ジェイテクトSTINGS VS サントリーサンバーズ

セット序盤は好ゲームを展開。西田が躍動し、代わって入った秦の活躍で第2セットを奪い返す

 残り4試合となった。この日の相手はサントリーサンバーズ。レギュラーラウンド2位の強豪だ。
 ジェイテクトSTINGSは集中していた。立ち上がりから4連続得点。会心のスタートを見せた。西田、福山のブロックが機能し、浅野が高い打点からスパイクを打ち抜いた。5−2の場面では、西田がサーブで相手を崩して、自らのバックアタックでブレイク。要所でブラトエフが決めて、8−3で1回目のテクニカルタイムアウトを奪った。
 しかし、失点につながるミスが立て続けに出て、ここから3連続失点。金丸のブロック、西田のスパイクなどでシーソーゲームに持ち込むが、12−10から再び3連続失点を許す。ついに逆転を許した。さらに3連続失点を喫し、3点のビハインドで2回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 嫌なムードを断ち切ったのがキャプテンの浅野だ。気迫のこもったスパイクで、チームを鼓舞した。福山のサーブが相手の手元で落ちてエースを奪う。浅野のバックアタックで粘るサントリーを追随。僅差を維持したまま終盤まで試合を進めた。
 勝負どころで西田が躍動した。ブラトエフもサービスエースをたたき込んだ。誰一人として諦める者はいなかった。リベロの興梠は相手の強打を何度も体で受け止めた。先にセットポイントを与えたが、2点差に詰めたところで袴谷を投入。ここから反撃が始まる。ネット際に厚みを増し、相手からスパイクミスを誘った。さらに西田が決めて、土壇場で同点に追いついた。
 西田にトスを集めて3度のセットポイントを奪った。しかし、最後は相手のブロックが立ちはだかった。一歩及ばず28−30。このセットを落としたが、ジェイテクトSTINGSにとっては互角以上の内容だったと言っていい。

 第2セットは福山に代わって秦がスタートから入った。この采配が功を奏した。立ち上がりはブラトエフのバックアタックで先制。浅野に秦が続いて、リードを広げる。さらに浅野のスパイクをきっかけに、秦のブロックなどで3連続得点。秦の決定率が上がることで攻撃の幅が広がり、サイド陣が楽になった。西田も攻めるサーブで相手を崩す。セッターの久保山は要所で秦にトスを集めて8−4とリードを奪った。
 その後もジェイテクトSTINGSが順調に得点を重ねていく。ブラトエフのブロック、金丸の速攻などで3連続得点。我慢の時間帯も、西田、秦のスパイクで粘り強くサイドアウトを切った。全員が集中していた。
 2回目のテクニカルタイムアウトはジェイテクトSTINGSが16−12でリード。一時は2点差まで詰められたが、浅野のスパイクなどで再び突き放す。リリーフサーバーの松原も連続得点に貢献。アウトになったかに思われた秦のスパイクは、チャレンジの成功によってスコアが覆った。
 25−21。会心の試合運びで、ジェイテクトSTINGSが第2セットを取り返した。

 大きな、とてつもなく大きな第3セットになった。このセットの重要性を全員が理解していた。西田のサービスエースなどで序盤に3連続得点。ブラトエフのブロックも飛び出し、6−4でリードを奪った。さらに秦のサービスエースで8−5と点差を広げる。
 テクニカルタイムアウトのあとも、ジェイテクトSTINGSは好調を維持した。セッターの久保山が巧みにトスを散らし、西田、ブラトエフがスパイクを決める。要所で秦の速攻を使って相手のブロックを翻弄。浅野もキレのあるスパイクを決めた。
 4連続失点で一時は逆転を許したが、相手のミスに助けられて再びリード。16−15で2回目のテクニカルタイムアウトを迎える。ここからはサイドアウトの応酬だ。ジェイテクトSTINGSはブラトエフのスパイク、金丸の速攻で得点を重ねる。西田も好調をキープ。浅野のサービスエースで22−20とリードを2点に広げた。
 あとはこのままセットを終わらせるだけだった。リリーフした辰巳が、相手のスパイクからうまくタッチを取った。しかし、ブラトエフが決めたかに思われた得点は、チャレンジによって相手に移行。西田が決めて23−21とするが、ここから3連続失点を喫して逆にセットポイントを与えた。
 ブラトエフのスパイクで一時はピンチをしのだものの、最後はサービスエースを決められて25−27。ジュースにもつれ込んだ接戦を落とした。

