ジェイテクトSTINGS VS JTサンダーズ

勝負の分かれ目は、第3セットの中盤。カジースキがサーブで攻めて、試合の流れを引き寄せる

 立ち上がりは古田が躍動した。ライトから強烈なスパイクを立て続けに決めると、ノータッチエースで3点目。一気に流れを引き寄せた。廣瀬もネット際で高さを発揮し、速攻とブロックで連続得点を奪う。12−11の場面では、浅野がレシーブしたボールがそのまま相手コートにポトリ。リードを2点に広げた。
 一時は逆転を許したが、辰巳の速攻や浅野のスパイクで再び先行した。廣瀬のブロック、浅野のサービスエースなどで3連続得点を奪い19−16。セット中盤からさらにたたみかけるジェイテクトSTINGSは、代わって入った高橋(和)がサーブで攻める意志を見せた。
 カジースキ、古田が強烈なスパイクをたたき込み、4連続得点で完全にイニシアチブを握った。嫌な流れは、早めのタイムアウトで断ち切った。最後は古田がライトから決めて、25−20で幸先よく第1セットを先取した。

 続く第2セットは奪われたが、内容が悪かったわけではない。しかし、第3セットの途中までは我慢を強いられた。セッターの高橋(慎)は巧みにトスを散らした。カジースキ、浅野のサイド陣が粘り強くサイドアウトを切るが、追いかける展開が続く。3点のビハインドで1回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。廣瀬の速攻が効果的に決まった。要所で古田も強打をたたき込んだ。追いつくかに思われたが、すぐに突き放された。9−13とビハインドは4点に広がった。嫌なムードがコートの上を支配した。
 チームを救ったのはカジースキだ。強烈なジャンプサーブを次々と相手コートに突き刺した。4本のサービスエースを含む6連続得点。一気に試合をひっくり返した。エースの攻めるプレーに、全員が刺激された。乱れたボールを浅野が確実に決めた。廣瀬のブロックでブレイクポイントを奪った。
 21−18となったところで、JTサンダーズは2度のタイムアウトを消化。あとは落ち着いて試合を進めるだけだった。角田、久保山を二枚替えで投入するなど、ベンチワークも機能した。浅野にトスを集めて確実にサイドアウトを切り、25−22でジェイテクトSTINGSが勝利に王手をかけた。

 第4セットは廣瀬の速攻で幕を開けた。サービスエースも決めて2点を先取した。辰巳の速攻などで一進一退の展開に持ち込むと、カジースキがブロックでブレイク。8−6とリードを広げた。
 テクニカルタイムアウトが明けると連続失点を喫したが、ジェイテクトSTINGSは慌てない。リベロの本間は、声でチームの守備を支えた。廣瀬、カジースキが続けて決めて再びリード。相手のミスもあり、16−14で2回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 古田、カジースキのサイド陣が得点を稼いだ。大事な場面で辰巳がブロックポイントを決めた。STINGSホワイトに染まったスタンドが歓喜に沸いた。カジースキのサーブレシーブから浅野が決めて22−19。古田のスパイクでマッチポイントを奪うと、廣瀬の速攻で試合を締めくくった。

 ホームゲームで2連勝し、勝ち点6を上積みした。大歓声の後押しを受けて、最高の戦いを披露した。チームは間違いなく、上昇気運に乗っている。しかし、レギュラーラウンドはまだ折り返しに差しかかったばかりだ。強敵との戦いはこれからも続く。
「ベテラン、中堅、若手が融合したことが今日の勝利につながった。これからも、伝統のある強いチームはプレッシャーをかけてくる。それを受け止めるには、気迫のあるプレーが大事。今日は廣瀬がネット越しにオーラを出してくれた。しっかり準備して目の前の試合を戦っていきたい」
 試合後にこう話し、さらに気を引き締めた増成監督。その視線は、早くも来週の大阪大会に向けられていた。

増成一志監督

前年度の王者から勝ち点3を取ることができ、選手たちに感謝しています。ホームゲームということで、たくさんの声援も力になりました。今日はいいリズムで戦うことができたが、とくに第3セットのリードされた場面でも、チャンスをうかがいながら我慢して、カジースキにサーブが回ってきたときに抜け出すことができた。チャンスをものにできたことがうれしいし、一つ一つのプレーの質もよかった。今はジェイテクトSTINGSが変わるチャンス。これからも18点以降の戦い方を意識し、いいバレーを続けていきたいと思います。

マテイ・カジースキ

相手は最後まで粘り強く戦ってきた。素晴らしいチームでした。ファンの方にとっては素晴らしい試合だったと思うし、もっとも大事だった勝ち点3を取ることができてうれしい。とくに第2セットを相手に与えて苦しい状況になったが、第3セットに巻き返す力があったことが勝因だと思う。その第3セットは、相手の流れになっていたこともあり、リスクを負ってでも強いサーブを入れなければいけませんでした。運もあったけど、あのサーブは試合全体のキーポイントになった。ただし、ここで満足してはいけません。反省点もあるので、練習でしっかりと修正したいと思います。

古田史郎

ホームゲームということで、たくさんの応援がとても励みになりました。ありがとうございました。皆さんの力で、チームは気持ちと技術がかみ合った試合ができました。とくに第3セットの中盤に、(カジースキ)マテイがサーブで攻めて、試合をひっくり返すことができた。この1週間、チームは中盤から終盤の失点を防ぐ練習に取り組んできましたが、その成果がはっきりと表れました。選手一人一人が、一本一本に集中しながらプレーしていました。これを継続していくことで、チームはさらにいい方向に進んでいきます。これからも勝ち続けられるように頑張ります。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

リスクを負ったサーブで、攻める意志を示した。カジースキを中心に、チームは成長している

カジースキのサーブが試合の流れを変えた。第3セットの中盤である。10−13の場面でサーブが回ってくると、強烈なサーブを次々とたたき込んだ。実に4本のサービスエースを決め、スコアボードの数字を一気にひっくり返した。特筆すべきは、すべてのサーブが強打だったことだ。「緩いサーブを入れることは完全に考えていなかった。強いサーブを入れることしか考えていなかった。3点のビハインドがあったので、リスクを負ってでも強いサーブを入れる必要があった」とカジースキ。その後も他の選手のサーブが効果的だったのは、間違いなくカジースキの強烈なサーブがあったからだ。相手に強いサーブのイメージを植え付けた。チームはこの1週間、セットの中盤以降の得点の取り方を集中して取り組んできた。カジースキの経験がこの試合でも生きた。カジースキを中心に、チームは大きく成長しようとしている。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS JTサンダーズ
第1セット 25 - 20
第2セット 20 - 25
第3セット 25 - 22
第4セット 25 - 22
第5セット
日付 2015年12月6日(日)
試合 V・プレミアリーグ第10戦
場所 岡崎中央総合公園総合体育館
メンバー カジースキ、古田、高橋(慎)、辰巳、浅野、廣瀬 L本間
Photo