ジェイテクトSTINGS VS 東レアローズ

東レの粘りに苦しみ第2、3セットを奪われるも、途中から入った選手が立て直して接戦をものにした

 重要な一戦だった。1レグを終えて、ジェイテクトSTINGSは勝ち点10で5位。しかし、他チームとの勝ち点に大きな差はなく、大混戦の様相を呈している。一戦ごとに順位が大きく入れ替わるのが、今シーズンのV・プレミアリーグだ。今日の相手は勝ち点12で3位の東レアローズ。絶対に負けるわけにはいかなかった。

 立ち上がりは両者の意地が激しくぶつかり合った。一進一退の展開。ジェイテクトSTINGSが1点を追いかけていたが、袴谷がサーブで攻めてブレイクポイントを奪取。8−7で1回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 さらに古田、浅野のスパイクで着実に得点を積み重ねた。高橋(慎)がサーブで相手を揺さぶると、カジースキのスパイクなどで16−12。本間を軸に守備も機能し、相手のスパイクを粘り強く拾う。古田のスパイクでラリーを制し、18−12と点差を広げた。
 セッターの高橋(慎)が落ち着いたトスワークを見せ、東レのブロックを翻弄した。カジースキのスパイク、辰巳のブロックで23−18。3連続失点で2点差まで詰められるが、粘り強い東レの攻撃をしのぎ切って25−22で先取した。

 幸先のいいスタートを切ったジェイテクトSTINGSだが、続く第2、3セットを奪われた。明るい材料は、ルーキーの廣瀬が第2セットの途中からコートに入り、公式戦デビューを果たしたことだ。
 第3セットに入っても、試合の流れは依然として東レが握っていた。序盤はジェイテクトSTINGSがリードを広げた。高橋(和)、清野がコートに入ったことも功を奏した。高橋(慎)のサービスエースでその差は5点に広がった。しかし、サーブレシーブのミスが響いて4連続失点。終盤は東レの粘りが勝り、清野、カジースキ、高橋(和)が立て続けに止められた。これで15−17と逆転を許した。粘り強くサイドアウトを切ったが、再び点差をひっくり返すことはできなかった。

 セットカウント1−2。暗いムードを打ち破ったのは、途中からコートに入った選手だ。第4セットは清野のスパイクで先制した。高橋(和)のバックアタックでブレイクポイント。廣瀬が値千金のブロックを決めた。カジースキのスパイクも決まり、5−0と先手を取った。さらに辰巳のブロック、廣瀬のサービスエースで4連続得点。9−1とジェイテクトSTINGSが優位に立った。
 東レの粘りも凄まじかった。清野、高橋(和)のスパイクが立て続けに止められて12−12の同点に追いつかれた。しかし、この日のジェイテクトSTINGSは崩れない。廣瀬のブロックポイントで14−12と再びリードを広げた。一度は逆転を許したが、カジースキのスパイク、辰巳のブロックなどで3連続得点を奪った。
 終盤は廣瀬の独壇場だった。廣瀬のブロックポイントで22−20とすると、速攻をたたき込んで23点目。最後は清野のブロックが決まり25−23。勝敗の行方を最終セットに持ち込んだ。

 第5セットはカジースキにボールを集めて先行した。カジースキの3連続得点などで4−0。清野がサービスエースを決めて、7−2と突き放した。廣瀬のブロックポイントなどで3連続得点。勝負どころではカジースキが踏ん張った。最後まで攻撃の手を緩めなかったジェイテクトSTINGSが15−9でこのセットを奪い、フルセットの接戦をものにした。
 2レグのスタートを勝利で飾った。勝ち点12で4位に浮上した。「混戦を抜け出すには正確なプレーが必要だが、それをコントロールする気迫も重要になる。1レグの苦い思いをしっかり修正して、2レグに臨みたい」と増成監督。順位に目を向けると、4勝4敗に4チームが並んでいる。来週はいよいよ今シーズン二度目のホームゲーム。2連勝で混戦から抜け出したいところだ。

増成一志監督

これから白星を重ねていくためには、スタートから出た選手に控えの選手をうまくミックスしながら戦っていかなければいけません。今までは第2、3セットの入りが悪くてもそのまま選手を固定して巻き返しを図っていたが、これからは控えの選手を投入してリズムを取り戻すことが大事になる。その中で、今日は高橋(和)や清野、そして廣瀬が緊迫した流れの中で自分のプレーを出してくれました。一人一人が自信を持って戦い、セットカウント1−2からでも全員が自分の役割を果たせば巻き返せることがわかった。練習で課題を修正し、もう一度、足元を固めて次へステップしていきたいと思います。

マテイ・カジースキ

東レは粘り強いチームで、厳しい試合になるのはわかっていました。ただ、前回はセットカウント2−0から追いつかれたが、今日は1−2から逆転できたのでうれしい。第5セットは、どうしてもこの試合に勝ちたいという気持ちで戦っていました。相手も素晴らしいバレーをしてきましたが、最終的に勝ててよかったです。今のジェイテクトSTINGSの課題は連続失点が多いこと。今日も大量にリードしていながら逆転されることがありました。トップのチームと戦うためにも、そういうところを修正していきたいと思います。

廣瀬優希

コートに入った最初の第2、3セットは、緊張して何をやっているのか自分でもわからなかったです。サーブを打つときもすごく緊張しました。でも、第3セットが終わったあたりで、(高橋)慎治さんや辰巳さんに「思い切りやれ」と言われました。それでいいように緊張が取れていきました。自己評価するなら今日は60点。1本はサービスエースを奪ったけど、他のサーブがダメでした。今日のようなプレーができれば今後も試合に出るチャンスはあると思うので、練習から頑張ってやっていきたいと思います。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

逆境にも崩れなかったジェイテクトSTINGS。「自分が決めるんだ」という強い意志で踏ん張った

途中から入った選手が流れを変えた。第2セットの途中から入った高橋(和)はサーブレシーブに安定感を生んだ。第3セットの序盤で古田に代わった清野は、思い切りのあるスパイクで得点を量産した。何より、この日がデビュー戦だった廣瀬の活躍が大きい。第2セットの終盤、袴谷に代わってコートに立った。最初のサーブはアウトになったが、大きな声でコートを駆け回ってチームを盛り上げた。「一人一人がリーダーになるつもりでプレーしなければいけない。まずは自分が決めるんだという強い意志を持つことが大事。そういう気持ちを前面に出すことで、チームも踏ん張るバレーができるんだ」。増成監督は今週、選手にこう伝えてきたという。その言葉どおり、苦しい場面でも全員が踏ん張った。セットカウント1−2から勝ち切った今日のゲームは、手にした勝ち点以上に価値のあるものだった。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS 東レアローズ
第1セット 25 - 22
第2セット 22 - 25
第3セット 22 - 25
第4セット 25 - 23
第5セット 15 - 9
日付 2015年11月29日(日)
試合 V・プレミアリーグ第8戦
場所 三島市民体育館
メンバー カジースキ、古田、高橋(慎)、辰巳、袴谷、浅野 L本間
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