 気持ちが切れたわけではない。西田が懸命にチームを鼓舞した。しかし、第4セットの序盤は3−8。西田が渾身の力でボールをたたき続けた。ブラトエフに代わって入った郡も、コートを駆け回ってチームを盛り上げた。
 浅野が難しい二段トスを決めた。10−16。逆転のチャンスはまだあった。しかし、サントリーのムセルスキーに立て続けに決められて11−19。西田、浅野のスパイクはキレを残していたが、スコアボードの数字を覆すには開いた点差はあまりに大きかった。このセットを17−25で落とし、セットカウント1−3で敗れた。

 他会場の結果によって、順位を7位に落とした。数字だけを見るなら、崖っぷちに追い込まれたと言えるだろう。しかし、下を向く選手はいない。高橋監督は言う。
「あとがない状況ですが、大事なのは明日の試合です。勝点3にこだわって臨みたいと思います」
 追い込まれてからがジェイテクトSTINGSの真骨頂だ。今はただ、チームを信じるのみである。

高橋慎治監督

どのセットもいい状況に持ち込むことができましたが、要所で出たミスが失点につながってしまいました。たとえば、サーブミスや二段トスがしっかり上がらない場面があった。そういうミスで、流れを途切らせてしまいました。自分たちから勝利を逃した試合だったと思います。ブラトエフ選手はスパイクの決定率が上がっていなかったこともあり、第4セットの途中で郡選手とスイッチしました。コンディションはけっして悪くありません。明日もすぐに試合があるので、気持ちを切り替えてしっかり準備して臨みます。

浅野博亮

どのセットもいいスタートが切れていましたが、中盤から終盤にかけてトスの精度やつなぎの面など2本目にイージーミスが出てしまいました。そこから相手に流れを持っていかれてしまいました。勝てる試合だったと思うので悔しいです。残りの3試合は、いつも以上に1本1本のボールに対するプレッシャーを感じてプレーしなければいけません。ただ、自分はそういう中でさらに集中力を高めることができます。「見た目は熱く、気持ちは冷静に」を徹底して、自分たちのバレーをしっかりやっていきたいと思います。

秦臻

第2セットのスタートからコートに入りましたが、特に攻撃面を意識しました。自分が点を取れば、相手のプレッシャーを分散でき、攻撃のバリエーションが増えます。相手もブロックがやりづらくなるでしょう。実力ではけっして負けてはいません。勝ち切ることができなかったのは、心の問題だと思います。アンラッキーな面もありました。大事なのは、とにかく気持ちを切り替えることです。明日はチーム一丸となって、全力で戦いたい。チームの約束事を守れば必ず勝てます。最後まで諦めず、勝利に貢献できるように頑張ります。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

残り3試合。追い込まれてからがジェイテクトSTINGSの真骨頂だ

キャプテンの浅野の言葉に手放しで賛同したい。「技術はすぐに変えられません。今は気持ちを変えるしかない。チームとして誰が軸になって、どこを頼って、周りがそこをどうサポートするか。そこを明確にし、一人ひとりがそれぞれの役割に自覚を持つことが大事です。たとえ負けても、『自分たちのバレーができた』と思えるような取り組みをしていきたいと思います」。レギュラーラウンドが残り3試合になったところで、ついに順位が7位まで下がった。ファイナル6に進むためには、目の前の一戦に全力で臨まなければいけない。「このチームは、こういう場面(ファイナル6に進めるか進めないかの瀬戸際)で強いと思っています。しっかり自信を持ってやっていきたい」。浅野の言葉を拠り所に、明日のJT戦を迎えたいと思う。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS サントリーサンバーズ
第1セット 28 - 30
第2セット 25 - 21
第3セット 25 - 27
第4セット 17 - 25
第5セット
日付 2019年2月16日(土)
試合 V1リーグ レギュラーラウンド 第24戦
場所 大田区総合体育館
メンバー 金丸、福山、ブラトエフ、西田、久保山、浅野 L興梠
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