ジェイテクトSTINGS VS 豊田合成トレフェルサ

内定選手の小林、藤中がスタメン。西田の活躍などで第1セットを先取するが、第2セット以降は勝負どころの1点が取れず逆転負けを喫した

 昨年の10月27日に幕を開けたV1リーグも、いよいよレギュラーラウンドの最終戦を迎えた。前日の結果によって、ジェイテクトSTINGSの7位は確定していた。しかし、今日の一戦は、単なる消化試合ではない。チームにとっては集大成である。5月から始まる黒鷲旗、そして、来シーズン以降の戦いへ――。チームの未来を切り拓く一戦だ。

 高橋監督はセッターの小林をスタメンに抜擢。同じ内定選手であるリベロの藤中も、興梠と入れ替わりでコートに立った。今シーズン初めての布陣は、組織的な守備を敷く豊田合成トレフェルサを揺さぶるのに十分だった。
 ブラトエフのサーブで始まった第1セット、ジェイテクトSTINGSが先に8点を奪う。攻撃の中心になったのが西田だ。さらに西田はサーブでも攻めた。相手のレセプションを崩し、小林のブロック、秦の速攻などで4連続得点。7−5の場面では秦のサービスエースでブレイクポイントを奪った。
 その後もジェイテクトSTINGSの勢いは止まらない。ブラトエフのスパイク、浅野のバックアタックも機能。守備ではレセプションで入った興梠、ディグで入った藤中の両リベロが立ちはだかった。大事な場面で小林がブロックを決めて13−10。さらに浅野が1枚で相手のスパイクをシャットアウトする。ブラトエフが決めて、3点のリードで2回目のテクニカルタイムアウトを奪った。
 金丸の速攻が決まって17−13となったところで豊田合成はタイムアウトを要求。しかし、攻撃の手を緩めないジェイテクトSTINGSが西田のバックアタックなどで畳み掛ける。
 終盤は激しい点の取り合いになった。安定感を発揮したのが秦だ。確実に決めて24−20とセットポイント。ブレイクされてもタイムアウトで流れを変えた。最後は相手のサーブがミスになり、ジェイテクトSTINGSが25−17で第1セットを先取した。

 第2セットはジェイテクトSTINGSの粘り強さが出た。立ち上がりは、豊田合成にリードを許した。浅野、ブラトエフのスパイクでサイドアウトを切るが、3−3から3連続失点。サーブレシーブの乱れを相手に突かれた形だ。それでも、サーブレシーブを正確に返せば、攻撃のバリエーションが広がる。西田、秦のスパイクで得点を重ね、3点のビハインドで1回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 しかし、ブラトエフがサーブで狙われて、ここから3連続失点。浅野がカバーに入ったものの、5−11と点差は大きく広がっていた。
 ベンチの動きは早かった。ブラトエフに代えて郡を投入。西田にトスを集め、3点差に詰め寄った。金丸も速攻で援護射撃。さらに秦のブロックでサイドアウトを切ると、西田が2本連続でサービスエースをたたき込んでビハインドを2点差まで縮めた。
 ここで存在感を発揮したのが秦だ。スパイク、ブロックで連続得点。ついに1点差まで迫ったのだ。
 再び点差が広がったが、15−19でタイムアウトを取ったあとからジェイテクトSTINGSの反撃が始まる。小林と西田のコンビネーションが光った。西田が一人で3連続得点。郡も続いた。19−19。同点に追いついた。
 ここから両チームが1点ずつを奪い合う。ジェイテクトSTINGSは浅野のスパイクでラリーを制してブレイク。22−21と逆転に成功した。リリーフサーバーの松原の投入も功を奏した。
 先にセットポイントを奪ったのはジェイテクトSTINGSだ。郡が決めて24−23。しかし、試合巧者の豊田合成に2度のセットポイントを凌がれた。最後はサーブレシーブを崩された。25−27で失セット。セットカウント1−1となり、試合は振り出しに戻った。

 第3セットは一進一退。ジェイテクトSTINGSはブラトエフをコートに戻し、攻撃の厚みを増した。セッターの小林はサイドにトスを散らして得点を重ねる。金丸のスパイクがアウトになり2点のビハインドで1回目のテクニカルタイムアウトを迎えたが、両者の力の差はわずかだった。
 ここからスコアボードの数字が両チームの間を交互に動く。サイドアウトの応酬だ。ジェイテクトSTINGSはブラトエフと西田が交互に決めた。要所で秦の速攻を駆使した。金丸も決めて14点目。しかし、ブレイクを奪われて14−17となったところで、高橋監督は1回目のタイムアウトを要求する。
 ここで終わるわけにはいかない。全員の思いは一致していた。ブラトエフのバックアタックで反撃の口火を切った。秦がノータッチエースを決めた。一度はアウトになったかに思われたが、チャレンジによって判定が覆ったものだ。しかし、サーブレシーブの失敗をきっかけに3連続失点。西田のスパイクでサイドアウトを切るが、21−25でこのセットを失った。

