ジェイテクトSTINGS VS 東海大学

守備でリズムをつかめず、先に2セットを失う。第3セットに反撃するが、勢いで押し切られた

 天皇杯のファイナルラウンドが幕を開けた。初戦の相手は、1回戦で創造学園高等学校にストレート勝ちした東海大学。ジェイテクトSTINGSにとっては、内容がともなった勝利で弾みをつけたいところだった。しかし、一発勝負のトーナメントの怖さが如実に表れた。試合は序盤から、まさかの展開になった。

 立ち上がりのペースをつかんだのは、東海大のほうだった。ジェイテクトSTINGSは6−4から同点に追いつかれたところで、さらに2本のサービスエースを続けて決められる。これで流れは完全に東海大へと傾いていった。
 ジェイテクトSTINGSはカジースキが巧みにブロックアウトを決めるが、なかなか連続得点が奪えない。古田のスパイクも、相手のブロックに封じ込まれた。15−17から3点を連続で奪われると、そこから1点ずつ取り合う展開。最後は20−25でこのセットを失った。

 続く第2セット、ジェイテクトSTINGSはスタートから浅野に代えて高橋(和)を投入した。カジースキがサーブで攻め、高橋(和)が決めてブレイク。廣瀬のブロックなどで7−6と1点差をキープした。しかし、相手にサービスエースを決められて3連続失点。古田、カジースキの活躍で再び逆転するが、そのあとが続かない。14−14の場面でサービスエースを決められると、1点のビハインドで2回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 さらにブレイクポイントを奪われて16−19となったところで増成監督は1回目のタイムアウトを要求。気持ちを切らすことなく、最後まで粘り強く戦った。20−23の場面では、古田が足でつないだボールが直接得点になった。21−23と2点差まで詰め寄った。逆転の可能性も残されていた。守備では、リベロを本間から興梠にスイッチして立て直しを図っていた。しかし、最後までペースをつかめず22−25でこのセットを失った。

 2セットを失って、あとがなくなった。チームに焦りが生まれた。しかし、その焦りがチームに息を吹き込んだ。選手の目の色が変わった。何より、こんなところで負けるわけにはいかなかった。7−8から廣瀬の速攻、古田のブロックで逆転に成功した。さらに古田がサーブで攻めて4連続得点。ようやくジェイテクトSTINGSが本来の姿を取り戻した。
 一進一退の中盤も、セッターの高橋(慎)が巧みにトスを散らして確実にサイドアウトを切った。廣瀬、辰巳のセンター線も機能した。角田、久保山の二枚替えでペースをつかんだ。古田が決めてセットポイント。ここから3連続失点を喫したが、最後はカジースキが決めて25−22。ようやく第3セットを取り返した。

 しかし、ジェイテクトSTINGSの反撃もここまで。第4セットは、再び東海大に攻め込まれた。立ち上がりはカジースキにトスを集めて得点を重ねたが、相手のサーブに揺さぶられて3連続失点。廣瀬のブロック、高橋(和)のスパイクなどで追い上げたが、2回目の3連続失点で6−11。ここで増成監督は早くも2度目のタイムアウトを消化した。
 浅野が再びコートに戻ったが、一度失った流れは取り戻せなかった。終盤には3回目の3連続失点で11−19となった。古田が豪快なスパイクをたたき込んで意地を見せた。諦めない姿勢は示した。しかし、序盤に開いた点差はあまりにも大きく、18−25で敗れた。

 悔しい敗戦だ。東海大は、前日に1試合を経験していた。ジェイテクトSTINGSにとっては初戦の難しさがあった。しかし、増成監督は言う。「何を言っても言い訳になる。この敗戦は重く受け止めないといけない。応援に来てくれた皆さん、期待してくれた皆さんに対して、本当に申し訳ない試合をしてしまった」。この試合で、年内の公式戦はすべて終了した。次は来年の1月9日に行われる豊田合成戦だ。今日の悔しさは、ここで晴らすしかない。

増成一志監督

東海大はサーブで攻めて思い切りプレーしようという意識があったと思います。自分たちはそれを受けてしまい、得点をひっくり返すことができなかった。また、相手がどういう攻撃をしてくるかもわからず、ミスを待っていたところがある。私にも経験がありますが、大学生に負ける典型的なパターンでした。絶対に油断してはいけないと言っていたが、ラリーを取れなかったことで相手を勢いづかせてしまった。この敗戦を払拭するには、練習しかない。もう一度しっかりとコンディションを整え、一から立て直します。

高橋慎治

先週のパナソニック戦で1点の重みを感じたが、そのあとの練習で修正し切れませんでした。今日も連続失点をして、ようやく切れたと思っても、また連続失点で相手に勢いを与えるケースがあった。そこがまだチームとして弱いところだと思います。来年に向けて、すべてを修正しなければいけません。プレーもそうだし、気持ちもそう。そうしなければ、年明けの試合で同じことが起こります。チームとしても、練習での取り組みから変えていきたい。すべての意識を一人一人が変えていきたいと思います。

廣瀬優希

相手が大学生ということで、油断した部分があったかもしれません。第1セットを取られてみんなで気持ちを入れ直したが、リズムを取り戻すことができませんでした。個人的なパフォーマンスは悪くなかったけど、満足はしていません。サーブも最初は攻めていこうと思っていたけど、うまく機能しなかった。先週のパナソニック戦のあと、みんながムードを変えようと思ってやってきた。個人的な修正点はすべてです。年が明けたら新たな気持ちで、また一から頑張ります。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

ブロックとレシーブの関係が機能せず、ラリーで勢いをつかめなかった

ラリーを取れなかったのが敗因の一つだ。とくにブロックとレシーブの関係が機能しなかった。高橋(慎)は言う。「レシーブの決まり事ができていなかった。そのため、ブロックを抜けたあとも簡単に決められてしまった。ラリーを取り切るレシーブ力もブロック力もうちにはなかった」。逆にジェイテクトSTINGSの攻撃は、ことごとく東海大の壁に封じ込められた。その結果、ラリーを制した東海大に、最後まで勢いで押し切られた。天皇杯は早めの幕切れとなったが、その分だけチームを再構築する時間が増えたと思えばいい。年明けの豊田合成戦まで3週間。修正する時間は十分に残されている。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS 東海大学
第1セット 20 - 25
第2セット 22 - 25
第3セット 25 - 22
第4セット 18 - 25
第5セット
日付 2015年12月19日(土)
試合 平成27年度 天皇杯・皇后杯 全日本バレーボール選手権大会
場所 東京体育館
メンバー カジースキ、古田、高橋(慎)、辰巳、浅野、廣瀬 L本間
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