。勝ち点1を失った試合、と言ってもいい。セットカウント2−1で迎えた第4セットも、24−22とマッチポイントを奪っている。あと1点だった。しかし、ラリーの末にカジースキのスパイクが止められ、同点に追いつかれた。代わって入った選手にサービスエースを決められた。大歓声も相手に味方した。4連続失点でこのセットを落とし、試合はフルセットにもつれ込んだ。しかし、第5セットに入っても、チームは崩れなかった。「自分たちがやるべきことは何かを考え、FC東京の攻撃的なバレー以上に攻める気持ちを持って戦おうと言った。それが第5セットは出せました。相手に押されて苦しい場面もあったが、それを何とかトスまでつないで乗り切った。そこが今日はよかったと思います」と増成監督。勝ち点1を代償に、たくさんのことを得た価値ある勝利だった。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS FC東京
第1セット 25 - 16
第2セット 16 - 25
第3セット 25 - 18
第4セット 24 - 26
第5セット 15 - 12
日付 2016年1月30日(土)
試合 V・プレミアリーグ第18戦
場所 墨田区総合体育館
メンバー カジースキ、金丸、古田、高橋(慎)、辰巳、浅野 L本間
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