 第4セットはブラトエフのスパイクで先制した。西田も続いた。しかし、ラリーを取り切れず3連続失点。金丸、ブラトエフのスパイクが止められた。それでも、浅野のブロックなどで反撃。4−4の同点に追いつく。5−5となったところで、ミドルブロッカーの福山を投入した。これで流れを変えたかった。6−9とリードを許すが、西田、ブラトエフのスパイクなどで3連続得点、9−9とすぐに取り返した。
 しかし、サーブレシーブの失敗で11−13となったところから、負の連鎖が止まらなくなる。テクニカルタイムアウトを挟んで6連続失点。西田のスパイクで一度はサイドアウトを切ったものの、ここから再び6連続失点を喫した。2度のチャレンジも失敗。これで試合の趨勢は決した。
 13−24と豊田合成のマッチポイント。意地を見せたのが西田だ。2度のサービスエースを含めて4連続得点を奪う。しかし、反撃もここまで。17−25でこのセットを落とし、セットカウント1−3で敗れた。

 ジェイテクトSTINGSのV1リーグは幕を閉じた。13勝14敗、勝点41で7位。ファイナルステージに進むことはできなかった。キャプテンの浅野が言う。
「率直に悔しいです。個人としても、もう少しチームにいい影響を与えたかった。ただ、チームはすごく若返っているので、このまま成長していけば必ず強くなる。新しいメンバーが入ったことで、勝負どころの強さが失われつつあるように感じます。そこは経験値もモノを言うので、チームとして厳しく取り組んでいきたいと思います」
 明るい材料はある。内定選手の小林、藤中がデビューを果たしたことだ。
「最終戦ということもあり、プレッシャーを感じるところはありました。その中でも、目標だった舞台でプレーできて楽しかったです。通用した部分もありました。これをモチベーションにしてまた練習していきます」(小林)
「先輩方がプレーしやすい環境を作ってくれたことに感謝しています。ただ、コートに立たせてもらったにも関わらず、何もチームに貢献できなかった。もっと上を目指せるチームだと思うので、練習からしっかり取り組んでいきたい」(藤中)
 次の公式戦は5月の黒鷲旗だ。新たなステージで、さらに成長を遂げたジェイテクトSTINGSを見てみたい。

高橋慎治監督

昨日の結果で順位が確定してしまい、今日がV1リーグの最終戦になってしまいました。また、ホームゲームで連勝していい形でリーグを締めくくりたいと思っていましたが、力及ばず豊田合成さんに負けてしまいました。7位という結果については、申し訳ないという気持ちしかありません。リーグを通して、スタッフ陣の采配、戦術も修正しなければいけないところが多く、力不足を思い知らされました。ただ、選手の能力自体は、この順位で終わるようなものではありません。この戦いが無駄にならないようしっかり振り返り、強いチームにしていきたいと思います。リーグを通して、各会場にたくさんの方が応援に来てくださり、心から感謝しています。本当にありがとうございました。

西田有志

今日の試合を迎えるにあたって、いろいろな気持ちがありました。何より、最後はファンの皆さんに満足して帰っていただくような試合がしたかった。第1セットはいいバレーができていたけど、第2セット以降は少しミスが目立つようになって負けてしまいました。個人的には、今日はサーブでミスをするという感覚がありませんでした。攻める気持ちもあった。これが、サーブが入る時の気持ちなんだというものを感じることができました。自分の中で、今週のホームゲームの2試合は、いいプレーができていたと思います。一方で、チームを勝たせることができず、力不足も痛感しました。ただ、自分のレベルはもっと上げられる。それを見つけられた試合でもあります。応援ありがとうございました。

秦臻

今日はいい試合ができました。第1セットは自分たちの力を出すことができたと思います。Vリーグは初めての経験でしたが、以前から日本のリーグはよく見ていました。実際にプレーして、非常にレベルが高いと感じました。上位と下位の実力に差がなく、ジェイテクトSTINGSもさらに成長できるチームだと感じています。自分は身長が高いけど、その分、動きが遅いのでそこを克服したい。自分の弱みを相手に突かれたら、負ける試合も増えてしまうでしょう。だからこそ、克服したい。そして、これからも全力でチームに貢献したいと思っています。ファンの声援もとてもありがたかったです。ジェイテクトSTINGSのファンは、リーグの中でも一番ですね。これからも応援よろしくお願いします。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

勝負どころで1点が奪えず敗戦。課題を克服して戻ってきてほしい

悔しいが、第4セットは今シーズンを象徴するような戦いだった。勝負どころで1点が奪えない。悪い流れが断ち切れない。中盤まで競り合っていたのに、2度の6連続失点で突き放された。原因を一つに絞るのは難しい。個々のスキルの問題もあるだろう。メンタルも重要な要素だ。コート上でのコミュニケーションも足りなかった。「チーム全体として、イージーミスで相手に点数を与えてしまうことが続きました。もちろん攻める以上はリスクも生じます。しかし、その中でも一人ひとりが精度を高めないと、勝てるチームにはなりません。リスクを負いながらもミスを減らすこと。そこが課題として残りました」。試合後の会見でそう話した浅野。決して克服できない課題ではない。黒鷲旗まで2カ月。勝てるチームになって戻ってきてほしい。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS 豊田合成トレフェルサ
第1セット 25 - 22
第2セット 25 - 27
第3セット 21 - 25
第4セット 17 - 25
第5セット
日付 2019年2月24日(日)
試合 V1リーグ レギュラーラウンド 第27戦
場所 ジェイテクトアリーナ奈良
メンバー 金丸、ブラトエフ、西田、秦、浅野、小林 L興梠、藤中
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