ジェイテクトSTINGS VS FC東京

ブラトエフのバックアタックでリズムをつかむ。キャプテンの浅野も声とプレーでチームを引っ張った

 Vリーグ通算230試合の出場を達成した興梠に花束が贈られた。功績を称える拍手によって、会場が温かいムードに包まれた。
 ジェイテクトSTINGSにとって初めての金曜日開催。ホームで迎え撃つのはFC東京だ。19時開始のナイトゲーム。チームカラーの白一色に染まったウィングアリーナ刈谷で熱戦の火ぶたが切られた。

 先週の東レ戦で浅野とブラトエフのポジションを入れ替えた。快進撃のきっかけになった。ファイナル6の進出に向けてこれ以上星を落とせないジェイテクトSTINGSは、今週も同じ布陣で臨んだ。
 FC東京のサーブでスタートした第1セット。セッター久保山のファーストチョイスは浅野だった。しかし、先制点はFC東京。ジェイテクトSTINGSは浅野がレフトから鋭いスパイクを決めてサイドアウトを切る。秦の速攻も機能。さらに西田がサーブで攻めて相手のミスを誘った。
 ブラトエフも先週から好調をキープ。正確にサーブレシーブを返して、自らのバックアタックで得点を重ねる。サーブレシーブが乱れて3点のビハインドで1回目のテクニカルタイムアウトを迎えたが、試合の入り方としては決して悪くなかった。
 ジェイテクトSTINGSは落ち着いていた。チームを引っ張ったのが浅野だ。強烈なバックアタックを相手コートに突き刺す。西田もうまくインナーを突いてサイドアウトを切った。浅野がフェイントを決めると、西田のサービスエースで11−11。さらにブラトエフのブロックで13−12と逆転に成功する。興梠のファインプレーでつないだボールをブラトエフが決めて、2点のリードで2回目のテクニカルタイムアウトを奪った。
 3連続失点で一度は逆転を許したが、タイムアウトで嫌な流れを断ち切ると、ここからはブラトエフのショータイムだ。強烈なサーブで相手のサーブレシーブを崩し、自らバックアタックに入って得点を奪う。西田もブロックで援護射撃。取りも取ったり7連続得点。このセットの主導権を完全に握った。
 金丸の速攻でセットポイント。最後は西田のスパイクが決まり、ジェイテクトSTINGSが25−19で第1セットを先取した。

 第2セットも先にペースをつかんだのはFC東京の方だった。1回目のテクニカルタイムアウトは6−8。ジェイテクトSTINGSはサービスエースを決めた西田が躍動したが、全体的にサーブレシーブのミスもあり思うように攻撃を組み立てることができない。
 反撃の口火を切ったのはブラトエフだ。サーブで攻めて3連続得点。10−10の同点に追いついた。さらに11−11から西田のスパイクで逆転に成功。金丸が上げたトスを浅野が決めて13−11と引き離す。その後も浅野にトスを集め、16−13とジェイテクトSTINGSがリードを広げた。
 しかし、大事なところでサイドアウトを切れず18−18の同点。高橋監督がタイムアウトを要求して、修正をかける。金丸が値千金のサービスエース。さらにサーブを前に落として相手のサーブレシーブを崩すと、ブラトエフがバックタックを決めて22−19。あとは落ち着いて試合を進めていくだけだった。
 袴谷、辰巳をワンポイントで投入して勝負に出た。しかし、FC東京の驚異的な粘りによって、ジュースに持ち込まれる。一度はリードを許したが、ブラトエフのスパイクでサイドアウトを切った。さらに相手のミスでジェイテクトSTINGSのセットポイント。最後は相手の速攻を金丸が1枚でシャットアウト。28−26でジェイテクトSTINGSが2セットを連取した。

