ジェイテクトSTINGS VS FC東京

カジースキ、古田が高い決定率で得点を量産。安定した守備で、FC東京の攻撃をしのぎ切る

 慎重な入り方だった。長いラリーから始まった第1セット、ジェイテクトSTINGSはポイントゲッターのカジースキ、古田にトスを集めて得点を重ねた。均衡を破ったのは、浅野のブロックだ。7−6から浅野の連続ブロックポイントで、9−6とリードを広げる。廣瀬の速攻も効果的に決まって点差をキープ。リベロ本間を軸に守備が安定すると、カジースキのスパイクで15−12。3点のリードで2回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 しかし、今日のジェイテクトSTINGSは、ここから抜け出せなかった。粘り強くサイドアウトを切るものの、なかなか連続得点が奪えない。角田、久保山がコートに入るが、21−20と1点差になったところで増成監督は1回目のタイムアウトを要求する。これで嫌な流れを断ち切ると、代わって入った高橋(和)がサーブで攻めて23−20。高橋(慎)のフェイントでセットポイントを奪い、最後はカジースキが決めて25−22で第1セットを先取した。

 幸先のいいスタートを切ったジェイテクトSTINGSだが、ゲームの主導権まで握ったわけではなかった。第2セットの序盤も一進一退。躍動したのが、辰巳、廣瀬の両ミドルブロッカーだ。辰巳のブロックでブレイクポイントを奪った。廣瀬の速攻で6−4。高橋(慎)のノータッチエースで8点目を奪うと、浅野のスパイクで9−5とリードを広げた。
 高橋(慎)のトスワークも冴え、辰巳が立て続けに速攻を決めた。古田の強打で15−11。しかし、ジェイテクトSTINGSはここでも流れをつかみ切れない。3連続失点で16−15と1点差まで詰め寄られた。
 嫌な流れを払拭したのが廣瀬のサービスエースだ。さらにカジースキがブロックポイントで続いた。これで20−16。再び2点差に縮められたが、古田のスパイクでブレイクポイントを奪うと、辰巳が決めてセットポイント。ジェイテクトSTINGSが第2セットを25−22で奪った。

 第3セットも拮抗した展開が続いた。ジェイテクトSTINGSはカジースキが高い打点から立て続けにスパイクをたたき込んだ。廣瀬のブロックポイントで均衡を破った。カジースキにボールを集め、2点のリードで2回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 この日は浅野が攻守にわたって安定していた。スパイクの本数こそ少なかったが、サーブレシーブは76.2パーセントの成功率を残した。ブロックでも2点を奪っている。「去年までは出だしでミスが出ると、すぐに集中力が切れてしまうことがあった。今は得点を決めてくれる人がたくさんいるので、全日本のように守備に徹する形で切り替えることができた」と浅野。20点目のスパイクを決めて、チームを勢いづけた。廣瀬のスパイクでマッチポイント。カジースキが決めて25−20で試合を締めくくった。
「選手たちが力をつけたことが、2連勝につながった。これから勝ち続けるためにも、ここが勝負どころだと思って明日からの試合に臨みたい。ケガ人もいるが、代わって入った選手がコートの上でしっかりと補ってくれている」
 試合後にこう語った増成監督。3ポイントを上積みし、順位を3位に上げた。明日は、1レグでフルセットの末に負けたJTと対戦する。ジェイテクトSTINGSにとっては、ここからがいよいよ正念場だ。

増成一志監督

先週の東レ戦に勝って少し勢いがついたところはあるが、2レグは中間地点で今後を左右する一番大事なところ。その意味で、各セットの中盤から25点までをどう進めていくかを、この1週間で練習してきました。相手も開幕戦に比べると手強くなっています。そういうところで選手一人一人が集中してプレーしなければ、勝利を重ねることはできません。明日も強い気持ちと気迫を持って臨みます。

辰巳正敏

相手は開幕戦に比べて調子を上げていたので、タフな試合になると思っていました。ホームゲームで、たくさんの声援が力になりました。ただ、職場の人も来ていたので、欲を言えばもっといいプレーを見せたかったです。(センター対角の)廣瀬がのびのびとプレーしてくれているので、それに負けないようにやっています。ストレートで勝てたことはよかったが、反省点も出たので切り替えて頑張ります。

浅野博亮

ストレートで勝てたけど、内容を見るとあまりいい雰囲気ではありませんでした。勝っているのに気持ちで押され、苦しい3セットでした。チームが乗らないときにどうやって勝っていくかをしっかり考えなければいけません。個人的には、たくさんの声援にも緊張することなく、応援を力に変えることができました。応援の力で勝つことができたと思います。また一つ、成長できた試合になりました。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

断ち切れない重いムード。中盤以降の試合運びが今後の課題

各セットの中盤、拮抗した展開から抜け出せそうなところでなかなか抜けられなかった。スパイクが決まらないわけではない。セッターの高橋(慎)は巧みにトスを散らしていたし、速攻も高い確率で決まっていた。だが、どこか重苦しいムードがコートの中を漂っていた。増成監督は言う。「18点以降の連続失点は命取りになることがある。たとえば、19−17から1点を取って20−17にするのと、失点して19−18と1点差に縮まるのとではまったく違う。今日はいいプレーもあったが、サーブミスも多く、一つ一つのボールコントロールが少しズレていた。もう少ししっかりボールコントロールすることで、速攻やコンビネーションの精度が上げられると思う」。スパイクまでの過程をもっとシビアに考えるべき、というのが指揮官の考え方だ。レギュラーラウンドも中盤にさしかかろうとしている。ここで試合の運び方を追求していくことがファイナル6、ひいてはファイナルにつながっていく。混戦が続く今シーズンのV・プレミアリーグだが、ジェイテクトSTINGSは間違いなく正しい方向に進んでいる。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS FC東京
第1セット 25 - 22
第2セット 25 - 22
第3セット 25 - 20
第4セット
第5セット
日付 2015年12月5日(土)
試合 V・プレミアリーグ第9戦
場所 岡崎中央総合公園総合体育館
メンバー カジースキ、古田、高橋(慎)、辰巳、浅野、廣瀬 L本間
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