ジェイテクトSTINGS VS 豊田合成トレフェルサ

僅差で落としたものの、第1セットは古田が活躍。だが、勝負どころで流れを引き寄せられなかった

 お互いの実力に、スコアほどの差はなかった。しかし、今季3度目となる豊田合成トレフェルサとの対戦は、1セットも奪えずストレート負け。第2、3セットにいたっては、わずか16、15点しか取れなかった。レギュラーラウンドは3位につけているが、しかし、チームはまだ何も手にしていない。今日の敗戦をきっかけに、ファイナルステージ進出に向けて新たな一歩を踏み出したい。

 第1セットの前半はジェイテクトSTINGSが走った。気を吐いたのが古田だ。辰巳のワンタッチでつないだボールを相手のコートに突き刺した。さらに気持ちのこもったスパイクで5−6と1点差に迫ると、軟打を織り交ぜながら得点を量産。カジースキのブロックポイントなどで、9−6と先行した。高橋(慎)もサービスエースを決めて、一時は12−8とリードを4点に広げた。
 しかし、中盤は失速した。浅野のスパイクが立て続けにアウトになると、サービスエースを決められて13−13。一方で、チームの気迫は凄まじかった。高橋(慎)のサービスエースで19−18と1点をリードした。リベロの本間も抜群の反応で味方の攻撃を援護した。古田のブロックポイントで粘り強く戦った。しかし、最後は試合巧者の豊田合成に押し切られ、22−25で第1セットを失った。

 ベンチの動きも早かった。第2セットのスタートから高橋(和)を投入した。高橋(慎)がサーブで攻め、カジースキがダイレクトスパイクをたたき込んだ。カジースキがフェイントを相手のコートにポトリと落とし、高橋(和)も持ち前の巧みなスパイクで得点を重ねた。7−8でテクニカルタイムアウトを迎えたが、ここからさらに高橋(和)がサーブで魅せた。空いたコースを突いて、2本連続でサービスエースを奪った。古田も豪快なスパイクで続き、11−8と逆転に成功した。
 しかし、ここで流れをつかめないのが、この日のジェイテクトSTINGSの弱さだ。金丸の速攻がアウトになり、古田のスパイクはネットに引っかかった。カジースキのスパイクも相手のブロックに阻まれた。5連続失点で11−13と再びひっくり返された。辰巳の速攻などでサイドアウトを切るが、終盤は豊田合成の一方的な展開。ジェイテクトSTINGSはこのセットを、16−25の大差で落とした。

 あとがなくなった。技術ではなく、気持ちの問題だった。自分たちのミスから流れを失っていた。「俺たちがやりたいバレーはこんなものか!」。セット間のベンチでは、増成監督の檄が飛んだ。
 しかし、第3セットの立ち上がりも流れに乗れない。サーブレシーブを崩され、1−4となったところで1回目のタイムアウトを消化した。踏ん張ったのが高橋(和)だ。抜群の得点能力と声でチームを引っ張った。カジースキの得点力もようやく戻りはじめてきた。しかし、中盤にサーブレシーブを崩されて4連続失点。ここで増成監督はセッターの久保山を投入し、オポジットの古田を再びコートに戻した。9−17となったところで、カジースキに代えて角田を投入。最後まで気力を振り絞って戦ったが、15−25で敗れた。

 ジェイテクトSTINGSのバレーが出せなかった。スコア以上に厳しい敗戦だ。増成監督は言う。
「けっしてプレーが悪いわけではない。ただし、ミスをしてはいけないところでフェイントにするなど、プレーに迫力がなかった。ミスをするチームは勝てないが、ただし、チームとして守りに入っていた。私たちは挑戦し続けなければいけないチーム。失敗を恐れてプレーするのではなく、気持ちをしっかり持って戦っていきたい」
 明るい材料はある。途中出場の高橋(和)が躍動した。ベテランの奮起に若手が触発されて、チームは明るくなった。レギュラーラウンドは残り4試合。悪いところは出し切った。あとは不屈の精神で這い上がるだけだ。

増成一志監督

レギュラーラウンドも3レグに入り、他のチームは気迫を出してきています。しかし、自分たちはそれに押されてしまった。ジェイテクトSTINGSのバレーが何も出せませんでした。自分たちでプレッシャーを感じてしまっています。自分たちよりも下の順位にいるのは地力のあるチームばかり。勝ち点やファイナル6もプレッシャーになっている。ただし、こういう経験をくり返してチームは強くなっていきます。天皇杯で負けたときの思いをもう一度思い出し、残り4試合を戦っていきたいと思います。

高橋和人

途中からの出場でしたが、やることが明確だったので、それほど難しさは感じませんでした。ドキドキしながら入った割には、落ち着いてプレーできたと思います。ただ、チームの雰囲気が落ちているのは誰の目から見ても明らかだった。そこをどう上げていくかが難しいところでした。もっと選手同士が目を合わせなければいけないし、僕ら途中から入った選手が変えなければいけなかった。気持ちの問題だと思うので、全員で今日の試合を反省して次に臨みます。

久保山尚

第3セットの途中からでしたが、次のセットにつながるように雰囲気を変えられたらと思って入りました。個人的にはこれまで出場機会が少なかったので、監督が思い切って使えるようないいプレーをしたいと思っていました。プレーはもちろんですが、声を出して1点1点を喜び、諦めない気持ちを出していきたい。今回は地元での試合でしたが、お世話になった人に少しは成長した姿を見せられたと思います。次はもっとレベルアップできるように頑張ります。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

強い気持ちが空回りした一戦。今こそプレッシャーを力に変えたい

スキル云々ではなく、気持ちで負けた。もちろん気迫では負けていない。しかし、強い気持ちが空回りした。象徴的だったのが、第2セットの中盤だ。万全の体勢で放った金丸の速攻がアウトになった。古田のスパイクもネットに引っかかった。「決めなければいけない」という心理が、わずかなブレを生んだ。そのあとのカジースキのスパイクも、相手のブロックに阻まれている。ここでの5連続失点をきっかけに、流れは相手のほうへと傾いていった。「どれだけ強い気持ちでバレーができるか。これも若いチームの壁だと思う。長いシーズンの中には、こういう試合もある。残り4試合、気持ちをリセットしてしっかり戦いたい。来週の東京では、ジェイテクトSTINGSのバレーで巻き返します」。試合後の増成監督の言葉だ。今こそ、プレッシャーを力に変えていきたい。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS 豊田合成トレフェルサ
第1セット 22 - 25
第2セット 16 - 25
第3セット 15 - 25
第4セット
第5セット
日付 2016年1月24日(日)
試合 V・プレミアリーグ第17戦
場所 北九州市立総合体育館
メンバー カジースキ、金丸、古田、高橋(慎)、辰巳、浅野 L本間
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