 しかし、第3セットはFC東京に奪われた。3−8とスタートの出遅れが最後まで響いた形だ。途中、セッターが久保山から中根にスイッチ。西田のスパイク、金丸の速攻で得点を積み重ね、最大で6点まで開いた点差を追いついた。要所で浅野も気持ちのこもったスパイクを決めた。終盤に競り負けたが、内容は互角以上だった。
 勝点3を取るためには、これ以上セットを落とせない。ジェイテクトSTINGSは第4セット、久保山をコートに戻した。第3セットの途中から入った福山も、そのままコートに立った。3点を先行されたが、浅野、西田のブロックなどで4連続得点。すぐに逆転に成功する。しかし、足を痛めた浅野が交代。代わって入った郡が不安を払拭する活躍を見せた。
 ブラトエフの好レシーブから西田が決めて6−5。ラリーを制したことでジェイテクトSTINGSに勢いがついた。6−6から4連続得点。福山の速攻をきっかけに、金丸、久保山が立て続けにブロックを決めた。
 バックアタックを決めた郡がコートを駆け回ってチームを勢いづける。西田のブロックで12−7。ブラトエフ、郡が確実に決めて16−14で2回目のテクニカルタイムアウトを迎える。
 ここからは一進一退。ジェイテクトSTINGSは西田にトスを集めて確実にサイドアウトを切る。21−19の場面で福山が相手の速攻をブロック。FC東京は2回目のタイムアウト。ついに均衡を破った。
 西田が決めて24−21。久保山は徹底的に西田にトスを託す。しかし、あと1点が遠い。我慢し切れず西田のスパイクはアウト。24−24。相手のサーブミスでジェイテクトSTINGSのマッチポイント。最後はブラトエフが相手のスパイクをブロックし、26−24でジェイテクトSTINGSが接戦を制した。

 ホームゲームで勝点3を獲得した。大きな勝利だった。しかし、満足している選手はいない。
「苦しい展開でしたが、ホームの応援があって勝つことができました。西田選手や代わりに入った郡選手が奮起して点を取ってくれた。ここからは一試合一試合が勝負になるので頑張っていきたいと思います」
 こう言って気を引き締めた浅野。レギュラーラウンドは残り4試合。今こそチームが一丸となり、確実に勝点を積み重ねていきたい。

高橋慎治監督

今日の試合はいつもより1日早い金曜日開催ということで、コンディションの持っていき方が少し難しかったです。今回のやり方を検証して、また金曜日に試合がある時につなげられるようにしたいと思います。第4セットの最後は、久保山選手も西田選手に託そうと思ったのでしょう。少し力みが出ましたが、最後は全員で取り返して勝利をつかむことができました。結果的に、大きな勝点3になりました。V・ファイナルステージに進むためには、確実に勝点3を取っていかなければいけません。レギュラーラウンドは残り4試合ですが、先を見過ぎず目の前の一戦に集中し、勝ちにこだわって臨みたいと思います。

久保山尚

第1セットはいいバレーをしていましたが、第2セットの序盤から小さなミスが出はじめ、そこから流れをつかめず苦しい展開になりました。第3セットも、サーブレシーブやつなぎの面でミスが出てしまいました。そうしたミスをどう出さないようにするか。あるいは、出た時にどう対処するか。そこを、来週に向けて練習から詰めていきたいと思います。第3セットは、みんなに「勝たなければいけない」という気持ちがあって、硬くなってしまっている部分がありました。そこを少しでもほぐせるようにと思い、第4セットのコートに入りました。また、攻撃の組み立てを変えること。主にその2つを重点的に意識して臨みました。

西田有志

全員で勝てたことが今日の収穫だと思います。第3セットの最初に連続得点を取られてしまいましたが、ポジティブに捉えるならそこで追いつけたのは自分たちに力がある証拠。それをどれだけ出せるかがこれからの課題になると思います。今シーズン2回目のナイトゲームになりますが、来ていただいた方に満足してもらうことが僕たちの役割です。何よりも勝つ姿を見てもらうことが一番。今日は、観客のみなさんに気迫のこもったプレーを見せ、観客のみなさんに鼓舞していただいた。会場が一丸となって戦うのが自分の考え方です。まだまだ課題はありますが、これからも楽しいホームゲームにしていきたいです。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

最後にトスが集まった西田。苦しみを乗り越え、オポジットとして一皮むけてほしい

賛否あるかもしれないが、マッチポイントの場面で西田に上げ続けた久保山の選択は、正しかったと思っている。もしも、苦しみながら最後に決め切っていれば、西田はオポジットとしてさらに上のステージに上がっていただろう。しかし、結果的に異なる形で試合が終わり、悔しい思いを残した。「最後の場面は迷いがあって、トスは集まってくるけどミスが出て追い込まれてしまいました。もっとポジティブに捉えられるようになりたいですね。ただ、チームが勝てたことは嬉しかったし、みんなが助けてくれた。気持ちの作り方など、メンタル面でもっと成長していきたいと思います」。試合後にこう振り返った西田。トップフォームは取り戻しつつある。自分のペースでいい。コツコツと続けていけば、きっといい結果がついてくるはずだ。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS FC東京
第1セット 25 - 19
第2セット 28 - 26
第3セット 22 - 25
第4セット 26 - 24
第5セット
日付 2019年2月8日(金)
試合 V1リーグ レギュラーラウンド 第23戦
場所 ウィングアリーナ刈谷
メンバー 金丸、ブラトエフ、西田、久保山、秦、浅野 L興梠
Photo