ジェイテクトSTINGS VS パナソニックパンサーズ

途中出場の若山が躍動し、第2セットから本領発揮。ブロックが機能して攻守のリズムをつかんだ

 ウィングアリーナ刈谷がSTINGSホワイトに染まった。今シーズン、最後のホームゲーム。迎え撃つのは、1、2レグは0−3で完敗したパナソニックパンサーズだ。大声援を受けて、チームが一つになった。1セットダウンから3セットを連取して大逆転。貴重な勝ち点3をもぎ取った。

 試合の入り方は悪かった。相手にサーブで攻められて第1セットの立ち上がりに4連続失点を喫した。増成監督は早くも1回目のタイムアウトを要求した。カジースキ、辰巳がサイドアウトを切ったが、スパイクミスが響いて立て続けに失点。パナソニックに終始ペースを握られたまま、17−25でこのセットを落とした。
「自分たちのミスでこういう展開になっているだけだ。やってきたことに自信を持って、目の前の1点を取りにいこう」
 ベンチに引き上げてくる選手に増成監督は言った。これで目の色が変わった。

 第2セットに入って、ようやくエンジンがかかりはじめた。カジースキのスパイク、ブロックで2点を先制した。そこから3連続失点を喫したが、今度はサーブで立て続けに得点を奪った。浅野が確実にサイドアウトを切ると、このセットからオポジットに入った若山が躍動。1回目のテクニカルタイムアウトを8−7で奪った。
 若山が入ったことで攻撃のバリエーションが増えた。気迫のこもったプレーでチームが活気づいた。さらにこの日も、金丸、辰巳を軸にブロックが冴えていた。辰巳のブロックでブレイクポイントを奪うと、カジースキのサービスエースで13−10。ブロックが機能したことで、リベロの本間を軸とした守備も安定感を取り戻した。
 しかし、相手は試合巧者のパナソニック。浅野のバックアタックで18−18と追いついたものの、そこから4連続失点を喫した。2度のタイムアウトも使いきった。あとがなくなった。
 救ったのは角田、そして、若山だ。辰巳のブロックでブレイクポイントを奪うと、ここでコートに入った角田が相手のスパイクをシャットアウト。さらに角田が相手のコートにフェイントをポトリと落として22−22の同点に追いつく。若山のブロックポイントでついに逆転に成功した。
 23−23からカジースキが決めてセットポイント。最後は浅野が上げた二段トスを若山が渾身の力で打ち抜いた。25−23でこのセット奪ったジェイテクトSTINGSが、セットカウントを1−1のタイに戻した。

 第3セットもジェイテクトSTINGSのブロックが機能した。過去の戦いでは翻弄されたパナソニックの速い攻撃にもしっかりと対応した。「ビデオを何度も見て、年明けからブロックの練習をしてきた。その成果が第2セット以降に表れた」と増成監督。金丸の2本のブロックポイントを含め、4連続得点で8−6とリードを広げた。辰巳もブロックで得点を奪った。
 ブロックがチームに粘りを呼び込んだ。浅野のスパイクで長いラリーを制した。圧巻は終盤だ。金丸がブロックポイントを奪うと、カジースキの3連続得点で19−18と逆転した。カジースキが技ありのスパイクを決め、辰巳のブロックポイントで22−19。浅野のスパイクでセットポイントを奪い、最後は若山が決めて王手をかけた。

 体育館に一体感が生まれた。イニシアチブは完全にジェイテクトSTINGSが握っていた。カジースキの3連続得点に加え、辰巳のブロックポイントで4−0。若山のスパイク、金丸の速攻などで確実にサイドアウトを切った。相手に傾きかけた嫌な流れも、タイムアウトで断ち切った。
 15−14と1点差に迫られたところで、オポジットを若山から清野にスイッチ。フレッシュな清野がスパイクを決めて、連続失点を4で食い止めた。セッター高橋(慎)のトスワークも機能した。大事な場面で清野に託し、確実に得点を積み重ねた。清野が決めてマッチポイントを奪うと、最後は金丸のブロックで25−23。熱戦に終止符を打った。

 勝ち点3を上積みし、パナソニックを抜いて3位に浮上した。1、2レグのストレート負けを払拭する会心の勝利だった。しかし、チームに慢心はない。「次の試合に向けてしっかり準備し、そして勝っていく。その結果が、ファイナル6につながる。ジェイテクトSTINGSのバレーができるように、常に強い気持ちを持って一戦必勝で戦っていきます」と増成監督。チームスローガンの「ONE」の通り、今、チームは一つになった。ジェイテクトSTINGSの快進撃がはじまるのはこれからだ。

増成一志監督

相手は速い攻撃が持ち味で、1、2レグは自分たちの力を出させてもらえませんでした。その中で、今日の試合に向けて、タイミングよくブロックを跳ぶことを練習で取り組んできました。年明けからやってきたことが、第2セット以降は出せたと思います。また、途中から入った若山はミスが少なく、ここからファイナルに向けて必ず必要になる選手。今日も彼が第2セット以降のチームをうまくまとめてくれました。ミスの少ないバレーに持っていくことができたと思います。たくさんの声援、ありがとうございました。

若山智昭

年末年始の厳しい練習もあり、もう一度、自分たちのバレーをしようと取り組んできました。試合前には監督から「気迫を持ってプレーしよう」と言われており、その通りのプレーができたと思います。準備してきたディフェンスも機能し、それが結果に結びつきました。自分の役割はチームを盛り上げること。すごいプレーはできませんが、自分ができるプレーを確実に行うことを意識しています。緊張はしましたが、セッターの(高橋)慎治さんもいいところで使ってくれたので、すぐに試合に慣れることができました。

マテイ・カジースキ

まずは結果が出たことをうれしく思います。第1セットの出だしはよくなかったが、第2セットからは自分たちのバレーができました。チームが最後まで諦めずに戦えたことが、今日の勝利につながったと思います。ディフェンスを固めることもできました。サーブは状況に応じて考え方が変わってきます。セットカウント、あるいは序盤か終盤かでも違ってくる。ただし、ジェイテクトSTINGSはサーブで攻めて相手を崩すバレーに取り組んできました。そういう意味でも、今日はサーブが機能してよかったです。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

ブロックが機能してラリーを奪った。強い気持ちが呼び込んだ価値ある勝利

第3セット、2回目のテクニカルタイムアウトが明けたあとのプレーだった。スコアは14−16。相手のスパイクを4度もしのいだ。長いラリーを浅野のスパイクで制し、1点差に迫った。もしもここで失点していたら、ビハインドは3点に広がっていた。セット終盤の巻き返しも、あるいは逆転勝ちもなかったかもしれない。それくらい大きな大きな1点だった。この日のジェイテクトSTINGSは、何度もラリーを奪った。一つの要因がブロックである。相手の速い攻撃からワンタッチを取ることで、後ろで守る選手の負担をやわらげた。気持ちの面も忘れてはいけない。増成監督は選手たちにこう言ったという。「一人でもサボったら勝てない。全員が一つのボールに必死になって追いかけないといけない」。泥臭く、必死にボールを追いかけてつかんだ、価値ある勝利だった。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS パナソニックパンサーズ
第1セット 17 - 25
第2セット 25 - 23
第3セット 25 - 21
第4セット 25 - 23
第5セット
日付 2016年1月16日(土)
試合 V・プレミアリーグ第15戦
場所 刈谷市総合運動公園体育館(ウィングアリーナ刈谷)
メンバー カジースキ、金丸、古田、高橋(慎)、辰巳、浅野 L本間
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